和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

臨海学校

2024-12-16 | 安房
「庄野潤三の本 山の上の家」(夏葉社)に
庄野潤三長女の「私のお父さん」が載っておりました。
そこに「 夏の思い出 」があるのでした。

「 父は、10月に生まれた私に『 夏子 』と名付ける程夏が好きでした。
  それは、入道雲が湧き上り生命の躍動する様が好きという他に、
  海で泳ぐのが大好きだからです。

  帝塚山(てづかやま)学院の初代院長だった祖父の庄野貞一は、
  夏休みに全校生徒を臨海学校に連れてゆき、
  丈夫な体と心になるように遠泳させました。

  父は、夏になると自分の家族を引き連れて
  外房の海岸に行き、小さな宿に三日程滞在して
  朝から晩まで真黒になるまで遊ばせました。
  小舟を借りて沖を遠泳させられた事もあります。

  お蔭で私達姉弟は、魚のように泳ぐし、
  荒海もこわくありません。
  昼には、近くに住む近藤啓太郎さんのご家族が合流し、
  奥様の作られた豪快なお弁当をたいらげました。

  遊び疲れて帰る日には、太海駅前の田丸食堂の
  カツ丼をとどめにいただき大満足。
  どんな時でも食べる事がついてくるのが我家流です。 」(p71~72)


はい。まだまだ続くのですが、引用はここまで。
写真はそんなに多く載っていないのですが、
古い写真に夏子さんが写っていると、
大人たちに交じって、そこだけ清水が湧き出しているかのように
真っ白で真新しく思えてくるから不思議です。

この本には、最後に「 庄野潤三全著作案内 」があり、
初心者には、お誂え向きの著作コメントを読むことができます。
今日はさっそく、後半生の本の中から選び注文したところです。

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