患者用手術着(?)というような服を着せられていた。
ボタンだらけで、どこからでも着脱できるようになっていて、全部のボタンを外せば、何枚かのパーツになるようだ。
厚ぼったくて生成りで、原始人が来ていそうな被り物風。
手術が終わって、台からベッドに降ろされる時に着せられるのだろうと思われる。
その下は、こちらで用意するように言われていたマジック式紙おむつだけ。
首を動かせなくて苦しくて眠れぬ夜が始まる前に入れ替わり立ち替わりナースが来た。
私の身体についたコードの先の計器を読み、管の先の液体をチェックし、接続具合を点検する。
皆がテキパキと職務職責を全うしていく中で、一人のナースが笑いを含んだ声で、「きんさんみたいになってるなぁ」と言ったことがある。
『金さん、銀さんの金さんのことか?』と苦しみながら思った。
首は固定状態で両腕もあまり動かせないから、確かめることもできず、しばらく分からなかった。
苦しんだ長い夜のどの時点か、ちょっと肩が寒いと感じたことがあって初めて意味がわかった。
着せられている変な服がずれて、肩が露出するらしい。
『遠山の金さん』状態をとっさに表現したひとり言なのであった。
お白州側の情けない状態にたとえられなかったのは幸い・・とは今しがた思うこと。