映画とライフデザイン

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映画「男と女」 クロード・ルルーシュ

2014-06-04 19:12:35 | 映画(フランス映画 )
映画「男と女」はクロードルルーシュ監督による不朽の名作である。

30代に差し掛かった世紀の美女アヌーク・エーメとジャン・ルイ・トランティニャンの共演である。1966年の作品でこの映画ができてから50年近くなろうとしている。フランシスレイによるテーマ曲があまりにも有名で、最近の若い人はこれ聴いたことあるという感覚だと思うが、少なくとも50代以降の人で曲名を知らない人はいないだろう。

もうこれで見るのが4回目である。時代を経るにつれてちがった見方ができる。映画のテーマ曲は小学校の時から知っていたけど、映画を初めてみたのは大学生になった後、どこかの名画座で見た。大学に入って友人になった男が自分の映画ベストは「男と女」だというのである。
残念ながら、最初に見た時寝てしまった。だるいムードと感じてしまう。まだ大人の恋がわからなかった。
それでもその後2回見た。徐々にこの映画の良さがわかるようになり、目線が上がってアヌークエーメの美貌にときめきを感じるようになる。粋なセリフが盛りだくさんで、いつ見ても新鮮な感激を持たせてくれる傑作である。

映画のスクリプターをしているアンヌ(アヌーク・エーメ)はパリで独り暮し。娘はドーヴィルにある寄宿舎にあずけてある。ある日曜日、娘の面会が長びきパリ行きの列車にのりそこなった。寄宿舎の玄関前でジャン・ルイ(ジャン・ルイ・トランティニャン)を寮長に紹介され、車で送ってもらうことになる。同じように息子を寄宿舎へ預けていた。

彼の運転する車でパリへ向う途中、ジャンヌはアンヌの夫(ピエール・バルー)のことを聞いた。スタントマンのようにリスキーな役ばかりしている俳優だという。帰り際、今度の日曜日ご主人も一緒に寄宿舎へ行こうと誘うと、ようやくすでに亡くなっていることをアンヌは告げる。来週はわからないので土曜日に電話が欲しいということだった。

一方ジャン・ルイはレーサーであった。妻は彼がレースで事故を起し危篤状態になったとき、ショックから自殺への道を選んでいた。世界大会の準備で忙しかったが、次の日曜に2人は一緒にドーヴィルへむかった。
アンヌ、ジャンと子供たちの4人は海辺で楽しいひと時を過ごした。二人に芽生えた愛が盛り上がった。モンテカルロラリーの過酷なレースを終えたとき、ジャン・ルイはアンヌからの電報を受ける。それには「Je vous aime」と書いてあった。彼はすぐにラリー車を運転してパリへ向かうが。。。

それぞれの回想シーンが2人の新しい恋のシーンの間に出てくる。映像がカラーとモノクロと使い分けている。現在の映像がモノクロになって、過去がカラーというように交互に区別している。重要なシーンと思しきいくつかのカットはいずれもモノクロだ。意図はわからない。

1.ムスタング
レーサーとしてジャンの姿をかなりの時間を使って映しだす。恋愛映画というイメージなので戸惑う人も多いだろう。ジャンがプライベートで乗るのは赤のムスタングである。オープンカーで幌をかぶせるタイプだ。フランス車と言えば、ルノーやシトロエンだが今回はフォードづくし。映画「ブリット」同様ムスタングがはえる。この映画では天候が不安定な設定で雨に降られるシーンが目立つ。ジャンがアンヌをドービルまで送る際、水溜りの中をムスタングが走り、通行人に水が跳ねるシーンがある。印象的だ。

2.モンテカルロラリー
フォーミュラタイプの車を運転するシーンもあるが、ジャンはラリー車を運転する。ここでは実際のレース場面がかなり挿入される。女性はワケがわからないのではないかな?悪路を猛スピードで運転する車は60年代半ばの代表的な車だ。それがクネクネした道を大胆に走り抜けるシーンは実に豪快だ。それにしても、電報を受け取ってから直ちにモンテカルロからパリに向けて走るジャンは劇中ながらまあよく走ること。20代ならできるけど、今の自分には到底無理

小学校低学年の頃、同じクラスにカメラメーカーの御曹司がいた。プロ用二眼レフのカメラでは世界的に有名ブランドだった。家にはポルシェのレーシングカーがあった。当時直接輸入していると聞いた覚えがある。この映画で躍動的にレースで走るレーシングカーを見て、当時彼の家にあった車を連想した。しかし、盛者必衰で豪邸に住んでいた彼もその後住居転々とした。

女性好みのフランス映画と評する人も多いが、レース場面が多く女性にはむしろ退屈じゃないのかな?一時代前の車好きにたまらないシーンが多いので、むしろ男性が好む映画だと思っている。


3.アヌークエーメ
この作品に出演したのは34歳の時だ。初めてみた時には自分も10代だったのでお母さん的感覚にしか見えなかった。30過ぎてから彼女の良さがわかるようになる。「モンパルナスの灯」で美女ぶりを世界に示した後、フェリーニ監督の「甘い生活」や「81/2ではむしろもう一人のヒロインの方がクローズアップされる。ここで再度主役を演じる彼女の美貌は凄すぎる。2人で戯れる有名なシーンでアップで映し出される彼女の表情が頭に焼きつく。

4.フランシスレイの思い出
初めてフランシスレイを知ったのは「白い恋人たち」だ。グルノーブルオリンピックではジャン・クロード・キリーが大活躍で日本でも大騒ぎだった。この映画は父と見に行った。凍りつくような冬の雰囲気がにじみ出ている素敵な曲で、シングルを何度も何度も聴いた。そのあと「流れ者」が好きでこれもシングルを持っていた。そしてある愛の詩は当時日本語訳の歌を含め、テレビでいやというほど流れていた。映画自体個人的にはそんなにいいとは思えないけど、テーマ曲でずいぶんと得をした気がする。

5.粋なセリフ
レストランに2人で入ってオーダーをする。ギャルソンがいったん立ち去った後もう一度呼び出し「部屋をお願い」この手を使ったバカな男たちはいったい何人いたことであろうか??


「13と17がレーサーにとって不吉な数字であること」(両方とも素数だ)
「139kmでカーブをまがるとレースに負けるけど、141kmで曲がるとスピンしてしまう。限界の見極めが難しい」
なんてセリフが改めて記憶に残る。

無駄なセリフを一切排して映像で表現するところがお見事。

男と女
クロードルルーシュ監督の不朽の名作


男と女 オリジナル・サウンドトラック 2016リマスター・エディション
ロードショーからちょうど50年

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