和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

『一隅を照らす』レッスン。

2022-11-08 | 本棚並べ
『大村はま』。この人をどう読んでゆけばよいのか?

思い浮かんだ言葉は『一隅を照らす』。
無理やり、全体を照らすわけじゃない。

とりあえず、古本で注文した
大村はま著「学習慣用語句辞典 普及版」三省堂。
なんとも黄ばみがはげしいのですが、それはそれ。
ちょっと、電車やバスの中でひらきたくなる一冊。

この「はじめに」から大村はまさんの言葉を引用。

「 ことばの勉強というと、このことばは、こういう意味と、
  別の少しやさしそうな日常的な、前から知っている
  ことばで言い換えようとします。

  しかし、それでは、ことばを使って生きていく人間の
  力にはならないのです。ことばは、生活場面のなかで、
  じかに出会って学ぶべきものです。

  いろいろの生活場面、いろいろな話題を取り上げていますが、
  どれもみな、実際の生活場面、事実から、材料をとりました。 」



うん。ここでは「はじめに」だけを引用してゆきます。

「ことばには、いくつかのことばがいっしょになると、
 その一つ一つのことばが、それぞれ持っている意味とは違った、
 別の意味を表してくるものがあります。・・・・・・・・

 特に勉強の機会がないと、『顔・ひろい・筆・たつ』という
 ことばをよく知っていても、この一まとまりのことばとしては
 わかりません。

 昔、なにかの場面で、ある人が、あの人にもこの人にも、
 親しそうに声をかけているようすを見て、
 だれかが、『顔がひろい』という言い方をしたのでしょう。

 それが、その場面のその人のことを言うのにぴったりした
 表現に思えた人があって、次に同じよう場面があったときに使い、
 それがまた人の共感を呼び、だんだん、広く、たびたび使われる
 ようになって、こういう意味が定まってきます。

 いつからとも、だれが作ったともなく、
 生活の中から慣用語句が生まれます。・・・・

 実際には、教訓があるといえばあるような、
 ないといえばないような、区別のつけにくいのがあります。
 ・・・・・

 この辞典の大きな特色は、中学生の話し合いの形で、実際の
 生活場面で使われているすがたで、生きたことばのまま、それぞれの
 慣用語句の意味と使い方とを身につけられるようにしたことです。

 これは、もともと、『国語教室通信』という、
 私の国語教室の週刊手作り新聞の一部分に連載したものです。

 『このごろの子どもは、ことばを知らない』となげくのを聞くとき、
 それが慣用語句である場合がかなり多く、
 教科書には、案外出ていないので、この『国語教室通信』の
 一部を使って、慣用語句に通じさせようとしました。   」


 「 巻末に、参考までに、説明をつけました。
   前の話し合いを読み、この説明を読み、また、
   もどって、前の話し合いを読んでくださったら、
   いっそうよくわかると思います。・・・     」


はい。この古本を手にして、こうして書いていると、
サン・テグジュペリ「星の王子さま」のセリフが思い浮かびました。

 『 うん、こんなのが、ぼく、ほしくてたまらなかったんだ。‥ 』
コメント
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