百醜千拙草

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外道の戦略

2021-04-23 | Weblog
最近、ニュースのインプットとアウトプットはツイッターを使うようになって、ここで、政治の話をすることが減りました。例え民主主義を守るために戦うのだと言っても、自公政権のデタラメにいちいち怒っていては体が持たないし、そもそも、差し迫った日々の生活をはじめとして優先しないといけないさまざまなものがあるわけで、ブログではもっと日常的な話でリラックスするようにしています。しかし、今日は書きたいこともないので、先日流れてきた内田樹さんのツイートを紹介します。日本の政治がここまで腐った理由を一言で解説してあって、腑に落ちたので、ツイートを転載させてもらうことにします。言葉というのは偉大です。ピッタリした言葉一つで霧が晴れるように物事の本質が理解できることがあります。

 @levinassien
「ときの権力者について「政策が間違っている。倫理的に問題がある」とは何度も思いました。でも、「頭が悪い」と思ったことはありませんでした。この悪賢い「食えないオヤジ」たちも、国力を向上させ、国民生活の安寧を達成しない限り政権は維持できないという「常識」は備えていたからです。前政権でその「常識」が失われました。もう国力なんかどうでもいい、国民の健康も安全もどうでもいい。自分たちとその取り巻きだけがいい思いができれば、あとは知らないというところまで政治が退廃したのは、どうすれば国力が向上し、国民生活が豊かになるかを考える力がなくなったからです。」

「考える力がない」というのは、政治家以前に社会的活動を行う人間として、重大な欠陥だと思います。しかし、この言葉以上に現政権と前政権の本質を突いている言葉はないような気がします。
 無論、かつての自民党でも権力を利用して甘い汁を吸う人々は大勢いましたが、普通、やってまずいことがバレたら、何らかの責任をとって大事に至らぬようにしていました。
しかし、前政権以降は、政権を担当している側がやってはいけないと明らかにわかることを平気でやるようになり、それを恥じないようになりました。国会でウソをつきまくり、やましいことを指摘されては逆ギレして質問者に責任転嫁し、官僚には公文書を改ざんをさせ、ヤクザを使って選挙妨害し、気に入らない人間は、選挙に対立候補を立てて買収までさせて地位を奪い、読売や産経をつかって、自分に都合の悪い人間の人格攻撃をさせるような「人間のクズ」としか思えないことを、こうまで堂々とでできるのか、私は理解不能でした。かつての自民党ではやましいことが露見しそうになったら、本人自らが要職から退くか、そうでない場合も党が続投を許さず、一定の自浄作用がありました。それが、アベ政権からなくなりました。その「人間のクズ」の振る舞いを平気でやれる理由として、もっとも整合性があって腑に落ちる理由は、おそらく自己愛性性格異常に加えて、「恥」や「人間としてのdecency」という概念を理解するだけの頭がない、つまり頭が悪いからだ、という説明はなるほどと思います。

しかし、これは他の国だとありえないと思うのです。日本の政治が腐敗しているのはなぜですか、と聞かれて、「政治家の頭が悪いから」というのが冗談抜きの答えになるような国は日本以外にはないでしょう。そんな人でも政治家をやれるという特殊な日本の事情を説明するのはちょっと面倒です。もちろん世襲議員であるという要素が大きいわけですが、神輿は軽くてパーがいい、という日本の政治文化や、日本の政治的独立性の問題などもありますからね。

頭が悪い人を相手にするのは大変です。とくに権力やハサミを持っている場合は危険ですから、周りのマトモな人々は諦めてしまうのでしょう。それがますますこの傾向を増長させたのではないかと思います。反知性主義というのは、結局は無知であること、恥を知らないことを武器にする人の道をはずれた外道の戦略なのでしょう、

かつて、誰かが「クソは最強だ、なぜなら、クソはそれを攻撃した方にダメージが大きいから」とツイートしていました。前政権と現政権が八年も以上も続いたのはそういう事情でしょう。
コメント
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