百醜千拙草

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ウクライナ戦争の思惑

2024-11-26 | Weblog
遅すぎるICCのネタニヤフに対する逮捕状の発行、ウクライナのロシア領内へのミサイル攻撃とその報復、と色々あった先週でした。バイデンがアメリカ製長距離ミサイルの使用許可を出したことは、アメリカがトランプ政権までの間にこの紛争をできるだけ大きくしておこうと考えたのだろうと想像します。さすがに、ミサイルをロシア領内に数発打ち込んだぐらいで勝てると思っているほど、ゼレンスキーはバカではないでしょうし。

ゼレンスキーは「ウクライナは独立国である」と主張してロシアの干渉を非難しましたが、その独立国であるウクライナは、自力では内戦を収束されることもできず、外交交渉能力もなく、軍事に至っては、その計画と遂行にアメリカの支援や許可が必要なわけです。独立国という建前ながら、その政権はアメリカが支援したクーデターでできた傀儡であって、ゼレンスキーはその臨時大統領という不安定な立場、アメリカの対露政策と戦争ビジネスに使われて、ウクライナの国土を多国籍企業に売り払い、ウクライナの社会を荒廃させ、50万人とも言われるウクライナ人の命を失わせ、ウクライナ消滅の危機を招くことになりました。

トランプ政権の発足が見えてきて、バイデンもゼレンスキーも、ここで多少無茶をしてもプーチンは我慢するだろう、と踏んだのでしょう。彼らの権力も後2ヶ月、最後の花火ですかね。プーチンも彼らの思惑は見抜いているでしょうから、核戦争に踏み切ることはないと私も思ってはいます。実際、ロシアが報復としてウクライナに射ったミサイルは、中距離ミサイルで、新兵器の実験を兼ねたものに過ぎませんでした。その後、プーチンはこの超音速ミサイルの迎撃は不可能であることを会見で述べました。つまり、本気でキエフのウクライナ政府を消滅させる気になれば、ロシアはいつでもできるのだ、と改めてゼレンスキーに思い出させるために報復の機会を利用したに過ぎないようです。にもかかわらず、ゼレンスキーはまた長距離ミサイルで攻撃を仕掛けたようです。「ヤケクソ」になっているとしか思えません。

ウクライナ戦争が始まって1,000日、人々は、そもそも、なぜこの戦争が起こったのかでさえ忘れつつあるのではないかとツイッターやBlueskyを見ていると感じます。ガザの戦争が、昨年の10/7に突然のハマスのテロによって始まったとでも思っているイスラエル人が多いように、ウクライナの侵攻は2022年の始めに突然、ロシアの軍事侵攻で始まったと思い込んでいるような人々がネットにはまだ大勢いるようです。

プーチン自身やアメリカの外交専門家が言うように、ロシアにとってはこれはロシアの安全保障、すなわちNATO東進の問題であって、三十年来の問題です。そして、アメリカにとっては、基本的にビジネスです。この視点から眺めれば、黒幕はアメリカ、ゼレンスキーはそれに踊らされた手先、迷惑をうけたのはロシア、命と土地を奪われ最も被害を被った最大の被害者は、ウクライナ国民のように見えます。

歴史的事実を見てみると、ロシアの言動はほぼ一致しています。プーチンが言うことは、大抵「そのまま」のことを意味していると感じます。対して、アメリカがやってきたことに誠意を感じ取るのは困難です。

今回の戦争開始直前のクレムリンでの会議録をあらためて見直してみる機会がありましたので、その一部を紹介します。議事録ですので、全文はかなりの長文で、ウクライナ侵攻の根拠となった理由がかなり詳細に議論されています。そこに西側が非難するようなロシアの野心(ロシア領土の拡大)は見つけられません。事実、プーチンはこの会議で述べたような意見を以前から公言しています。この会議録に示されている主要な議題は、プーチンが主張してきた二つの点、すなわち、ウクライナ東部州およびクリミアのロシア系住民に対してウクライナが2015年のミンスク合意を履行せず迫害を継続していることの問題とNATO東進に関してのロシアの懸念です。会議の最初のプーチンの言葉とラブロフの言葉の一部にそれが要約されているので、ごく一部を示します。

