鳥瞰ニュース

空にいるような軽い気分で・・・

最悪の夜・・・その3

2020年04月26日 00時58分18秒 | 健康ネタ


眠りにストンと落ちる度に呼吸ができなくて、ゲホゲホと目覚める。
そのことをナースに訴えると、睡眠時無呼吸症候群と言われたことはないですかと聞かれた。
それは無いし、いびきをかくということもない、と答えた。
血中酸素濃度も保たれているし、呼吸が浅くなったとしても問題ないですよ、と言う。
そこで、イライラして指を立てて言う、呼吸が浅くなるんじゃなくて呼吸ができなくなるんだ、と。
とにかく横向きになれないし、なんとかならないもんだろうかと言うのだが、眠剤なら先生に言えば出してもらえると思うんですが、と言う。
腹が立って、今の状態で眠ったら呼吸ができなくなって死ぬよ、きっと、と私は訴えた。
眠りたいけど眠ったら息ができないから起きていたいんだ、覚醒剤ってずっと起きていられるんだったらそういうのが欲しいんだ、と説明した。
そういうのはないでしょうし、とにかくここを離れても向こうのモニターでずっと私たちが見ていますから眠れるベッドの角度を探してみてください、と言う。
冷静に諭されて、そうだな独りで頑張るしかないんだな、と思うしかなかった。
ずっと以前のアメリカ映画で、あるドラッグの効果で疲れ知らずになり動き続ける若者のシーンを観たことがある。
覚せい剤というものの服用で眠ることを防げるなら、本当に欲しいと思った。
それからは、眠りに落ちては咳き込むのを繰り返し、数を数えてみたり、足の指なんかを曲げたり伸ばしたり、拳を握ったり開いたり、身体が暑くならない程度に小さい運動をするのだが、ストンと落ちてはゲホゲホをずっと、何百回も繰り返した。
ナースがいろんなチェックをやりにくる度に時間を聞き、すべての時間を言ってもらった気がする。
しまいには声に出さずに指を立てて示してきた。
窓のロールカーテンを上げっぱなしにして、カーテンも開けっ放しで隣の病棟のロールカーテンの隙間から漏れる薄明かりを見つめ、空が白んで行くのをゲホゲホ言いながら待った。
映画『カッコーの巣の上で』の主役ジャック・ニコルソンが精神科医に飛びかかって首を占めるシーンを思い出したりした。
首を絞められて顔を真っ赤にした女医が、看護助手に助けられて息をゲホゲホしている迫真の演技は実演をしたのではないかと思う。
首自体が包帯できつく巻いてあり、なおかつ腫れて息苦しくなっているのに舌がふたをするのではどうにもならない。
顔全体にガーゼをかぶせて水滴をポタポタ落とす拷問のシーンを思い出したりもした。
私はさほど頑張ることもせずに、なんでも言われる通りになり、簡単に白状だってやりそうだ。
本当に長い長い眠れぬ夜。
コメント (6)
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