10月10日(1日目) 天候曇り時々雨
10月の連休、昨年は紅葉の涸沢を訪れたが、今回は槍ヶ岳に行ってみることにした。今年は紅葉が例年より2週間近く早く、涸沢の紅葉はもう終焉を迎えていると聞いた。おそらく槍沢の上、天狗原や天狗池ももう終わってしまっているのだろう。連休翌日の13日は遅い夏休みを1日とってあるので、3泊4日の予定で上高地から入山した。
沢渡大橋に車を止めてバスで上高地に移動、混雑するかと思いきや、以外にもバスはがらがら、10人くらいしか乗っていなかった。8時45分、上高地バスターミナルから歩き始め、長い林道をひたすら歩いて11時半に横尾に到着した。元気があれば蝶ヶ岳から常念、大天井を越えて槍ヶ岳に入りたかったのだが、テントと4日分の食料等で20kg強の荷物を背負ってロングコースを歩く体力はとてもない。さらにこの日は天気がいまひとつで、横尾で休んでいると小雨が降り出した。この日はババ平のテント場で寝ることにする。

横尾大橋 登山客が大勢訪れていたが、そのほとんどは涸沢に向っていった。

槍沢ロッジ前の谷の紅葉
その後も雨は降ったり止んだりで、上着だけカッパを着て凌ぐ。槍沢ロッジ前の紅葉はちょうど見頃を迎えていたのだが、雨混じりの曇りの天候で写真に撮ると色は映えなかった。ババ平には午後3時半ごろ到着したのだが、テント場はかなり満員状態で、いちばん端にスペースはあったのだが、景色はほとんど見えない場所だ。どうせ寝るなら夜空と景色が見える場所、と河原を見ると、2~3張テントが張られている。大雨で増水すると危険なことになり得るが、今日はそんな心配はなさそうだ。河原の真ん中近くまで移動していちばん槍ヶ岳寄りにテントを張った。槍沢の谷が良く見え、左から沢に落ち込む数本の滝、その向うには槍ヶ岳東鎌尾根も見渡せる良い場所だ。紅葉はやや過ぎているが、まだ十分に美しい。この日は山と谷に囲まれてテントの中で寝る。

ババ平のテントを張った河原から見る槍沢の上部と東鎌尾根
10月11日(2日目) 天候晴れ
翌朝は3時半に起床し、テントの外を見ると、空はあいにくの薄雲がかかり、星はあまり見えていなかった。オリオン座が昇ってきていたので、雲の切れ間を見て何カットか撮影した。テント撤収し、未明4時半、天狗池目指して出発。日の出の槍ヶ岳が目的だが、途中東鎌尾根に沈んで行くカシオペア座や、槍沢の彼方に雲のように白く聳える山(この時は暗くてわからなかったが、日が昇ってから大喰岳とわかる)など撮影していると、あっという間に夜が明けてきてしまった。結局天狗原分岐に到着したのはもう夜が明けた6時40分になってしまった。

空高く昇ったオリオン座 テントの前から。

東鎌尾根に沈むカシオペア座

白く雪を被った大喰岳 肉眼では白い雲が湧いているように見えた。
この頃にはすっかり雲が晴れてほぼ快晴に近い空になっていた。ナナカマドの紅葉は盛期を過ぎ、やや茶色っぽくなってしまってはいるが、残っている場所もあった。ちょうど朝日が良い角度で槍ヶ岳を照らし、PLフィルターが無くても空が真っ青に写ってくれる。存分に写真撮影を楽しみながら天狗池を目指す。

夜明けの中岳と大喰岳 薄雪を纏っている。

天狗原分岐

天狗原のナナカマドと槍ヶ岳
途中急斜面があり、雪が数センチメートル積もっていた。下山してくる人がいたので道を空けて下で待っていると、足を岩にひっかけたらしく、転倒して3mほど転げ落ち、私の目の前で止まった。頭から突っ込んだが、顔に少々の擦り傷を負っただけで大事に至らず良かった。8時10分、天狗池到着。氷河公園の名の通り、若干雪渓が残っており、池には薄氷が張っていた。既に15人ほどの人たちが休んだり、写真を撮ったりしていた。この時間、ちょうど天狗池に朝日が差し込んでくる時間で、遅くなってむしろちょうど良かったかもしれない。やや風が吹いていたので湖面に逆さに映る槍ヶ岳は上手く撮れなかったが、噂通りの素晴らしい眺めが堪能できた。