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プーチン: 私たちは今日、ドンバスの現在の状況について話し合うために会合を開いています。この事態がどのように始まり、どのように進展してきたか、皆さんはよくご存じでしょうが、簡単に思い出していただきたいと思います。適切な判断を下すためには、一般的な背景が必要です。

2014年にウクライナでクーデターが起きた後、ウクライナ国民の一部はその結果を受け入れませんでした。この武力クーデターによる政権転覆は、憲法に反しており、多くの罪のない人々を殺害したことを思い出してください。誰もそのことには異論はないでしょう。

そのクーデターの結果を受け入れなかった国民もいます。クリミアの住民や、現在ドンバスに住んでいる人々です。その人たちは、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国という2つの独立共和国を樹立すると宣言しました。これが、キエフの当局者とその領土に住む人々との対立の始まりでした。

その中で、ロシアは当初、これらの不和が平和的手段(対話と交渉)によって解決されるよう、手を尽くしたことを指摘したいと思います。しかし、キエフの当局者は、これらの領土で2回の懲罰的な軍事行動を実施し、現在、3回目のエスカレーションを起こしました。

この数年間 -- 私はこのことを強調したいと思いますが --、これらの領土に住む人々は、絶え間ない砲撃と封鎖によって文字通り拷問を受けてきました。いわば「前線」に近いその地域の住民は、砲撃を避けるため、子供達と一緒に地下室での生活を強いられてきたのです。

交渉の過程で、「ミンスク措置パッケージ」と呼ばれる和平計画が立案されました。 しかし、その後の動きを見ると、ウクライナのキエフ当局はそれを実行しようとしませんでした。国家トップレベルでも、外相や安全保障理事会事務局長レベルでも、彼らが繰り返し公言している通り、 ウクライナがミンスク合意を履行するつもりがなかったことは、すでに周知のところです。しかし、こういう状況下ではあるものの、ロシアは複雑な局面や悲劇的な展開を平和的手段、対話で解決しようと努力してきました。

本日の会合の目的は、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の主権承認に関する指導者の訴えと、関連するロシア連邦の国家議会の決議を話し合い、将来のステップを考えることです。後者に関しては、ロシアはドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の独立と主権を承認するようウクライナ大統領に求めています。

同時に、これらの様々なことは密接にヨーロッパの安全保障の問題と関連していることを指摘しておきたいと思います。とりわけ、(NATO、アメリカが)ウクライナをロシアと対峙するための道具として利用することは、我々にとって重大かつ深刻な脅威となるからです。

このため、我々は過去数ヶ月間、そして2021年後半にかけて、ワシントンとNATOの主要パートナーとの協議を強化し、これらの安全保障措置について最終的な合意に達し、ウクライナが平和的な条件のもとで平穏かつ成功裏に発展することを目指してきました。対立するのではなく、安全を維持し、発展のための条件を確保する必要があります。

しかし、私たちは、もちろん「現実」を理解しなければなりません。そして、これまで何度も申し上げてきたように、もしウクライナが北大西洋同盟(NATO)に加盟するという状態になれば、わが国の安全に対する脅威はますます高まります。

しかし、ウクライナは、クリミアとセヴァストポリの人々が表明した意思を認めず、これらの地域をウクライナの領土だと主張し続けて、軍事力を使って支配しようとしています。そのことは文書によっても示されており、これにはNATO全体が関与することになってきます。

ご存知のように、NATO加盟国の中にはウクライナが加盟することに反対している国もあります。しかし、彼らの反対にもかかわらず、2008年には、ブカレストで覚書が交わされ、NATOはウクライナとグルジアの加盟への門戸を開いたのです。なぜそのようなことをしたのか、という私たちの質問にNATOは答えていません。(筆者注:この時ウクライナのNATOへの加盟に強く反対したのはドイツのメルケルでした。それがなければウクライナ戦争はもっと早く起こっていたと考えられています)しかし、米国からの圧力でその一歩を踏み出したのであれば、さらなる圧力で次の一歩を踏み出さないという保証がどこにあるでしょう?

