映画とライフデザイン

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グレゴリーペック  紳士協定

2008-09-23 18:53:16 | 映画(洋画 69年以前)
2003年グレゴリーペックが亡くなった時、日本で一番見られている洋画である「ローマの休日」のヘップバーンの相手役という紹介をテレビや新聞でされた。

それはそれで仕方ないが、いわゆる正義の味方的役をやらせると天下一品という気がする。「紳士協定」だけでなく、「アラビアのロレンス」のピーターオトゥールに競り勝って、オスカー主演男優賞をもらった「アラバマ物語」の弁護士役も無実の罪にさせられた黒人をかばう、まさに正義の味方の象徴のような役だった。
「紳士協定」の少し前に「白い恐怖」というアルフレッドヒッチコック監督の名作で、イングリッドバーグマンと共演している。ここではオドオドしている姿であまりかっこよくないが、「紳士協定」は日本で言えば「森田健作」的まじめ人間を好演している。

「紳士協定」は1947年(昭和22年)のオスカー作品賞である。
もともと西部にいた文筆家グレゴリーペックが、ニューヨークの出版社で出す雑誌に「反ユダヤ主義者」の話を書くように依頼される。グレゴリーは自分がユダヤ人になったふりをして記事を書いたほうが受けがいいと感じて、編集長、恋人以外にはユダヤ人だと公称する。
しかし、ホテルでの予約を取り消しされたり、子どもがいじめられたりすると同時に、恋人にも居心地の悪さを訴えられ悩む。。。
というストーリーだ。

監督エリアカザンのことは好きなほうではないが、「エデンの東」のようなだらだらとした映画の流れではなく、脚本も良く、簡潔な話にまとめており好感を持てた。有名なレッドパージの前だけにのびのびと演出しているのではないだろうか。

ユダヤ人差別というと、ナチス時代のドイツの強烈な差別が有名だが、アメリカの中でもここまで進んでいたとは知らなかった。その差別に対して、正義の味方グレゴリーペックが徹底的に立ち向かうのだが、壁は厚い。
途中でアインシュタインを連想させるユダヤ系物理学者が出てくるのも面白く、その彼は進んでユダヤ教を信仰しないし、ユダヤ人とも交わらないといっている場面がある。むしろユダヤを進んで名乗り出ないのがマシと言っているくらいだ。

この24年後の「黒いジャガー」の時に、黒人差別の根強さを感じたが、いったいユダヤ差別が弱まるのはいつくらいだったのであろうか?





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