和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

万葉の「命に向ふ」。

2019-04-05 | 詩歌
磯田道史と中西進の対談『災害と生きる日本人』(潮出版社)。

3月の新刊です。中西進氏が対談相手なので、
当然のように万葉集への言及もありました。
すこし引用しなくちゃね(笑)。

磯田】 万葉の時代を生きた人々は、
いったいどのような死生観をもっていたのでしょうか。
人間はどこからやって来て、いったいどこへ行くのか。
万葉集で使われる言葉を見ていると、当時の人々の
コスモロジー(宇宙観)がうかがい知れます。
僕も初めて見たときドキッとしたのですが、
大伴家持に恋する女性、中臣女郎(なかとみのいらつめ)
がこう歌っているのです。

  直に逢ひて見てばのみこそ
    たまきはる命に向ふわが恋止まめ(巻四ー678)

古代の女性であろうが男性であろうが、
『命に向ふわが恋』というすごい言葉は、
なかなか詠めないのではないでしょうか。

中西】 いまは普通『命をかけた恋』と言いますから、
それと同じと思ってしまいそうですが、中臣女郎は
『命をかけた』ではなく『命に向ふ』と詠んでいるのがすごい。

磯田】 南北朝時代(1336~1392年)から
    戦国時代(15世紀末~16世紀末)あたりまで時期に、
    日本人の生命観が大きく変化したように思います。
万葉の時代は『命に向ふ』というベクトルの生命観があった。
命は自分の外にあって、そこに向かっていくものでもありました。
ところが、こうした生命観が変容していってしまいました。
(p50~51)


はい。このところ、中西進氏の古本が売れているようです。
新刊ならば、こんかい紹介した本を読んではどうでしょう。
万葉からでも、対談はあれこれ時空をひろがっていきます。
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オレオレ詐欺とNHK報道と。

2019-04-04 | テレビ
ときどき、テレビに一人ツッコミをいれている(笑)。


オレオレ詐欺にかからないように、
というNHKの解説キャンペーン報道を見ていると、
思いうかんだことがありました。

オレオレ詐欺というのは、
もっともらしいことを言って騙す。
銀行とか警察とか権威的な側面から
はいっていって、複数で騙すのが最近の傾向らしい。
そういうことをNHKの画面で教わります。

うん。そうするとですね
(はい。ここからがツッコミです)。

NHKのニュース報道をそのままに、
信じてしまうような方が、あるいは詐欺にかかりやすい。
という傾向があるのではないのか?

こう語ると、真っ赤になって怒るような人は要注意。
詐欺の手口は、まずは、さもありなん、という
ごく自然な事実の選択の積み重ねから、
オレオレ詐欺の大金詐欺へと誘導してゆくわけでした。

それならば、NHK報道を疑ってかかるような、
大胆な発想をする方ならば、オレオレ詐欺には、
引っ掛からない。という法則があるのじゃないか。

だれか、そんな統計を採る方はいらっしゃらないかなあ(笑)。
日本人は、新聞やマスコミ報道を、世界のどの国よりも、
信じている確率が高いというではありませんか。
その根っこが、そのままに、オレオレ詐欺の温床となっている、
とする仮説をたててみる。

どれも信用できない。という人ほど、案外に、
NHK報道とか、新聞報道を信用していたりするのじゃないか?

自助努力で、NHK報道とか各種報道を読み比べる、
ということをしない人が、オレオレ詐欺被害者となる
可能性は、果たしてどのくらいなのだろうかなあ。

まあ、こんなことを考える方は、
まず、オレオレ詐欺騙されない。

コメント (2)
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令和と和歌。

2019-04-02 | 詩歌
令和。
ということで、和歌に及びましょう(笑)。

「初春令月、氣淑風和」とありました。
これは「梅花の歌序」からとられたそうです。
それならば、
「梅花の歌三十二首并せて序」の
歌三十二首に及ばないなら、
何の万葉集なのかと、もったいない(笑)。

ということで、パラパラと、読んだ中の、
二首くらいは引用してもよいでしょうね。

まずは、山上憶良から。

訳と和歌の順に

「春になると最初に咲くわが家の梅花、
私一人で見つつ一日をすごすことなど、どうしてしようか。」


 春されば まづ咲く宿の 梅の花
     独り見つつや 春日暮さむ



つぎは、名前は知らない方なのでカット(笑)


「万年の後まで年はあらたまり来ようとも、
  梅の花は絶えることなく咲きつづけるがよい。」

  万年(よろづよ)に 年は来経(きふ)とも
      梅の花 絶ゆることなく 咲き渡るべし



さて、しばらくしたら、万葉集の和歌が、
新聞や雑誌の紙面に展開して花盛りとなるでしょうか。
そうなれば、そうなったで、咲き渡るようなお楽しみ。
これからの、年年歳歳。万葉集は恰好のコラムの題材。
というので、元号が扉をひらく万葉集和歌の世界(笑)。
  
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令は嘉。よい。

2019-04-01 | 古典
新元号が発表される『令和』。
万葉集から取られているとのことなので、
さっそく、いつかは読もうという本棚をさがす(笑)。

講談社文庫の
中西進の「万葉集全訳注原文付」全四冊の
(一)にありました。巻第五。文庫では
p376~377に「梅花の歌三十二首あわせて序」

文庫本は、注が小さい。
ちょうど今年買ったばかりの安い古本に
全1534ページの一冊本が手元にありました。
こういうこともあるのですね(笑)。

さっそく現代語訳から引用。

梅花の歌序

天平二年正月十三日に、
長官の旅人宅に集まって宴会を開いた。
時あたかも新春の好き月、
空気は美しく風はやわらかに、
梅は美女の鏡の前に装う白粉のごとく白く咲き
・・・・・・
人々は膝を近づけ酒杯をくみかわしている。
すでに一座はことばをかけ合う必要もなく睦(むつ)み、
大自然に向かって胸襟を開きあっている・・・


はい。このくらいにしておきましょう(笑)。
原文付なので、はじまりも引用。

天平二年正月十三日、萃于師老之宅、
申宴會也。于時、
初春令月、氣淑風和、
梅披鏡前之粉・・・・・


注釈には、「令は嘉。よい。」とありました。
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