和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

汲(く)みあげるのだ。

2022-01-18 | 本棚並べ
そういえば、鎌田浩毅に池波正太郎の短文を引用した箇所があった。
そう思って、『ラクして成果が上がる理系的仕事術』(PHP新書)をひらく。

その第2章「仕事環境の整備術」の3に「『遊び』を確保する」があり、
そのなかで、池波氏の言葉が引用されておりました。
このなかで、鎌田氏は『バッファー法』なる言葉を登場させております。

「バッファー(buffer)とは『衝撃や苦痛を和らげるもの』という意味で、
鉄道業界など、車両の衝突のさいに衝撃を減らすための緩衝装置を指して
使われてきた用語である。・・・・

資料や機器が自由に移動可能であるようなシステムを、
最初からつくってしまう。ここでは自由に移動できることが、
もっとも重要なキー概念となる。たとえば、
ギュウギュウに詰め込まれた箱の中では、モノは移動できない。」(p66)

この数ページ先に、池波氏の文を紹介しているのですが、
そのすこし前から、引用してみます。

「私の場合、原稿を書くさいには、締め切りよりもずっと早めに
書きあげるようにしている。余った時間にゆっくりと熟成させて、
内容をよくしてゆくのである。・・・・・

このようにすると、締め切りを気にしながら書くときにはとうてい
出てこなかったような、斬新な発想が生まれてくるものなのだ。

時代小説家の池波正太郎は、引き受けた連載は、
締め切り日の半月前に原稿を完成していたそうだ。
彼はこう打ち明ける。

 どの仕事にも余裕(ゆとり)をもって取りかからねばならない。
 余裕とは『時間』である。・・・・・・・・・
 小説の場合、締切りの半月前に出来上がることもめずらしくない。
 しかし、すぐには渡さない。折にふれて机の上に出して見て、
 推敲し、手を入れる。
    ( 池波正太郎「男のリズム」角川文庫p189~196 )

このシステムは作家だけでなく、すべての知的生産に
携(たずさ)わる人に有効であると思う。
バッファー時間には、自分の無意識とじっくり語りあう
ことができる。そうして自分の奥底に潜んでいる何かを
汲みあげるのだ。・・・・・」(p72~74)


BSフジの、池波正太郎の『鬼平犯科帳』を、
録画して、それを嬉々として見たのでした。
亡くなった方々が、時代劇で活躍されてる。

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4 コメント

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『鬼平犯科帳』 (きさら)
2022-01-18 20:25:07
『鬼平犯科帳』は
夫の大好きな番組で ずっと録画しています。
先日亡くなられた 吉右衛門さんの鬼平は
いいですよね~(#^^#)
魅力的な役者さんでしたよね。
昔の時代劇には 私もよく知っている
懐かしい名優さんたちが登場していて 楽しいですね。
返信する
吉右衛門さん。 (和田浦海岸)
2022-01-20 11:39:33
こんにちは。きさらさん。
すみません。
昨日は、ブログ更新しなかったので、
このコメントも気がつきませんでした。
コメントありがとうございます。

懐かしい名優さんたちが
活躍しているのを見れるのはいいですね。
うん。これから鬼平犯科帳、
録画しておくことにします(笑)。

はい。池波正太郎から鬼平犯科帳へと
きたところでのコメントで楽しめました。
私は鬼平犯科帳は読んだこともなく、
もっぱらテレビです。
返信する
守備範囲 (ハピオ)
2022-02-11 12:30:23
こんにちは。
『ラクして成果が上がる理系的仕事術』
まで読んでいらっしゃるとは、
守備範囲の広さとその記憶力に脱帽です。
返信する
はじめまして。 (和田浦海岸)
2022-02-11 12:37:45
こんにちは。ハピオさん。

コメントありがとうございます。
たしか、池波正太郎さんの
年賀はがきのエピソードは
印象的ですよね。

わたしは、小説はほぼ
3~4ページひらいては
放り投げてしまいます。
ですから、随筆しか読めません(笑)。
返信する

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