天狗池と槍ヶ岳 逆さ槍が映る有名な構図です。

北穂高岳と前穂高岳 眼下のカールが登れれば南岳はもっと早く登れそうだが・・・

南岳中腹から見上げる槍ヶ岳
その先南岳の稜線までは急登が続く。鎖場や苦手のハシゴもあり、しかも雪で滑りやすい。登るたびに変わってゆく槍ヶ岳の眺望を楽しみつつ、転倒・滑落しないように慎重に登り、11時45分、南岳分岐に到着した。眼前に南岳山頂が迫り、ここから20分ほどで行けるのだが、予定よりも大幅に時間が遅くなった(予定では10時に南岳)ので、ここは立ち寄らずに槍ヶ岳方面に進む。下から見上げた時にはさほどアップダウンがある尾根には見えなかったのだが、実際には結構な下りと登りが続く。特に中岳から大喰岳への下りはハシゴと鎖がつけられた急下りで、雪がついていたのでかなり恐かった。その先の大喰岳への登り返しも結構辛い。

雪と雲を纏った南岳

常念岳(右)から大天井岳の稜線。元気があればあの稜線を歩きたかったが、かなり長いし、アップダウンもある。

大喰岳の下りと槍の穂先 雪がついているので慎重に下る。

雲巻く槍ヶ岳
南岳分岐に到着したあたりから稜線上は雲が湧き始め、視界がしばしば遮られる状態になってきた。大喰岳から槍ヶ岳への稜線も雲に巻かれてあとどれくらいで槍ヶ岳に到着できるのか全くわからなかったのだが、突然雲が途切れた瞬間、眼前にドンと聳え立つ槍ヶ岳が見えるようになった。もうほんのわずかで到着ではないか。時間は午後2時40分、まだ早い。雲の流れを見ながら、大喰岳下りの斜面でシャッターチャンスを待つ。30分ほどカメラを構えたが、それでも槍ヶ岳テント場には3時40分に到着できた。

槍ヶ岳山荘前から見る槍ヶ岳

雲海に沈む夕陽 左手に頭を出しているのは笠ヶ岳

夕暮れの大喰岳

常念岳とearth shadow 水平線に地球の影が暗く映る。
夕方5時20分、西の空に夕陽が沈んでいった。雲は視界の下に沈み、見渡す限り一面に雲海が広がった。笠ヶ岳の山頂がちょこんと頭を出し、東の空には格好良い三角錐の常念岳が頭を出している。久しぶりに見る雲海上の夕暮れ、素晴らしい山上でのひとときだった。さて、明日は夜明け前に槍ヶ岳山頂に立つ予定だ。8時にはシュラフを被って眠りに着く。
10月の連休、昨年は紅葉の涸沢を訪れたが、今回は槍ヶ岳に行ってみることにした。今年は紅葉が例年より2週間近く早く、涸沢の紅葉はもう終焉を迎えていると聞いた。おそらく槍沢の上、天狗原や天狗池ももう終わってしまっているのだろう。連休翌日の13日は遅い夏休みを1日とってあるので、3泊4日の予定で上高地から入山した。
沢渡大橋に車を止めてバスで上高地に移動、混雑するかと思いきや、以外にもバスはがらがら、10人くらいしか乗っていなかった。8時45分、上高地バスターミナルから歩き始め、長い林道をひたすら歩いて11時半に横尾に到着した。元気があれば蝶ヶ岳から常念、大天井を越えて槍ヶ岳に入りたかったのだが、テントと4日分の食料等で20kg強の荷物を背負ってロングコースを歩く体力はとてもない。さらにこの日は天気がいまひとつで、横尾で休んでいると小雨が降り出した。この日はババ平のテント場で寝ることにする。

横尾大橋 登山客が大勢訪れていたが、そのほとんどは涸沢に向っていった。

槍沢ロッジ前の谷の紅葉
その後も雨は降ったり止んだりで、上着だけカッパを着て凌ぐ。槍沢ロッジ前の紅葉はちょうど見頃を迎えていたのだが、雨混じりの曇りの天候で写真に撮ると色は映えなかった。ババ平には午後3時半ごろ到着したのだが、テント場はかなり満員状態で、いちばん端にスペースはあったのだが、景色はほとんど見えない場所だ。どうせ寝るなら夜空と景色が見える場所、と河原を見ると、2~3張テントが張られている。大雨で増水すると危険なことになり得るが、今日はそんな心配はなさそうだ。河原の真ん中近くまで移動していちばん槍ヶ岳寄りにテントを張った。槍沢の谷が良く見え、左から沢に落ち込む数本の滝、その向うには槍ヶ岳東鎌尾根も見渡せる良い場所だ。紅葉はやや過ぎているが、まだ十分に美しい。この日は山と谷に囲まれてテントの中で寝る。

