tetsudaブログ「どっぷり!奈良漬」

コロナも落ちつき、これからが観光シーズン、ぜひ奈良に足をお運びください!

霊山寺のバラが満開!

2012年05月26日 | 写真
今朝は、ウチのご近所の花の話題である。昨日(5/25付)の毎日新聞奈良版に、「バラ 色とりどり満開 2000株の甘い香り 奈良・霊山寺バラ園」という記事が出ていた。
※写真は、2007.5.19に撮影したもの





奈良市中町の霊山寺のバラ園で、2000株以上のバラが満開となり、深紅など色とりどりの花びらが参拝者らを和ませている。見ごろは6月中旬ごろまでという。約4000平方メートルの園内には、淡いクリーム色が印象的な「ピース」や、白とピンクのグラデーションが鮮やかな「ピエール・ドゥ・ロンサール」など約200種が咲き、甘い香りを漂わせている。





京都市の主婦、山本桂子さん(43)は「これだけの品種のバラは見たことがない。たくさん写真に撮っておきます」と笑顔で話した。午前8時~午後5時。拝観料は大人600円、小中学生300円。問い合わせは霊山寺(0742・45・0081)。


奈良県下でバラというと、霊山寺(りょうせんじ)バラ庭園のほか、松尾寺(大和郡山市)とおふさ観音(橿原市)が有名だが、質・量ともに霊山寺のバラが圧倒的に素晴らしい。今年は開花が遅いと聞いていたが、やっと満開になったようだ。バラはフォトジェニックな花なので、誰でもキレイに写真が撮れるし、甘い香りも楽しめる。ぜひ、お訪ねいただきたい。
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るるぶ古事記 が登場!

2012年05月25日 | ブック・レビュー
 るるぶ古事記(1300年 古代ロマンの旅)
 パーソナル企画・スタジオ彫
 JTBパブリッシング

今年は「古事記完成1300年」の記念すべき年。おかげで書店の店頭には、毎週といっていいほど『古事記』に関する新刊書が店頭に並ぶ。平城遷都1300年の年(2010年)にも、こういう新刊ブームが起きたが、それを彷彿とさせる。新刊書には手軽で分かりやすい本が多く、日本人の心の「古層」を呼び起こす『古事記』が、グッと身近なものになってきた。そしていよいよ、「古事記ツアー」に必携のガイド本が登場した!それが「るるぷ 古事記」838円である。版元の「内容紹介」によると

巻頭カラーグラフでは辰宮太一氏の解説で「古事記」を分かりやすく解説するほか、関連のエリアを古事記のストーリーとともに分かりやすく解説。各エリアページでは、各エリアの「古事記」ゆかりのスポットや古事記の旅の際、訪れたいスポットやお店、味処なども合わせて紹介する。また、各エリアごとに「古事記の旅」のモデルルートも掲載する。古事記を知って、体感できるるるぶならではの一冊。【掲載エリア】島根、鳥取、淡路島、奈良、宮崎

●古事記を知る 著 辰宮太一
国生み/天安河の誓約/天石屋戸/八俣の大蛇退治/因幡の素兎/国造り/大物主神と三輪山/国譲り/天孫降臨/海幸彦と山幸彦/神武東征
【コラム】古事記中巻・下巻を読む 神と人との物語

●島根 須佐之男命と大国主神が活躍する「出雲神話」の地
・須佐之男命と大国主神
・須佐之男命活躍の地へ
・出雲 神話ゆかりのスポットへ
・八百万が集まる神話の聖地・出雲
・大国主大神が鎮まる出雲大社
・出雲大社のお祭り 神迎祭/神在祭/神等去出祭
・出雲そば
・島根県立古代出雲歴史博物館
・神門通りでおみやげ探し
・出雲の注目SPOT
・松江
・松江1dayさんぽ
・玉造温泉街
・松江の注目SPOT

●鳥取 霊峰・大山を有し大国主神が若き日を過ごした地
・白兎海岸/白兎神社
・大国主神が試練のときを過ごした地
・神々ゆかりの地
・ジオパークにも認定 鳥取砂丘
・鳥取の注目SPOT
・倉吉の注目SPOT
・米子の注目SPOT
・鳥取、島根の『古事記めぐり』1泊2日ドライブコース

