中越地震によってひび割れたままになっている犬走りが、ずっと気になっていたのだけれど、土木工事業だった友人に補修を頼んだ。
えぐれた部分にコンクリートやモルタルを詰めるだけなのだけれど、セメントと砂を混ぜるのでさえ水加減が微妙に難しい。
土木知識はあっても元監督は実践経験に乏しく、詰め方やコテ押さえさえも、2人で試行錯誤となる。
一発でやろうとしたら必ずろくなことにならないのがこういう工事なので、面倒をいとわず、工夫も必要で、どんどん小道具の持ち出しが増えていく。
そうこうしている時にヤマトシジミが飛んできて、私の左手こぶしに止まり、何かを吸いはじめた。
セメント混じりの水に触れても、手荒れを起こさない私は、こういう仕事も素手で平気なのだ。
ヤマトシジミは単なる水を吸い上げているのではなくて、セメントの溶けた水が好みのようだ。
右手は自由なのでスマホを取りだし、片手で撮るのは苦手なのだけれど、なんとかやってみた。
ゼンマイ式のストローを伸ばしてチューチュー吸っているのが画像でも分かる。
吸口の感触がかすかに感じられて、くすぐったくもあり、もしかして汗腺から直接に塩分を摂っているのかもと想像した。
撮るために動いてしまい、飛んだから、逃げるのかと思えば、今度はズボンに止まったりして、しばらく私に執着していたのは、セメントか汗の匂いかに惹かれていたものと思われる。
雇われ仕事でも急ぎ仕事でもないので、しばらく蝶を観て遊ぶ。