和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

気持の揺れがおさまっていく。

2024-02-15 | 地震
昨年は、関東大震災から100年でした。
昨年7月、市で災害関連の講演会がありました。講師は鍵屋一氏。
その中で、私に忘れがたい言葉があったのでした。

『 想定外のことがおこると小学生以下の判断力になる 』

と講師が語り、それがあとあとまで印象に残りました。


それはそうとして、『避難の支援者がいない』という箇所には、

  支援者には負担感が強いとして、とっさの場合に
  自分から助けを求めることがしにくいことを考慮して、

  とっさの場合、声をかけることの重要性を指摘しておりました。
  それも別々に、3人くらいが声をかけてくれるとなおよいそうです。



田尻久子著「橙(だいだい)書店にて」(ちくま文庫・2023年11月)
をひらいていたら、その講演を思い出しました。

田尻さんは、1969年熊本市生まれ。熊本市内に雑貨と書店を開店。
とあります。はい。私はパラパラ読みなのですが、
この本は、短文の随筆をまとめた一冊なので、お気楽にひらけます。
そのなかに、『ヤッホー』と題する8ページほどの文がありました。
はい。そこを引用したくなったんです。

「 ご近所さんの顔が見えるということが、いちばんうれしく
  頼もしく感じたのは、地震のときだった。

  知っている顔が見えて、こんにちは、と挨拶を交わす。
  余震が来ると、大丈夫? と声をかけあう。

  そんなささいなことで、気持ちの揺れがおさまっていく。
  こわいね、こわかったね、一人でそう思っているより、
  誰かと言い合うと、こわいが少し淡くなる。 」(p233)

「 地震のときは、ものすごく落ち込んで内側に閉じこもる人と、
  動き回っていないと落ち着かなくて、休む間もなく動いている
  うちにテンションが上がってしまう人がいた。

  私は間違いなく後者で、動きを止めてしまうことが不安だった。
  どちらであろうと、平常心でないことに変わりはない。

  だから、彼女(ミチコさん)のこの軽口に、とても助けられた。
  こわばっていた体がするするとほどけていくようだった。 」(p234)

登場するミチコさんが、どんな人かは読んでのお楽しみ。
うん。それ以外の文にも私に思わぬ拾い物がありました。
  

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