●淡路島(兵庫県) 国生みし神話が宿る“はじまりの島"
・国産み神話の舞台 沼島
・御食国、淡路島のごちそう
・淡路島の注目SPOT
・淡路島の『古事記』めぐり1泊2日ドライブコース

●奈良 記紀が編纂された古代国家形成の地
・記紀に残る日本最古の道 山の辺の道
・カムヤマトイワレビコゆかりの地 橿原
・記紀編纂はじまりの地 飛鳥をサイクリングで巡る
・葛城古道ウォーキング
・平城宮跡を中心とした佐保、佐紀路
・奈良市内のみどころ
・東大寺/春日大社/興福寺/奈良公園周辺/薬師寺/唐招提寺
・ならまちをぶらり散策
・奈良グルメ
・奈良みやげ
・記紀編纂を1泊2日で旅する
・持統天皇の恋路を1泊2日で巡る

●宮崎 「天孫降臨」「海幸彦山幸彦」そして神武天皇船出の地へ
・高千穂 天孫降臨の舞台を訪ねる
・美々津
・西都原古墳群
・宮崎タウン
・日南海岸
・霧島
・宮崎の『古事記』めぐり1泊2日ドライブコース

 地図で読む『古事記』『日本書紀』 (PHP文庫)
 武光 誠
 PHP研究所

奈良のほか、島根・鳥取、淡路島、宮崎と、エリアの選択も適切である。地図も豊富で、タウンガイドやグルメ情報も豊富なので、これ1冊で、古事記ゆかりの地を楽しく巡ることができる。編集スタッフのなかには、『るるぶ奈良』の取材でお世話になった、長谷川ゆかりさんや八木孝さんのお名前もあった、懐かしい! なお「背景を含め、もう少し詳しく知りたい」という方には、『地図で読む「古事記」「日本書紀」』590円という文庫本があるので、併読されることをお薦めする。両方買っても1500円ほどで済む。

敬遠されがちな『古事記』が、このように鞣(なめ)されて提供されることで、同書に関心を持つ方がますます増えることだろう。まもなく「神話博しまね」も始まる。ぜひ『るるぶ古事記』を携えて、古事記ゆかりの地をお訪ねください!
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かげろう座2012は、5/27(日)開催!(Topic)

2012年05月24日 | お知らせ
現在の形の「かげろう座」としては最後となる「自由市場 かげろう座2012」は、5月27日(日)10時~16時、五條市の新町通り・エビス通り・商励会通りで開催される。スタッフが高齢化するなか、第20回となる今回で一旦ピリオドを打ち、今後の開催については、今年と来年の1年間をかけて検討されるとのことである。今朝(5/24付)の産経新聞奈良版《五條の名物フリマ「かげろう座」終了へ 27日の20回目》《市民ら「続けてほしい」運営メンバー高齢化》によると

江戸時代の町並みを残し、国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)にも指定されている五條市の「五條新町」地区で毎年、開催されてきたフリーマーケット「かげろう座」が27日、20回目の今年を最後に終了する。運営する実行委員会メンバーの高齢化などが理由。市民らからは「続けてほしい」との要望も根強いが、後継者の確保も難しいため、惜しまれながらの閉幕となる。

かげろう座は、五條新町地区の活性化を目的に、地元住民らが平成5年に始めた。地区を走る旧街道約2・5キロの沿道にある家の軒先などを使い、フリーマーケットを開催。作家が手作りした木工品やガラス製品などの商品を並べ、販売してきた。最初の来場者は約2千人だったが、年々増加。五條新町が重伝建に指定された22年には約6万8千人が訪れ、名物イベントとなった。

一方で、運営する実行委メンバーも、始めた当時は30~40代が中心だったが、次第に高齢化。フリーマーケットは実際に住んでいる家の軒先を借りるため、地域的なつながりのない地区外の市民を後継者にすることは難しく、今年を最後とすることにした。実行委メンバーの北山和生さん(62)は「当初の目的は達成されたし、自分たちも年を取った。イベントが大きくなりすぎて収拾がつかなくなったので、今年で一区切りつけようという結論に達した」と説明する。

