映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

男はつらいよ寅次郎の休日 渥美清

2011-01-07 05:59:33 | 映画(日本 1989年以降)
寅さんシリーズ第43作目である。90年の暮れの作品だ。
このころになると甥っ子の吉岡が大学生になっている。その出番がすこしづつ増え始めるころだ。
初期のころと違う「男はつらいよ」もたまには見てみたい。後藤久美子がレギュラーになってくる。
ただ山田洋次によればこのころから渥美の衰えが目立ったらしい。確かにそれはわかる。



ついに大学に入った寅次郎の甥吉岡秀隆は悪友と遊びまわる毎日、一人住まいをしたいと言っては母のさくらこと倍賞千恵子に怒られていた。それでも出ようとしたある日、名古屋に住む一年前の初恋の相手こと後藤久美子がやって来る。久美子は両親の別居という不自然な生活に耐えられず、愛人と同居しているという父こと寺尾聡を説得しに来たのだったが、父親は九州の日田にいた。そんな久美子の切実な思いに動かされたが、さくらたちはいったん親元の名古屋に帰そうとする。
しかし、東京駅まで見送った吉岡も一緒に九州まで行ってしまう。そんな息子にオロオロしてしまうさくらに寅次郎は説教する。ところが泉の母こと夏木マリがくるまやに現れたことによって寅次郎は「すぐ探しに行きましょう」と、引き留めるさくらたちを振り切って二人出て行ってしまうが。。。。

「男はつらいよ」は時代を飛ばして見てみると新鮮な発見がある。
確かに初期に比べて明らかに渥美清の出番が減っている。毎回同じように柴又の団子屋での家族団欒のシーンがある。以前だったらタコ社長の毒舌に帰ってきた寅次郎が毎回ケンカを吹っ掛けるのであるが、大暴れにはなっていない。ずっと見ているファンもよくわかっているだろう。
ワンパターンなようでそうはなっていない。

得意のテキヤ口上は最後に関敬六と一緒にすこしだけ。これはいつもながら冴える。
生前渥美清は「おれも若いころは少しぐれたところもあって」といいながら、その経験を生かしたような鮮やかな口上を披露する。脚本を兼ねる山田洋次監督もここは好きにやらせているのであろう。
むしろ哲学的に近い、本来のキャラクターと違う高尚じみたセリフを言いながら途中でがくんと落とすパターンは脚本に加えて渥美のアドリブが加わっているといわれる。それがいい。
でもここではやはり盛りをすぎたと感じざるをえない。
コメント (4)
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