百醜千拙草

何とかやっています

ネタニヤフのリスト

2024-12-10 | Weblog
シリアの内戦が激化し、ついにアサド政権は崩壊し、アサドはモスクワへ亡命することになりました。アサド政権崩壊の直前、トランプは「シリアはアメリカの友人ではない、アメリカが関与すべきことではない」とコメントしています。どういう意図があったのかわかりませんが、ひょっとしたら、トランプは中々の役者なのかもしれません。あるいは、ただの天然ですかね。

シリアの内戦は、2010年ごろから起きた「アラブの春」と総称される中東、アラブ世界での反政府運動の一部としておきました。反政府民兵と政府軍との内戦ですが、いつものことながら、アメリカを中心とした西側諸国が煽ったものです。そして、西側でも日本でも「アラブの春」は「アラブ社会の民主化運動」であり、独裁者に虐げられた民衆の抵抗であると喧伝され、「運動を抑制するために、独裁者アサドが自国民に対して化学兵器を使った」という言説が流布され、日本でも影響力のある人々がそれを信じて拡散したという経緯があります。オバマは当時、「アサド政権は退陣しないといけない」と公にシリアの内政に干渉し、政権転覆を図りました。アメリカが、アサド政権を一気に崩壊させるために、シリアへの空爆を一旦は決定したのは2013年の8月のことです。世界は一斉に反対し、結局、オバマはその決定を実行できませんでした。シリアの戦争は「アメリカと関係ない」どころか、「大あり」です。この経緯を踏まえると、トランプのこの言葉は、トランプが全てを承知していたとするなら、民主党とバイデン政権への批判でしょう。この調子で、「イスラエルのことはアメリカとは関係ない」とでも言ってくれて、イスラエルへの軍事支援を中止するのなら、トランプを今世紀で最も有能なアメリカ大統領と呼ぶのに私は躊躇いはないです。ま、そうはならんでしょうが。

いずれにしても、「民主化を望む国民の意思を支持し、圧政を敷く独裁者を倒す」という名目で他国の政権転覆を煽動するアメリカの手口はあまりに使い古されすぎました。TwitterやBlueskyのコメントを見ても、「アサド=独裁者=悪」というような単純な解釈を支持するような人は皆無です。実際、アサド政府軍を倒した民兵の中心組織はシャーム解放機構と呼ばれるアル カイーダ由来の過激派集団で、国連がテロ組織と認定した組織であり、彼らが政権を担ってマトモに政治ができるのかという疑問が残ります。そして、シャーム解放機構をアシストしたのがシリア自由軍であり、これはオバマ政権時の2015年ごろに米軍が訓練して組織した武装軍が起源です。つまり、シリアの民主化運動の本体は、アメリカによるアサド政権転覆工作であって、その動機はおそらくイスラエルということです。イラクのフセイン、リビアのガダフィ、そしてシリアのアサド、いつものパターンですね。これらの国で、フセインが縛首になり、ガダフィが暗殺された後、現在どのような状況にあるかを思えば、今後のシリアがどうなるかもなんとなく想像がつきます。そして、早速、イスラエルはゴラン高原からシリアに軍事行動を始め、シリアの爆撃を始めたようです。

数日前、コロンビア大のJeffrey Sachs氏へのインタビューで、彼は次のように述べています。
、、、
特別にシリアの内戦をよく知っている専門家の間では、「(アサド政権が使ったとされる)化学兵器は『偽旗』作戦(偽の白旗を揚げて相手を欺く行為;この場合は、反政府軍が民間人を化学兵器で殺害した上で、罪をアサド政府軍に擦りつけたとされる)の可能性が高い」という議論が真剣になされている。アメリカの外交政策を知っているものなら、偽旗作戦はCIAの真髄であることは周知のことだ。確実な証拠があるわけではないが、これが偽旗作戦である状況的証拠は十分にある。だからこそ、オバマはシリアに深く介入することを止めたのだと思う。、、、、、CIAは、1947年の創設以来、おそらく世界中の90 -100%の政権転覆に隠密裏に関与している。、、、、メディアは、ロシアがアサド支援に介入してきたから(アメリカが介入しないといけない)というが、ロシアがシリアに来たのは2015年で、アメリカがアサド政権を転覆させようとシリアに介入したのは2011 年だ。、、、、これは(シリアやレバノン、などなどの)これらの国々と戦争をしたいネタニヤフの挑発なのだ(注:シリア、レバノンの領地を含む大イスラエル構想実現のため)。、、、どうして、我々(アメリカ)は失敗するとわかっているネタニヤフの馬鹿げた計画のために働かないといけないのだ?、、、アメリカがシリアに介入したのは、シリアが「ネタニヤフのリスト」に入っていたからだ。、、、、前NATOのチーフコマンダーのWesley Clarkが911のあと、アメリカ国防省に来て「今後5年間で7つの(中東とアフリカの)国を消滅させなければならない」と言ったが、これらの国が「ネタニヤフのリスト」なのだ。、、、

Sachsが上で述べた、Wes Clarkのインタビュー映像の一部が下のツイートにあります。彼が、911の後、アメリカ国防省を訪れた時、アメリカがイラクに侵攻することになったことを知らされたが、その理由が不明であったこと、そして、5年で7つの国を転覆させるというアメリカの計画を知らせるメモについて話しています。

911での不可解なビルの崩落やペンタゴンでの物的証拠の不整合性をめぐり、ユダヤ人が関与したとする陰謀論はいまだに燻り続けておりますが、911の後、ブッシュが突然、イラクに侵攻すると宣言し、その根拠にイスラム テロリストとの戦いだと説明したこと、先のClarkの証言(下のビデオ)、これまでのイスラエルとアメリカの行動を繋ぎ合わせると、陰謀論というよりは、検証に値する正式な仮説というべきだと思います。シオニスト仮説、端的にはネタニヤフ仮説と呼ぶのが良いかもしれません。

下はしばらく前のアサドのインタビューで、資本主義国における民主主義の欺瞞について話をしています。日本もそのまま当てはまります。眼科医として長年ロンドンで診療にあたっていたアサドは西側社会を直接知っており、その批判は的確だと私は思いました。われわれ教えられている議会制民主主義の欺瞞が端的に述べられています。

「西側諸国の政府は、資本家に制御されている。すべては、会社の利益のための政治がなされ、人々のためになされることはない。西側諸国では中流層がなくなり、貧富の差が拡大している。国民ができるのは投票ぐらいで、それが民主主義だと教えられている。そして、西側の民主主義では、どれほど多くの人が街に出てデモを行っても、何も変わらないのだ。

独裁主義とか民主主義とかという点に関して言えば、第二次世界大戦後、何千万人もの人々を殺した国々が民主主義、人権、国際法について語るなど、考えられないことだ、、、、朝鮮戦争から今日に至るまで、罪ない人々を殺害し続け、アフガニスタン、リビア、シリアを占領した。そんな彼らが、民主主義とか、人権とか、国際法とか倫理観とかを語るのだ。聞いていると、彼らの言葉と詐欺泥棒の言葉の違いがわからない。彼らの言葉には何の価値もない」
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« Hareetzの見解、洗脳と陰謀論 | トップ | シリアの消滅 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事