米国が、どんな協定や文書も簡単に破棄してきた国であることは周知の通りです。しかし、それでも、少なくとも何かを紙に書き留めて、国際的な法的行為として定めなければなりません。現時点では、私たちはこの一点でさえ、合意することができていないのです。

それでは、まず、安全保障に関するワシントン、ブリュッセル、NATOとの合意に直接関与しているラブロフ氏に発言してもらいたいと思います。 次に、コザック氏に、ミンスク合意の履行に関する協議の結果について報告してもらいます。 その後、各自から発言していただきたいと思います。 

セルゲイ・ラブロフ外相: ロシアが昨年12月に米国とNATOに提出した安全保障に関する提案を行い、我々は1月下旬に米国とNATOから回答を受け取りました。この回答では、西側諸国の同僚たちは、われわれの主要な提案、主にNATOの東方不拡大に関する提案を取り上げる気がないことを示しています。この要求は、NATOのいわゆる門戸開放政策と、安全保障を確保する方法を各国が独自に選択する自由について言及するばかりで、我々の提案は拒否されました。加えて、米国もNATOも、この重要な条項に対する代替案は何も提案しませんでした。、、、、(以下省略)。
__________________________

この会議のサワリ部分は、ロシアはNATOのウクライナ取り込み計画についての歴史的経緯とロシアの懸念を述べたロシア議会でのやり取りです。つまり、1990年の冷戦終結時の米露の約束、「NATOは東進しない」をアメリカが一方的に破ってきて、2014年には、ウクライナ内戦に乗じて、親露であったヤヌコービッチ政権を転覆させたオバマ政権下のアメリカの対露計画に対するロシアの危機感と、2022年のウクライナ包囲から侵攻に至るまでの米露の交渉の様子を述べたもので、ロシアのウクライナへの軍事作戦が、NATO東進、すなわち、アメリカのロシアへの強硬政策に対するものであったことが明言されています。つまり、ロシアの見解は、ウクライナへの軍事作戦は、そもそもウクライナに対する戦争ではなく、アメリカ軍事戦略に対するロシアの防衛行動であったと言うことです。

アメリカの思惑はどうでしょう。チェイニーなどのタカ派ネオコンが、ロシアを徹底的にNATOによって包囲する防衛政策を進めてきたのは、アメリカの世界でのヘゲモニーを保つという観点からの戦略でありましたが、もちろん、世の中はカネで動いているわけですから、カネがらみの思惑が大きかったと思われます。

カネの話については、米大統領選候補であったRobert Kennedy Jr.のウクライナ戦争の解釈を述べた映像を紹介します。


「この戦争はそもそも始まるはずではなかったものだ。ロシアは何度もアメリカとウクライナにとって都合の良い条件で問題を収めようとした。ロシアの主たる条件はNATOがウクライナを取り込まないことだった。アメリカ軍需産業は常にNATO加盟国を増やそうとしてきた。なぜなら、それらの国が顧客となるからだ。、、、
2022年3月、アメリカは113 billion$をウクライナ支援に計上した。、、、Mitch McConellがそんな大金をウクライナに使って大丈夫なのかと訊かれた時、彼は『心配するな、それは本当はウクライナには行かない。それはアメリカ軍需産業に行くのだ』と答えた。つまり、これはマネー ロンダリングなのだ。

これらの軍需産業を誰が所有しているか、知っているか?そうだ、BlackRockだ。、、、ウクライナへの支援は、実は借金であって、借金のカタにウクライナは、肥沃な農作地を含むあらゆる政府資産を多国籍企業に売り払うことになる。すでにウクライナは30%の国有地を売り払った。その多国籍企業は誰が所有者か?BlackRockだ。2022の12月、バイデンはウクライナ再興計画支援を表明した。それを請け負うのは誰か?BlackRockだ。
このような悪巧みが我々の目前で起こっており、彼らはそれを隠そうともしない。なぜなら、連中は逃げおおせると思っており、そのために彼らは昔ながらの戦略を使うからだ。つまり、我々をお互いに戦い合わせることである。共和党 対 民主党、白人 対 黒人、、、、、」
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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2024-11-27 07:59:02
独力で自国を守らなければ主権国でない、まさにそうですね。ロシアも言ってますよね。

正にその通りで、じゃあ日本はどうするかと言えば、やはり軍国主義化しか無い訳です。核武装も不可欠です。

さらに言えば、将来侵略されないように、予め緩衝地帯や傀儡国家を作っておくことも必要です。ブログ主様の言う通り。
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