映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

唐津一 かけひきの科学

2008-09-19 06:46:28 | 
著者の名前は本屋では良く見かける。最初に読んだのは、オペレーションリサーチのことを書いたブルーバックス「企業をのばす数学」である。昭和39年の本だが、わかりやすく万事の数字化を説明している。いずれ書くつもりだ。

この本は相手との交渉に関して、切り札となる情報を用意して、それをどう駆使すれば目標を達せるか?というのが目的で、それに関する散文が多く集められている本である。参考になることは多い。

1.あることがおきていても、そのことについての情報を得るまでは、なかったことと同じである。それが情報の定義だ。
2.分厚い報告書だから多くの情報があるように思えるが、知っていることばかりでは情報量はゼロである。一言でも影響を与えることがあればそれが情報だ。
3.露天の叩き売りは、売るものはたいしたことがなくても、冗長な言葉を適度に織り交ぜていくので売れていく。
4.ある道のエキスパートがある目的のために、自分で切り抜き、系統的にまとめ、解析すると、ものすごい威力を発揮するようになる。
(伊藤整「氾濫」の主人公の話に通じる)
5.無理難題を突っぱねるには、現実の動きを徹底的に調べて、あらゆる証拠を用意することが必要である。そうすれば100の理論も一つの動かしがたい証拠で覆すことができる。
6.アメリカでテレビ討論したとき
相手の言いたいことを予測し、その反論データを机の下においておく。いわせるだけ言わせて、切り札のグラフを見せる。データを用意する人は少ない。
7.マスコミが取り上げず、誰も気づかなかった核とした証拠を、データで用意すると一発で黙らすことができる。
8.ミニマクスの原理
もし予測が違る方向に進むとき大きな損害をこうむる可能性がある。うまくいったときの最大利益ではなく、失敗した時の損失を最小に抑える。
9.IBMは不況の時に業績を伸ばした。不況の時でも需要はゼロにはならない。むしろ顧客は商品を吟味する。こういうときに新型製品をだす。売れる。その占有率を維持する。不景気にしけた製品を出すとジリ貧になる。
10.値引きはかけひきのゲームそのもの
秋葉原では強烈に値切る顧客ほどリピーターになる可能性が多い。俺がまけさせるからついてこいと仲間を連れて行く
11.思い切って値段を下げてみても、買い手がお金を払って買いたいと思わなければ売れない。
12.すべてのことは数字化できる。目的があってはじめて生きるのであって、目的がない数値化は意味がない。
13.どんな発明や理論であっても、今までに学習した知識や行動を組み合わせなければ出てこない。創造的な仮説といっても、知りえた情報の組み合わせに過ぎない。仮説を立証するには再現性が必要だ。
(ピカソやモーツァルトの話に通じる)

などなど
特に交渉におけるデータの準備は重要だ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする