震災関連で、思い出しては数年ごとに本棚から取り出す本に
長谷川櫂著「震災歌集」(中央公論新社・2011年4月25日発行)があります。
短歌なので、その都度別なことを思い浮かべたりします。
たとえば、
避難所に久々にして足湯して
『 こんなときに笑っていいのかしら 』 (p126)
この短歌から、『ひょっこりひょうたん島』の主題歌の
泣くのはイヤだ笑っちゃお
という言葉が、思い浮かんだりします。
この歌集の最後から二番目に、こんな歌がありました。
ピーポーと救急車ゆくとある街のとある日常さへ今はなつかし (p143)
今回は、この短歌と、後藤新平の提議とが重なって思い浮かびました。
「 何を措いても、民心の安定を図る事と、
罹災者の救護を完了する事が、絶対要件だと思って、
閣員に命じて警察、憲兵、海軍、陸軍及び各省をして
善処せしむる様に措置せしめたが、
皆よく其の任を竭(つく)して呉れた。
民心安定の為めの一方法として、後藤(新平)内相は、
兵に市中を喇叭(ラッパ)を吹き歩かせて貰いたい
という提議をしたのも、此の時だ。
恰(あたか)も海軍に於いて、
サーチライトを照らさせた事が、国民に、
どれ程よい感じを持たせたか判らないことであったから、
平凡ではあるが、大変良い考えと思って、
早速田中陸相に命じて実行させた。
此等はホンの一挿話に過ぎざる様の事であるが、
余程市民の心を和げた様に思う。
其の他各機関共に、よく働いて呉れ、又凡(すべ)ての人が、
実によく、呼吸を合わせて働いて呉れた。
国軍の倉を開き、軍艦の食糧を罹災民に提供した事の如き、
たしかに記録すべき事である。 (「帝都復興秘録」) 」
( p159 鶴見祐輔著「決定版正伝 後藤新平」8 藤原書店2006年)
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