和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

講座参考本⑨

2024-07-21 | 詩歌
震災関連で、思い出しては数年ごとに本棚から取り出す本に
長谷川櫂著「震災歌集」(中央公論新社・2011年4月25日発行)があります。

短歌なので、その都度別なことを思い浮かべたりします。
たとえば、
  
  避難所に久々にして足湯して
    『 こんなときに笑っていいのかしら 』    (p126)

この短歌から、『ひょっこりひょうたん島』の主題歌の

      泣くのはイヤだ笑っちゃお

という言葉が、思い浮かんだりします。
この歌集の最後から二番目に、こんな歌がありました。

 ピーポーと救急車ゆくとある街のとある日常さへ今はなつかし (p143)


今回は、この短歌と、後藤新平の提議とが重なって思い浮かびました。

「  何を措いても、民心の安定を図る事と、
   罹災者の救護を完了する事が、絶対要件だと思って、
   閣員に命じて警察、憲兵、海軍、陸軍及び各省をして
   善処せしむる様に措置せしめたが、
   皆よく其の任を竭(つく)して呉れた。

   民心安定の為めの一方法として、後藤(新平)内相は、
   兵に市中を喇叭(ラッパ)を吹き歩かせて貰いたい
   という提議をしたのも、此の時だ。

   恰(あたか)も海軍に於いて、
   サーチライトを照らさせた事が、国民に、
   どれ程よい感じを持たせたか判らないことであったから、
   
   平凡ではあるが、大変良い考えと思って、
   早速田中陸相に命じて実行させた。

   此等はホンの一挿話に過ぎざる様の事であるが、
   余程市民の心を和げた様に思う。

   其の他各機関共に、よく働いて呉れ、又凡(すべ)ての人が、
   実によく、呼吸を合わせて働いて呉れた。
   国軍の倉を開き、軍艦の食糧を罹災民に提供した事の如き、
   たしかに記録すべき事である。   (「帝都復興秘録」)   」

   ( p159 鶴見祐輔著「決定版正伝 後藤新平」8 藤原書店2006年)

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