映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ソーシャルネットワーク  デイヴィッド・フィンチャー

2011-01-20 20:40:35 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
話題作「ソーシャル・ネットワーク」を劇場で見てきました。究極のオタクで「フェイスブック」を誕生させたマークザッカーバーグがハーバードのオタク学生だったころから、這い上がっていく姿を描いている。デイヴィッド・フィンチャー作品には好き嫌いがあるが、これはなかなか楽しめる作品だと思う。ITとは縁がない人こそ逆に見てみると良いのではないか?



2003年秋。ハーバード大の学生マーク・ザッカーバーグがボストン大生の恋人とバーで早口で口論しているシーンからスタートする。自己中心的なマークの話に嫌気が差して、恋人から振られてしまう。マークは寮に戻り、ブログに彼女の育ちやブラジャーのサイズまでを書き並べ悪口を載せる。さらにハーバード大のコンピュータをハッキングして、各寮のサイトから女子学生の写真を集め、アルゴリズムの能力に優れた親友のエドゥアルド・サベリンの協力の下で女の子の顔の格付けサイトを立ち上げる。サイトの口コミが一瞬に広がり、2時間で2万2000アクセスを記録する。ところが、サーバーの許容量がパンクしてしまい、大学側に潰されてしまう。

後日、理事会に呼び出しを食らったマークは半年の保護観察処分を受ける。また、大学中の女学生全員から嫌われ者となる。この話を聞き、ボート部に所属する富豪の息子の双子兄弟とその友人がマークの優れたIT能力に目を付け、「harvard.edu」に群がる女と出会うことを目的としたハーバード大生専用サイトの制作協力を依頼する。これにヒントを得たマークはエドゥアルドをCFOとして1000ドルの融資を受けてサイトの制作に取り掛かり、2004年初頭、「ザ・フェイスブック」が誕生する。


いきなり、すさまじい早口である。この掛け合いがこの映画の出来の良さを予感させる。

そこで主人公から語られるのは、テスト満点でハーバードに入学したという自意識過剰の自信、涼しい顔をして自分より低いレベルの大学生をバカにする態度。どう考えてもふられてもおかしくない振る舞いである。いくら天才とはいえ、こんな男は女性からは嫌われるだろう。男性は非常に楽しめるが、女性からするとちょっといやだなと思う気がする映画だと思う。
でもこの主人公のパワーはすさまじい。逆に自分はこの映画を見てものすごいパワーをいただいた。天才、裏切り者、億万長者はみな当てはまるが、危ない奴ではないと思う。



細部はともかく大筋で話はこのとおりだと思う。硬軟両方からハーバードを語る。
ボート部の学生を例に挙げてハーバードのエリート意識を語ると同様に、大学側の学生への大人扱いを学長の言葉として語る。全米ナンバー1の実力とエリートをこれまで輩出してきた実績から、彼らを追う女性も多い。

もっとも「フェイスブック」のきっかけもそこである。群がる女性を軽い存在にして色をつけているために、この映画自体を重々しくしない。70年代のフリーセックス時代の映画のような軽さも感じられる。パーティやクラブのシーンも現代アメリカ風俗として見れる。



最後にエンディングでビートルズの「ベイビー・ユア・リッチマン」が流れる。映画が終了して、独特の低音リズムが聞こえてきた。そしてジョンレノンの声が聞こえる。数百回聞いているからすぐわかる。「マジカルミステリーツアー」のアルバムの中ではもっとも地味な歌で、「愛こそすべて」の前に演奏されていた曲だ。地味なのでレコードをよくとばしてきいたものだ。

先日「ノルウェイの森」を劇場に見に行ってエンディングでビートルズ聞いたばかりだけど、連続で驚いた。
まさに主人公を一種皮肉ったようにこの曲が流れる。歌詞を見ればわかるが、まるでサントラでつくったみたいだ。選曲としてはまりすぎている。

早めに見ておいてよかった。
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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ 佐藤江梨子

2011-01-20 20:21:33 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」は佐藤江梨子が女優くずれの役を演じるコメディである。まさに適役といった感じだ。脇の俳優の演技も冴える。傑作という訳ではないが、悪くはない。



北陸石川県の田舎でトラックにある夫婦がはねられるシーンからスタートする。
死んだ夫婦には兄こと永瀬正敏夫妻と妹佐津川愛美が同居していた。その訃報を受け、長女こと佐藤江梨子が東京から実家に戻ってきた。女優になることを目指して上京していた佐藤江梨子は自己チュウの固まりのような女だ。親の仕送りで生活していた。4年前上京を父親に反対された佐藤江梨子は、父をナイフで切りつけようとして、止めに入った兄こと永瀬正敏の額に傷跡を作ってしまった。そして、家族の話を妹は漫画にして投稿してホラー漫画雑誌に掲載されてしまったのだ。それがあってか妹へ尊大な態度をとる。
北陸にいる間に東京の所属事務所をクビになった佐藤江梨子は、雑誌の記事を見て、新進映画監督に自己PRの手紙を送る。あとは実家でわがまま放題でぶらぶら。しかし、次回作のヒロインとして起用したいという文通相手の監督からの手紙が届き、佐藤江梨子は有頂天となる。でも一筋縄ではいかない。しかも東京から借りた金返せと男がやってくるが。。。。



もともとの原作があったわけだが、登場人物の人物設定が実におもしろい。
女流作家の作品だけに3人の女性のキャラが傑作である。
佐藤江梨子のおバカキャラの女優役はまさにはまり役だ。原作者のイメージ通りだろう。極度に自己中心に世の中がまわっているような人物。こんな個性を示せる俳優は他に見当たらない。おバカキャラが売りの里田まいではイメージが違う。
ただこのストーリーを仕切っているのは妹役だ。暗い人物設定で背も低く、バカでかい佐藤江梨子と対照的だ。でも賢い。姉の佐藤江梨子の常に後を追い、漫画のネタにしようとしている。彼女が描くホラー漫画を時折画面に出すところが御愛嬌だ。ラストにかけての展開がおもしろい。
永作博美が永瀬正敏の妻役だ。これがまた味がある演技をしている。もともとコインロッカー孤児で東京の施設育ち。お見合いで田舎に来たが、夫永瀬正敏はいつも冷たい態度をとる。しかも夜の接触もない。かといって帰るところもないわけだから、変人だらけの家族に音もあげず付き合っている。ある意味かわいそうな存在だが、そんなところを全く感じさせない。つらいことにもあっけらかん。
彼女は比較的シリアスな役が多いだけに何か面白い。

そういう配役の妙を感じた。
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