磯田道史と中西進の対談『災害と生きる日本人』(潮出版社)。
3月の新刊です。中西進氏が対談相手なので、
当然のように万葉集への言及もありました。
すこし引用しなくちゃね(笑)。
磯田】 万葉の時代を生きた人々は、
いったいどのような死生観をもっていたのでしょうか。
人間はどこからやって来て、いったいどこへ行くのか。
万葉集で使われる言葉を見ていると、当時の人々の
コスモロジー(宇宙観)がうかがい知れます。
僕も初めて見たときドキッとしたのですが、
大伴家持に恋する女性、中臣女郎(なかとみのいらつめ)
がこう歌っているのです。
直に逢ひて見てばのみこそ
たまきはる命に向ふわが恋止まめ(巻四ー678)
古代の女性であろうが男性であろうが、
『命に向ふわが恋』というすごい言葉は、
なかなか詠めないのではないでしょうか。
中西】 いまは普通『命をかけた恋』と言いますから、
それと同じと思ってしまいそうですが、中臣女郎は
『命をかけた』ではなく『命に向ふ』と詠んでいるのがすごい。
磯田】 南北朝時代(1336~1392年)から
戦国時代(15世紀末~16世紀末)あたりまで時期に、
日本人の生命観が大きく変化したように思います。
万葉の時代は『命に向ふ』というベクトルの生命観があった。
命は自分の外にあって、そこに向かっていくものでもありました。
ところが、こうした生命観が変容していってしまいました。
(p50~51)
はい。このところ、中西進氏の古本が売れているようです。
新刊ならば、こんかい紹介した本を読んではどうでしょう。
万葉からでも、対談はあれこれ時空をひろがっていきます。
3月の新刊です。中西進氏が対談相手なので、
当然のように万葉集への言及もありました。
すこし引用しなくちゃね(笑)。
磯田】 万葉の時代を生きた人々は、
いったいどのような死生観をもっていたのでしょうか。
人間はどこからやって来て、いったいどこへ行くのか。
万葉集で使われる言葉を見ていると、当時の人々の
コスモロジー(宇宙観)がうかがい知れます。
僕も初めて見たときドキッとしたのですが、
大伴家持に恋する女性、中臣女郎(なかとみのいらつめ)
がこう歌っているのです。
直に逢ひて見てばのみこそ
たまきはる命に向ふわが恋止まめ(巻四ー678)
古代の女性であろうが男性であろうが、
『命に向ふわが恋』というすごい言葉は、
なかなか詠めないのではないでしょうか。
中西】 いまは普通『命をかけた恋』と言いますから、
それと同じと思ってしまいそうですが、中臣女郎は
『命をかけた』ではなく『命に向ふ』と詠んでいるのがすごい。
磯田】 南北朝時代(1336~1392年)から
戦国時代(15世紀末~16世紀末)あたりまで時期に、
日本人の生命観が大きく変化したように思います。
万葉の時代は『命に向ふ』というベクトルの生命観があった。
命は自分の外にあって、そこに向かっていくものでもありました。
ところが、こうした生命観が変容していってしまいました。
(p50~51)
はい。このところ、中西進氏の古本が売れているようです。
新刊ならば、こんかい紹介した本を読んではどうでしょう。
万葉からでも、対談はあれこれ時空をひろがっていきます。