注文の古本・吉田光邦著「日本の職人像」(河原書店・昭和41年)届く。
とりあえず本が手許に届けば、もうそれだけで安心して読まなくなる私。
けれどこの本の『あとがき』だけは、しっかり引用したくなりました。
テレビ東京だったか、外国人が、日本の職人さんへ数日間弟子入りして
その家庭などで食事をしたりして帰ってゆくという番組がありますよネ。
たまにしか見ないけども、思わず心持ちが緩むようで印象に残っております。
「日本の職人像」の「あとがき」を読むと、そのテレビを思い浮かべました。
ということで、ここに本の『あとがき』の全文を引用しておくことに。
「 河原書店主からこの書のおすすめを受けたのは、わたくしが
三度めの西アジアの旅から戻って、報告書を書いているころであった。
西アジアでわたくしはずっと手工業の技術を調べてつづけていた。
陶工、金工、木工・・・それらの仕事に従う人びとは、みなわたしが
これまで接してきた日本の職人たちと全く同じ人びとであった。
自分の仕事、技術に誇りをもち、しかも貧しい暮らしに甘んじながら
うすぐらい工房で黙々と終日働きつづける人であった。
彼らはこの異邦の旅人に、こまかに工程を語り、自分の作品を見せ、
時には食事まで用意してくれる。その細やかな心づかい、
人間はどこへ行っても人間であった。
そんなことを考えながら、もういちど日本の職人像をたしかめようと、
すこし歴史的な経過を追ってこの書物を書いてみた。
すでに職人論を二冊ほど書いている。
それらとはまたちがった資料と視角で構成したのが本書である。
貧しく寂しい暮らしに閉じこめられつつ生きてきた
日本の職人たちに、関心をよせられる方は、
小著『日本の職人』(角川)、『日本技術史研究』(学芸出版社)を
合わせて参照していただければ幸いである。
最後にこの書の出来上るについての河原書店の方がたの
お骨折に御礼申し上げる。
1966年5月 吉田光邦 」
ちなみに、発行所河原書店住所は、京都市中京区高倉通三条下ルとあります。
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