鳥瞰ニュース

空にいるような軽い気分で・・・

病室の存在感

2020年04月28日 09時51分41秒 | 健康ネタ




四人病室でのそれぞれの存在感は、否応なしにそれぞれの病態を表す。
他人に配慮したり遠慮したりする余裕はなくて、私の術後数日はひどかったはず。
自分の最悪に苦しい夜を書いてきたけれど、『耳鼻咽喉科病棟の夜』といったタイトルにしてもよかったな・・などと、これを書く時点ではここまでゆとりを持てる状態になった。
腫れが引いてきている。
カーテン越しに聞こえてくる盛大な音や、ナースとのやりとり、ケアマネージャーや療法士(訓練を病室でしていたから)の話が耳の遠くなった私にも聞こえてくるのを検討するまでもなく私はおそらく四人の中では最軽症者だ。
人が出す音という音を聞いていると、人間は粘液を出し続けてそれらの滞留が耐えられない生き物なんだなという気がする。
最悪の夜以後の私は、電動ベッドの背の角度をしょっちゅう変えて、その時々に違うベスト・アングルを探す手間を惜しまずにやり、少しは眠れる時間を持てるようになった。
それでも相変わらず真夜中に起きていることが多くて、そんなときに、病室に物音が全くしない時間が訪れたりする。
鼻風邪を引いてるときも眠り込んだら、鼻水がでないから、人間の身体は良い睡眠状態になると粘液の浸出も止まるのかもしれない。
疲弊しきった身体にしばらく熟睡の平和が訪れているのか。
と思いつつも、誰か息を全くしなくなった人がいるのではないか・・まさか自分が死んだのかとまでは思わないけれど・・。
こちらは声は出さずとも常に首を絞められ続けているしんどさなのだ。
対角の人はだいじょうぶかと気を揉んだりもしているうちに、ズズズズズーブジュブジューと痰の吸引音が聞こえてきて安堵したりする。
隣からは『ゴールデンウィーク明け辺りには退院も考え始めなければ・・歩く練習してみる?』などと言われているのが聞こえる。
どうも身内がいないようで、ナースが戦友状態になっている。
前からは1ヶ月経てば退院できるらしいからなどという声が聞こえた。
やはり半月の入院で済む私は、軽く扱われても仕方ない軽症患者だ。
それにつけても、ついつい聞こえてしまう会話から、映画『イングリッシュペイシャント』の従軍看護婦と瀕死の傷病兵なども思い出す。
あの映画のナース同士の会話に、『どうするのアンタは』『私は彼を看取ってから行くわ』というシーンがあった。スゴイ!
人を看るために生まれてきたような人は居るものだな・・と思う
受け答えの柔らかさにテキパキとした言い方や慈愛のこもった言葉尻と間合い。
朗らかさと包容力、自然な同情と同調、聞こえてくるのを何気なく聞いているだけなのだけれど、見つめられて自分が看られているように惹き込まれたりもする。
『ラピュタの城』で、見張りの若い二人の会話を艦内の皆がうっとりと盗み聞きしているシーンを想い出したりもした。

画像は、シャワー浴びて絆創膏を剥がした後の傷露出と絆創膏を自分で貼った後。
コメント (4)
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