百醜千拙草

何とかやっています

千里の道も一歩から

2019-02-12 | Weblog
国会では相変わらず笑えないアベのギャグが炸裂しており、そのプシぶりは強制入院ものですが、今日は触れません。
われわれにも生活というものがあります。この数年で日本の社会を根底から破壊してきた刃物を持ったXXガイとでも形容すべきアベ政権を倒すことがなかなかできずにいますが、戦いの中でも、われわれは毎日の生活を営んで行かねばなりません。ロンドン空襲の翌朝、朝のミルクティーのための牛乳を配達するミルクマンの写真を思い浮かべました(この有名な写真は実はヤラセの可能性があるそうですが)。


私の場合、生活とは、研究とグラントと夕方の団欒と週に二回のランニングと週末のビールです。新しいことをやり始めているのに、時間と人手が足りません。人手不足は共同研究を募り、サービスをアウトソースして金で解決しようとしていますが、金で何とかできない部分がかなり多く、ちょっと困っております。

予備応募の結果の正式通知が先週末に来て、二ヶ月先のグラントの締め切りに向けて、準備を始めようとしています。これはちょっと特殊なグラントで、まずtranslationalであること、そのアイデアが極めて新規性に富むこと、ゆえにハイリスク、ハイリターンなものに限定されます。
私のグラント応募の研究アイデアは非常に単純なのですが、それを実現するのはおそらく想像しているよりも十倍は大変と思います。ハイリスクが前提ですから、グラント応募では実現の困難性を述べた上で、そのための対策案を具体的に提示していくという形の書き方をすることになると思います。

しばらく前に「Despicable me」という漫画映画がありましたが、その中で主人公が「月を盗む」プロジェクトの資金の融資のために悪徳銀行でプレゼンテーションをするというシーンがあります。そのために、ロケットを建造し、縮小ビーム銃で、月を縮小させて盗むというアイデアを話します。アイデアは単純で野心的ですが、その実現可能性をデータや議論で示さなければ資金を出す方を説得できません。
映画のこの場面での縮小ビーム銃がまだ開発できていないと聞いた銀行の反応は、重要な予備データが示せていないグラントを読んだレビューアの反応そのものです。



私のグラントもこれに近いです。縮小ビームを開発しロケットで月まで行って、月を小さくして盗む。それが最終ゴールですけど、私のグラントの場合、真の目的は、ゴール達成のために必要な技術の開発やその過程での生物学的発見です。幸いこのグラントでは通常のグラントで必須の実現可能性を示す予備データは必要はありません。荒唐無稽な話を緻密でロジカルな議論を通じて、実は実現可能であるかもしれない、と思ってもらえれば成功です。

このアイデアは1年半前のある論文をたまたま読んだことがキッカケですが、これまでとは違う分野ではあるのですが、やる価値のあるプロジェクトであると強く感じたので、この半年以上をかけて材料を揃えたりポツポツと実験をしてきました。結果、困難ではあるが、グラントやその最終ゴールの実現性は抜きにしても、やはり、やるべきであるとの結論に達しました。新しいことをいろいろ覚え、勉強し、試行錯誤しています。それは楽しいのでいいのですが、実験は失敗の連続です。

しかし、失敗しては文献を探し仮説を思いついては実験する、その繰り返しで、なぜうまくいかないのかに関してほんの少しずつですが分かってきたような気がします。それが直ちに解決につながるわけではないというのがもどかしいですが、期待の1000分の1ぐらいの速度で前進はしているような感じはします。

ずっと、いろいろな事情で避けてきた実験手法、Flow cytometryやシングルセル解析もやらないといけなくなりそうですし、新たななマウスツールも開発する必要があり、忙しくなる一方です。しかし、どうも学問に王道なし、千里の道も一歩からで、一歩、一歩を着実に進めることが一番の近道なのかな、と思い始めたところです。
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