雑誌WiLL2021年3月号。
山口敬之氏がアメリカの書店をとりあげておりました。
「米大統領選をめぐる大混乱を読み解くためのカギは書店にあり」
という副題の文を載せております。
そこから適宜引用。
「従来より多くの国民は、情報の真偽は『信頼できる』
大手メディアがどう伝えるかで判断していた。
『新聞やテレビの伝えることは基本的に真実だ』との認識と、
『ジャーナリズムはいかなる不正や犯罪も見逃さない』という
期待がベースとなっている。
しかし、そうした認識や期待が根底から崩れた・・・・」
「フェイクを排除するためには、個々の情報をジャッジし、
虚偽情報を完全否定するだけの『権威』が必要だ。
しかし、これまでジャーナリズムを標榜し、
『情報の裁判官』の役割を果たしていると思われていた大新聞すら、
実は『バイデン支持者の集合体』『反トランプの旗振り役』
であることが明確になった。
『バイデンとトランプの相撲を観ていたはずが、
行司も土俵もバイデンのために仕込まれていた』。
そんな落胆と怒りが、アメリカの民主主義の根幹を揺さぶっている。」
(p208)
さてっと山口氏はどうしていたか?
「私は年末年始、アメリカ東海岸の各地で
大統領選後の混乱を取材した。
大手メディア、ネット情報、政治家のツイートといった
主要な情報ソース全てに対して、徹底的に懐疑的な姿勢で
臨まなければならない毎日は、大変息苦しいものだった。
そんな時、貴重な情報源となり、また癒しの空間
ともなったのが、書店と図書館である。
私は時間ができると最寄りに書店がないか探した。」(p209)
「・・・その癒しの本質は、書店には露骨な流言飛語の
類がほとんど存在しないからだと気がついた。
民主主義を苦しめるフェイク情報の多くは、
ネット空間で第一報が発せられ、匿名やニックネームの
SNSアカンウントから瞬く間に拡散される。
しかし書店に並んでいる本は、著者が実名と顔写真を晒し、
一定の時間をかけて執筆したものがほとんどだ。
著者が情報収集と分析に掛けた時間と知性、言い換えれば
情報発信者の真剣味が、書棚からヒシヒシと伝わってくる。
これがネット情報との違いだ。」(p210)
こうして、3冊の本を紹介しているのですが、
ここでは、3冊目の本の箇所を引用。
「『民主主義の死に方』
(スティーブン・レブツキー、ダニエル・ジブラット共著)
第二次世界大戦前のドイツのナチズムから、戦後のハンガリー、
トルコ、ベネズエラなどで、一見民主的な選挙制度の下で
独裁的あるいは専制的な政権が誕生する過程をつぶさに観察
してきたレブツキーとジブラットは、
『現代において民主主義が破壊されるのは
革命や軍事クーデターといった爆発的事象ではなく、
継続的な囁きによってである』と看破する。
そして、悪意ある囁きによって、最初に崩壊していくのは
司法システムや警察、メディアだというのである。
今回の大統領選で観察された多くの事象が
こうした指摘に怖いほど当てはまるだけに、
この警告は日本を含む全ての民主主義社会の
住民の傾聴に値する。」(p211)
うん。山口氏の文のはじまりの方も引用して終ります。
「ツイッターやフェイスブックなどSNS大手が、
投票日直前にバイデン陣営に不利になる情報とアカウントを
次々と削除していた・・・
1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件をきっかけに、
ツイッター社はついにトランプのアカウントを永久停止した。
フェイスブックもトランプが投稿できないようにする措置に出た。
これにはドイツのメルケル首相など国際社会からも
『言論の自由への挑戦』として強い反発が出た。・・・
新興SNS『パーラー』まで、グーグル、アップル、アマゾンに
よる通信インフラとアプリ提供の停止によって使用不能に追い込まれた。
大手メディアのみならず、インターネット空間を支配する
『ビッグテック』までもが情報統制と言論封殺をあからさまに
行う状況・・・」(p207)
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