来場者が増えれば店も増え、店が増えれば来場者も増えるという相乗効果で規模が膨れ上がり、いまでは手作り作品以外の店も登場。会場ではバンドのライブなども行われている。こうした現状に、北山さんは「出店者を絞るのも不公平になるし…」と運営の難しさを打ち明ける。ただ、フリーマーケットの出店者や市民らからは「やめないでほしい」などと存続を求める声も依然、根強い。

このため実行委では、いったんかげろう座を終了した後、小規模化したフリーマーケットとして年2回程度開催する案や、テーマを決めて出店者を絞りこむ案なども検討しているが、来年以降の予定は現在のところ白紙の状態だ。北山さんは「続けるにしても、自分たちに見合った形にしていきたい」と話している。最後となるかげろう座は27日の午前10時~午後4時、五條新町の新町通りなどで開催。約400店の出店を予定している。問い合わせは実行委((電)0747・22・2720)。

イベントが小規模だと集客力がないので開催する意義が薄い、しかし大規模になると運営が難しくなる…。主催者にとってはジレンマであるが、第3の道はあると思う。それはぜひ、時間をかけてじっくりと検討していただきたい。何しろ、県下有数のフリーマーケットなのだから。

昨年は季節外れの台風で中止となったので、今年は2年ぶりの開催である。
ぜひ、お訪ねいただきたい。
※パンフレットはこちら、マップはこちら


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日本経済を再生するには? by 野口悠紀雄

2012年05月23日 | 意見
製造業が日本を滅ぼす
野口悠紀雄
ダイヤモンド社

5/17(木)、内閣府は2012年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値を発表した。同日の日本経済新聞(夕刊)によると、《GDP実質4.1%増 1~3月年率 3期連続プラス 個人消費が堅調 景気判断引き上げへ》《内閣府が17日発表した2012年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は物価変動の影響を除いた実質で前期比1.0%増、年率換算で4.1%増となった。季節調整で昨年10~12月の伸びがプラスに改定され、3四半期連続のプラス成長になった。自動車販売を中心に個人消費が堅調だったほか、東日本大震災からの復興需要も景気をけん引している》。

この数字には、手放しで喜ぶわけにはいかない。政府の支出に支えられているからだ。翌日(5/18)の同紙の社説は《成長力強化へやることは多い》《2012年1~3月期の実質経済成長率が前期比年率で4.1%となった。予想を上回る数字である。日本経済が昨秋以降の停滞局面を抜け出し、着実に持ち直しているのは確かだろう。だが、エコカー補助金の復活や東日本大震災の復興支出という政策効果に支えられたのは否めない。景気の持ち直しを本格的な回復につなげるため、官民が成長基盤の強化に取り組むべきだ》としている。

5/18の日経新聞には、もう1つ《フェイスブック上場と新産業創出の道筋》という社説も出ていた。《交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックが週内にもナスダック市場に上場する。利用者は世界で9億人を突破し、知名度は抜群。弱冠28歳の創業者、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者は映画スターのような人気で、投資家広報に訪れた米国の各都市では一目姿を見ようと、ファンが押し寄せたという。上場時の株式時価総額は1000億ドルを突破する可能性もあり、米グーグルを抜いてインターネット関連企業として史上最大の上場案件になるのは確実だ》。

《日本でも「新たな産業、新たな企業の創出が課題」と長年言われながら、なかなか果たせない。(中略) フェイスブックのような大型新人を生み出し続ける米国と日本の違いは何だろう。一つは新奇なものをいたずらに排除せず、懐深く受け入れる社会の厚みではないか。ベンチャー企業はそもそも未熟な存在であり、また従来にないサービスや技術に挑戦することから失敗も多く、行き過ぎもある。フェイスブックの場合も、出発点は女子学生の美人コンテストといういささか問題の多いサービスだった。近年も個人情報の管理をめぐって、米当局の調査対象になったこともある。だが、誤りを是正すれば、企業として命脈が断たれることはない。新人の失敗に寛容な米国の社会風土が、有力ベンチャー企業が次々に台頭する背景にある》。

