透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

国宝「白楽茶碗 銘 不二山」

2019-07-28 | A あれこれ

 旧開智学校校舎(松本市)が国宝に指定されることが決まったので、長野県の国宝は10件になる。昨日(27日)諏訪市湖岸通りにあるサンリツ服部美術館まで出かけて「白楽茶碗 銘 不二山」を鑑賞してきた。これで10件全てクリア。



特別企画展「茶人に愛された数々の名碗」で本阿弥光悦作の国宝「白楽茶碗 銘 不二山」と、同じく光悦作の「赤楽茶碗 銘 障子」はそれぞれ会場内の独立ケースに展示されていた。

不二山という銘の国宝は、バランスがよく、存在感のある茶碗だと感じた。会場で書き写してきた説明文を載せる。**うつわ全体に白釉を掛けるが焼成中に下半分が黒く変化した。雪を頂く富士を連想し、また二つとない出来だったため「不二山」という銘がつけられた。**

なぜ赤楽茶碗に障子の銘が付けられたのか。**腰の部分に3か所裂け目があり、そこに透明釉がかかり、日にかざすと光が透けて見えるため、割れを障子の組子に見立てて「障子」という銘がつけられた。** 説明の通り、照明の光が透過する3本の細いすじが確認できた。茶碗に障子の銘・・・。なるほど! この疑問が解けた。

どちらも予期しない偶然が名品をつくったと言える。自然との共作、いかにも日本的だ。 


〇長野県の国宝

・松本城(松本市)
・善光寺本堂(長野市)
・仁科神明宮(大町市)
・安楽寺八角三重塔(上田市)
・大法寺三重塔(青木村)
・土偶・縄文のビーナス(茅野市)
・土偶・仮面の女神(茅野市)
・紙本墨画寒山図(諏訪市)
・白楽茶碗 銘 不二山 (諏訪市)

・旧開智学校校舎(松本市 国宝指定の答申あり)


旧開智学校校舎見学会 8月3日
仁科神明宮本殿檜皮葺きの葺き替え工事見学会 8月4日

 


「スピリチュアルペイン」

2019-07-28 | A 読書日記

図書カードで本を買う

図書カード9

 図書カードで買い求めた最後の本『スピリチュアルペイン』細田亮/幻冬舎を読んだ。

書名のスピリチュアルペインという耳慣れないことば、副題の死を待つ人の「魂の痛み」がこのことばの意味を示しているが、明確な概念規定となるとなかなか難しいようだ。

29ページの図表に「身体的苦痛」「精神的苦痛」「社会的苦痛」「スピリチュアルペイン」が痛みの分類として示されている。更にスピリチュアルペインの内容として「人生の意味、罪の意識、苦しみの意味、死の恐怖、価値観の変化、死生観に対する悩み」が同図表に挙げられている。

身体的苦痛、精神的苦痛は経験することがあるが、スピリチュアルペインというのは終末期患者となって初めて持つ痛み。これはどう生きて、どう死んでいくかという人生の本質に関わることであろう。医療だけでは対処できない痛みであることが本書に示されている。

第1章に「超高齢社会から多死社会へ」という見出しの節があるが、たくさんの人が亡くなることが社会問題化することが当然のこととして予見されている以上、スピリチュアルペインについて無関心ではいられない、とは思うが。

**(前略)多死社会を目前にした今こそ一人ひとりが死と向き合い、思い残しのない看取り、そして自身にとって思い残しのない人生の幕引きとは何かを考えようではありませんか。そしてそれがすなわち、死を考えること=生を考えることなのです。**(176頁)と著者の細田氏は本書を結んでいる。

どう死んでいくか、ということなど考えたこともなかったが、人生の課題として意識しなくてはならない、ということか・・・。

『スピリチュアルペイン』細田亮著(幻冬舎)


図書カード(10,000円)で買い求めた本一覧

1 『富士山はどうしてそこにあるのか』山崎晴雄/NHK出版新書
2 『歌舞伎はスゴイ』堀口茉純/PHP新書
3 『江戸の不動産』安藤優一郎/文春新書
4 『日日是日本語』今野真二/岩波書店
5 『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』加藤陽子/新潮文庫
6 『日本の思想』丸山真男/岩波新書
7 『新聞記者 疋田桂一郎とその仕事』柴田鉄治・外岡秀俊/朝日選書
8 『日本一おかしな公務員』山田 崇/日本経済新聞出版社
9 『スピリチュアルペイン』細田亮/幻冬舎