気になって、文芸別冊KAWADE夢ムック『茨木のり子』(2016年)を
古本で購入。ひらくとはじまりのエッセイが工藤直子さんでした。
題が『のり子さんのり子さん』。
うん。そのはじまりだけを引用してみます。
「 昔、友人が一冊の詩集を抱いてやってきた。
『 あなた読んだ? この詩集、まだ? まだなら貸す。
いや、あげる。とにかく読んで。今すぐ読んで 』
それは、出たばかりの『見えない配達夫』、
茨木のり子さんの第二詩集だった。
1958年(昭和33年)。初めての就職でジタバタしているときのことだ。
詩集をもらって『今すぐ(!)』読むうちに
( ああこれですこれです。会いたかった詩だよぉ~ )と思った。
特に『怒るときと許すとき』の
油断すればぽたぽた垂れる涙を
水道栓のように きっちり締め
の詩句が沁み入り、気がつくと私も、
ぽたぽたぽたぽた涙を垂らしていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
はい。エッセイですから、これからが本題なのでしょうが、
私はこれだけで満腹。
さてつぎは、詩集『見えない配達夫』をひらいて、
『怒るときと許すとき』を読まなきゃ。
詩を直接読むより、ボンクラな私は語っているのを、
間接的に聞いている方がより思わぬ発見があります。
そういえば、永瀬清子の詩なんて知らずに読む気にもならなかったのですが、
茨木のり子著「詩のこころを読む」(岩波ジュニア新書)にでてきた
永瀬清子の『悲しめる友よ』で、はじめて腑に落ちた感じでした。
女性が女性の詩を取り上げ、掬い上げる。
そういえば、
皇后陛下美智子さまの英訳とご朗読『降りつむ』(毎日新聞出版社・2019年)
に、永瀬清子の詩「降りつむ」がありました。
私はボンクラ男ですから、こんな女性の詩は、
なにか、別世界にまぎれこんだ気になります。
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