《二つ目は豊富な投資資金だ。日本の昨年のベンチャーキャピタルの総投資額は294億円だったが、フェイスブックは1社で昨年1月に15億ドル(1200億円)を調達した。新企業に流れ込むカネの厚みに歴然とした差がある。そして最後に人材の流動性。成長する企業には優秀な人材が集まり、それが成長を加速する。(中略) 先進国経済が足踏みする中で、それを突破する有力な道筋が新企業や新産業の創出だ。フェイスブックの軌跡は日本にとっても示唆に富む》。

確かに日本では、「新産業の創出」が焦眉の急である。野口悠紀雄氏(一橋大学名誉教授、早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問)は、インタビュー記事「日本経済を再生するには?」(週刊ダイヤモンド2012.4.14号)で同趣旨の持論を展開されていた。リード文は「日本経済のあり方に対し、一貫して警告を発し続けてきた野口悠紀雄教授。そして今、日本は野口教授が危惧していた通りの事態を迎えている。問題の根本と、再生への方策を聞く」だ。野口氏は最近『製造業が日本を滅ぼす』(ダイヤモンド社刊)1,575円という本も出されている。以下、記事をピックアップして紹介する。少し長いが、ぜひお読みいただきたい。なお太字は私がつけた。

日本経済の問題点は、どこにあるのでしょうか。
世界経済の大きな変化に、産業構造が対応していないことです。それが日本経済の不調の基本的な原因と言っていい。変化とは、新興国、特に中国の工業化ですね。それまで日本をはじめとする先進国の製造業が作っていたのと同じモノを、非常に安価な大量の労働力を使って、安く製造できるようになった。同じ分野で競合しても、勝てるはずはない。他の、新しい分野を見いだす必要がある。重要なのは、それが生産性の高いサービス産業であるということです。
 
これらの変化は1990年代半ばから起こっています。ところが日本は、産業構造を変えるのではなく、従来の製造業の生き残りを図った。金融緩和と円安誘導の経済政策を行い、特に2003~07年ごろには、異常とも言える円安が進みました。その結果、日本の製造業の価格競争力が上昇し、乗用車の対米輸出を中心にして、輸出が増加した。輸出主導の経済成長が実現したわけですね。

それが、09年の世界経済危機で、一挙に問題が明らかになったということです。特に今年の春には、家電産業を中心にして大幅な赤字の決算が生じ、公的資金を注入して政府が後押ししてきたエルピーダメモリが破綻しました。

デフレが日本経済不調の原因だという意見もあります。
日本で下落しているのは工業製品、特に大企業の大量生産製品です。テレビやカメラの価格は10年間で10分の1になっている。他方でサービスの価格は上昇している。起きているのは相対価格の変化であって、デフレではないのです。
 
日本だけでなく、米国でも工業製品の価格は下落しています。ただし、米国ではそれ以上にサービス価格の上昇が大きいので、差し引きで物価はプラスになっている。ここから言えるのは、いかに金融緩和したところで、物価上昇が起きるはずはないということです。

08年には消費者物価指数(前年同月比)が1%を超えました。原油価格が上昇したからで、金融危機の影響で08年第1四半期以降に輸出が減少したにもかかわらず物価が上昇した。09年にはリーマンショックで需要は激減しましたが、それによって消費者物価が下落したわけではない。物価を動かしているのは国際的な要因であって、国内の需給で決まっているわけではないということです。

この状態は、一時的なものではないのでしょうか。
私はいまや「日本の製造業は農業化した」と考えています。高度成長期、農業は生産性を高めることができず、政府からの補助に依存する産業になってしまった。その結果、ますます生産性が低くなっていった。今、製造業はそういう状況に陥っています。

まず世界経済危機後、一つには雇用調整助成金という形で、大量の過剰労働力を企業の中に維持し、失業率を見かけ上、低くした。もう一つが、エコカー補助金やエコポイントなどで、自動車産業や電機産業の需要を一時的に膨らませた。エコカー補助金はいったん停止されたものがまた復活しましたね。これは日本国内での自動車産業が、補助なしには立ち行かなくなったことを意味していると思います。そうやって製造業を支援したにもかかわらず、日本経済全体として見れば、11年の貿易収支が赤字になったわけです。