ババ平のテントを張った河原から見る槍沢の上部と東鎌尾根
10月11日(2日目) 天候晴れ
翌朝は3時半に起床し、テントの外を見ると、空はあいにくの薄雲がかかり、星はあまり見えていなかった。オリオン座が昇ってきていたので、雲の切れ間を見て何カットか撮影した。テント撤収し、未明4時半、天狗池目指して出発。日の出の槍ヶ岳が目的だが、途中東鎌尾根に沈んで行くカシオペア座や、槍沢の彼方に雲のように白く聳える山(この時は暗くてわからなかったが、日が昇ってから大喰岳とわかる)など撮影していると、あっという間に夜が明けてきてしまった。結局天狗原分岐に到着したのはもう夜が明けた6時40分になってしまった。

空高く昇ったオリオン座 テントの前から。

東鎌尾根に沈むカシオペア座

白く雪を被った大喰岳 肉眼では白い雲が湧いているように見えた。
この頃にはすっかり雲が晴れてほぼ快晴に近い空になっていた。ナナカマドの紅葉は盛期を過ぎ、やや茶色っぽくなってしまってはいるが、残っている場所もあった。ちょうど朝日が良い角度で槍ヶ岳を照らし、PLフィルターが無くても空が真っ青に写ってくれる。存分に写真撮影を楽しみながら天狗池を目指す。

夜明けの中岳と大喰岳 薄雪を纏っている。

天狗原分岐

天狗原のナナカマドと槍ヶ岳
途中急斜面があり、雪が数センチメートル積もっていた。下山してくる人がいたので道を空けて下で待っていると、足を岩にひっかけたらしく、転倒して3mほど転げ落ち、私の目の前で止まった。頭から突っ込んだが、顔に少々の擦り傷を負っただけで大事に至らず良かった。8時10分、天狗池到着。氷河公園の名の通り、若干雪渓が残っており、池には薄氷が張っていた。既に15人ほどの人たちが休んだり、写真を撮ったりしていた。この時間、ちょうど天狗池に朝日が差し込んでくる時間で、遅くなってむしろちょうど良かったかもしれない。やや風が吹いていたので湖面に逆さに映る槍ヶ岳は上手く撮れなかったが、噂通りの素晴らしい眺めが堪能できた。

天狗池と槍ヶ岳 逆さ槍が映る有名な構図です。

北穂高岳と前穂高岳 眼下のカールが登れれば南岳はもっと早く登れそうだが・・・

南岳中腹から見上げる槍ヶ岳
その先南岳の稜線までは急登が続く。鎖場や苦手のハシゴもあり、しかも雪で滑りやすい。登るたびに変わってゆく槍ヶ岳の眺望を楽しみつつ、転倒・滑落しないように慎重に登り、11時45分、南岳分岐に到着した。眼前に南岳山頂が迫り、ここから20分ほどで行けるのだが、予定よりも大幅に時間が遅くなった(予定では10時に南岳)ので、ここは立ち寄らずに槍ヶ岳方面に進む。下から見上げた時にはさほどアップダウンがある尾根には見えなかったのだが、実際には結構な下りと登りが続く。特に中岳から大喰岳への下りはハシゴと鎖がつけられた急下りで、雪がついていたのでかなり恐かった。その先の大喰岳への登り返しも結構辛い。

雪と雲を纏った南岳

常念岳(右)から大天井岳の稜線。元気があればあの稜線を歩きたかったが、かなり長いし、アップダウンもある。

大喰岳の下りと槍の穂先 雪がついているので慎重に下る。

雲巻く槍ヶ岳
南岳分岐に到着したあたりから稜線上は雲が湧き始め、視界がしばしば遮られる状態になってきた。大喰岳から槍ヶ岳への稜線も雲に巻かれてあとどれくらいで槍ヶ岳に到着できるのか全くわからなかったのだが、突然雲が途切れた瞬間、眼前にドンと聳え立つ槍ヶ岳が見えるようになった。もうほんのわずかで到着ではないか。時間は午後2時40分、まだ早い。雲の流れを見ながら、大喰岳下りの斜面でシャッターチャンスを待つ。30分ほどカメラを構えたが、それでも槍ヶ岳テント場には3時40分に到着できた。

槍ヶ岳山荘前から見る槍ヶ岳

雲海に沈む夕陽 左手に頭を出しているのは笠ヶ岳

夕暮れの大喰岳

常念岳とearth shadow 水平線に地球の影が暗く映る。
夕方5時20分、西の空に夕陽が沈んでいった。雲は視界の下に沈み、見渡す限り一面に雲海が広がった。笠ヶ岳の山頂がちょこんと頭を出し、東の空には格好良い三角錐の常念岳が頭を出している。久しぶりに見る雲海上の夕暮れ、素晴らしい山上でのひとときだった。さて、明日は夜明け前に槍ヶ岳山頂に立つ予定だ。8時にはシュラフを被って眠りに着く。