貿易立国がもはや成り立たなくなったのです。
外国から燃料や原料を輸入し、加工して輸出する、というモデルの採算性が取れなくなった。ですから、個々の企業のレベルで従来のビジネスモデルからの脱却を図ることが必要であり、さらに今、日本経済全体で“輸出立国モデル”からの転換が必要になっているのです。

転換のためには、どうしたらよいのでしょうか。
まず第1に、政府が古いものを助けようと思わないことです。

今まで政府が行ってきたのは、雇用調整助成金にしてもエコポイントにしても、今までのものを残そうということでした。為替介入や金融緩和もそうです。それらをやめる、要するに政府が変化を阻止しないこと、それがまず必要条件です。

米国のIT産業も、別に政府が後押ししてグーグルやアップルを育てたわけではありません。新しい企業や産業が生まれてくるのは、市場での競争と淘汰の過程にしかない、ということがこれを見ればはっきりわかります。だから、さまざまな面で規制緩和を進めることによって、経済が持っている活力を使うべきです。それが第2点です。

日本でも、新しい企業・産業は生まれるでしょうか。
まだ可能だと思います。時間はあまり残されていませんが、その活力は十分にあると言ってよい。「はやぶさ」が帰ってきたときの感動を、産業面で実現できないか、ということですね。そのために必要な第3点は、「人材開国」です。

米国のシリコンバレーも、「IC」と呼ばれるインド人と中国人の寄与か非常に大きい。シリコンバレーの専門的な技術者のうち、外国人が60%を占めるといいます。それに対して日本の場合、労働力全体に占める外国人労働力の比率が0.3%で、他の国と比較にならないほど低い。この状態を変えることが重要です。

日本人の雇用が奪われる危惧はありませんか。
それはパイの大きさが一定で、それを奪い合うという発想ですが、実際には、英国の場合も米国の場合も、人材開国によって経済のパイが大きくなり、1人当たりの所得が上昇するということが起きたのです。

とりわけ重要なのは、中国人だと思います。中国が大学生を過剰生産しているからです。過剰生産の結果、彼らの賃金は低い。日本の10分の1以下の賃金で、日本の学生の上位10%と同じレベルの労働力をいくらでも使える。ただしこれも、タイムリミットがあります。中国人の所得が上がってきたら、もう不可能です。円高の追い風もある今こそ、まさにチャンスなのです。

新興国で作り新興国で売るのが、製造業が生き残る策ですか。

今、一般に考えられているのは、新興国の中間層にモノを売るということですが、私はこれには疑問を持っています。新興国に売るよりは、先進国に売ったほうが稼げる。例えばアップルは、製造の部分は台湾のEMS(受託生産企業)の中国子会社フォックスコンに任せて、その製品を先進国で売っています。開発・設計、そしてブランドカを使って売るという、付加価値が一番高いところだけをやっている。これが正しいモデルです。

ましてや、高賃金国が国内でモノを作って低賃全国に売って利益が出るはずがない。日本の電機メーカーは、液晶パネルで国内に大きな工場を造り失敗しました。全く逆なのです。そもそも“作る”部分をやっているから駄目なのであって、製造は、中国などのEMSに任せればよいのです。ただし、製造過程を捨てるだけでビジネスが成立するわけではありません。開発・設計とブランドの両方が強いことが重要です。

そのとき、今まで製造過程に雇用されていた人たちは吸収できるでしょうか。
新しいサービス産業が生まれることが必要です。製造業を国内にとどめることによって、雇用を維持するという考えは間違いだということです。これまでも、製造業の雇用は減り続けてきているのです。90年代初めには、製造業の雇用者数は1400万人あった。それが今、1000万人。実に400万人減です。しかも、03~07年の輸出主導経済のとき、製造業の利益が非常に増加した過程でも、雇用は減っている。今でも、雇用調整助成金申請数が80万人ほどあります。つまり、まだ過剰雇用がある。製造業が国内に残ったところで労働者は放出されます。答えは、新しい産業をつくるしかないということですね。


「製造業は農業化した」「人材開国」「新しい産業を作るしかない」と、発言はカゲキだが説得力がある。『製造業が日本を滅ぼす』の紹介文にも《自動車や電機など製造業の輸出が落ち込み、日本を支えてきた輸出主導の成長モデルが崩れている。これから製造業は復活できるのか、円高は是正されるのか。日本経済論の第一人者が日本の貿易構造や為替の先行きをつぶさに分析し、人材開国、高度サービス業の育成など、貿易赤字時代を生き抜く処方箋を示す》とある。新しい産業(高度サービス業)は政府が後押しして作るのではなく「市場での競争と淘汰の過程にしかない」。出でよ、イノベーター!
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日食と天の岩屋戸ごもり

2012年05月22日 | 記紀・万葉

昨日(5/21)の金環日食は、まさに「世紀の天体ショー」だった。奈良は薄曇りだったが、とてもよく見えた。読売新聞夕刊(5/21付)は1面トップで「天空リング 神秘の輝き 金環日食932年ぶり広域観測」、3面では写真グラフで「世紀のショー 列島歓喜」、社会面(10~11面)では「見えた!黄金の環」「同じ場所 300年に1度」と、大々的に報じていた。

10面にはQ&Aが出ていて《日食はいつ頃から観測されていたの》というQに対しAでは《日本では、日本書紀の628年4月10日の記録が最初。このほか天照大神が岩屋に隠れる「天岩戸伝説」は、247年3月24日、248年9月5日と、2年続いた皆既日食を指している、とする説もあります》と出ていた。以前、当ブログの「冬至と天の岩屋戸ごもり」(11.12.23)で、この神話を「冬至を過ぎて太陽が弱まった力を取り戻すということを象徴したもの」とする「冬至説」を紹介したが、今回は「日食説」(天の岩屋戸ごもりは日食を表したもの)を紹介する。

日本で初めて「日食説」を唱えたのは荻生徂徠で、『南留別志(なるべし)』という随筆集に書いているそうだ。国立天文台報(2008 第11巻)「七世紀の日本天文学」(谷川清隆・相馬充)によると、《筆者らの知る限り、日本の天文記録に言及した近代人は荻生徂徠が最初である。彼は、「南留別志」に 日の神の天の磐戸にこもりたまひしといふハ、日食の事なり。諸神の神楽を奏せしといふハ、日食を救ふわざなるべし。と書き、日本書紀巻一神代上に書かれた「天の磐戸」の記事は日食についてのものであると解釈する》とある。

今朝のFacebookには「太陽が陰ると、風が急に冷たくなるんですね」「日食の影響か、鳥の鳴き声も少し違う感じです」「日食の間、近所の犬たちが一斉に吠えだし、犬界でも、ただならぬ様子をキャッチしていた模様」「太陽がまん丸に戻るまで、ゆったりと過ごした時間もいとおしい。光が戻るに連れ、雲雀たちが歌いだした」という感想が寄せられ、「私は怖くて外に出られませんでした。日食苦手なんですよねぇ」というコメントには「古代の人びとを彷彿とさせる反応ですね(笑)」というツッコミが入っていた。天文学を知らずに日食を経験した古代人は、それは驚いたに違いない。

夜会 VOL.4 金環蝕 [DVD]
中島みゆき
ヤマハミュージックコミュニケーションズ

中島みゆきは、自ら「言葉の実験劇場」と呼ぶ舞台「夜会」をほぼ1年置きに開催している。その第4回(1992年)が「金環蝕」だった。《古事記と日本書記に出てくる“アメノウズメノミコト”って知ってますか? 中島みゆきが問う日本女性像。言葉の可能性を求めた実験劇場『夜会』第4回公演「金環蝕」のすべて》(『金環蝕(夜会)』シナリオ集の紹介文)。

申すまでもなく、アメノウズメノミコト(天宇受賣命)は、天の岩屋戸の前で「神懸かりして胸乳(むなち)をかき出で、裳緒(もひも)をほと(女陰)におし垂れき。しかして高天の原動(とよ)みて、八百万の神ともにわらひき」(古事記)という、あの女神である。荻生徂徠の「日食を救ふわざ」を演じたのである。これを中島みゆきが舞台でどんな風にやったのか、想像すると少しコワい気がするが…。ともあれ、「金環食」と「天の岩屋戸ごもり」を結びつけ、それを舞台に仕上げた中島の慧眼には、脱帽する。

さて、次は6月6日。金星が太陽の前を横切るそうだ。今度は日食めがねを用意して、じっくり観察することにしたい。
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