山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

降る法華院温泉 九重山(1日目)  平成21年10月22日

2009年10月27日 | 日本百名山
 平成21年10月22日 天候晴れ時々曇り

 職員旅行で今年は九州へ行くことになった。行程予定では1泊目が博多か唐津(いずれかを選択)、2泊目が由布院なのだが、折角九州まで行くのだからどこか山に登ってきたい。そういえば、昨年の職員旅行は東北、平泉の中尊寺だったが、私は1日早く自分の車で出発して那須岳の三斗小屋温泉に宿泊してきた。夜から雪(吹雪)になって結局那須岳山頂には立てずに終わっている。さて、今年は・・・由布院の近くというと日本百名山の九重山と、日本二百名山の由布岳がある。初日の宿泊地を九重山の山中にある法華院温泉にして、2日目に九重山に登って由布院で一行に合流するプランを立てた。山登りする職員数人に声をかけたところ、私の他に女性3人が集まり、計4人で九重山に行くことになる。
 さて、当初の旅行会社からの予定では福岡空港に11時15分飛行機到着なので、12時5分福岡空港発大分行きの高速バスを予約し、玖珠インターで下車して九重山長者原(ちょうじゃばる)行きのバスに乗り換える予定を立てた。ところが、実際の飛行機はこの予定よりも1時間近く遅い便で、福岡空港に到着したのは12時15分ごろだった。高速バス予約センターに行き、止む無く次の13時5分発のバスをとり、長者原行きバスには間に合わないので予め玖珠インターでタクシーに乗れるように地元のタクシー会社に連絡を入れた。バスは予定より5分ほど遅れて、14時25分玖珠インターに到着し、出口でタクシーが待っていてくれた。このタクシーが大正解、地元の観光案内をしてくれ、また途中にある日本一長い吊り橋、九重夢大橋を案内してくれ、写真もとってもらい、さらにタクシー代を6000円でカットしてくれた。飛行機とバスのトラブルはあったものの、おかげで気分良く九重山に入山でき、時間もバス到着予定とほとんど同じ15時20分に長者原に到着できた。

    九重夢大橋  日本一長い人専用の吊り橋


    長者原タデ原にて九重山をバックに.

 長者原のタデ原から九州自然歩道を歩いて法華院温泉に行くには約2時間かかる。休憩時間を入れると、到着は6時ごろになるだろうから、途中で日が暮れてしまうのは確実だ。それも、最初から覚悟のうえでの計画である。15時半、長者原を出発。ちょうど山の中腹が紅葉真っ盛りで、三脚を立てて写真を撮っている人たちの姿があちらこちらで見かけられた。タデ原から見上げる九重山はすがすがしさを感じ、明日の登山が楽しみだ。

    途中から見上げる紅葉の九重山  凄い紅葉だったが,日が陰ってしまっているのが残念.


    中間点を過ぎた雨ヶ池あたりで日が暮れてしまう.

 山裾を巻くようにつけられている九州自然歩道は、最初は林道のような広い道だが、やがて登山道に変わる。看板やロープがつけられ、木の階段道も整備されてはいるのだが、下山してきた人に聞いた話だと、5~6年前に来た時よりもずいぶんと荒れてしまっているという。確かに木の階段道が壊れていたり、一部崩落している場所もあったのだが、通行には全く問題ない、良い道だった。ガレた川筋から見上げる紅葉はまさしく真っ赤、赤い絵の具で塗ったような色をしていた。甲府ではあまり見かけられない鮮やかな色の紅葉だった。
 中間点を過ぎた雨が池という場所あたりで日が沈んでしまう。ここまでは昇りの道だったが、この先はなだらかな下りになっていた。林の中ですっかり暗くなり、ヘッドライトを点灯する。甲府では5時半にはもう暗くなってしまうが、九州は日没が30分近く遅く、6時少し前にヘッドライト装着となる。石のゴロゴロした暗い林の中の道を転倒しないように歩いて行くと、日没後の薄明かりの向うに突然大きな葦の湿原が広がり始めた。ラムサール条約登録地の坊ガツル湿原だ。ここまで来れば目指す法華院温泉小屋はもうすぐだ。少し歩くと車が走れる大きな林道に抜け、10分ほど林道を歩いて法華院温泉小屋に到着した。時間は18時20分、小屋の中では宿泊者たちがちょうど食事している最中だった。

    夕暮れの法華院温泉  空は雲でおおわれてしまう.

 受付を済ませて部屋に行くと、平日なので空いていたようで、女性3人用と私用に6畳の部屋を2間用意してくれた。目新しい畳のきれいな部屋で、広々とのんびり寝ることができる。さっそく食事に行くが、牛煮込み、鳥のから揚げ、サラダ、ソバ、ヨーグルトデザートなど、山小屋とは思えない豪勢な食事だった。2食と温泉付きでこの食事で9,000円は安い。山に登らずともこの温泉小屋は超おすすめだ。温泉はやや白く濁り目の温めのお湯で、自分の足で歩いてこそ入れる秘湯の名にふさわしい湯だった。お風呂のベランダから夜空を見上げると、先ほどまで曇っていた空が晴れ、きれいな星空が広がっていた。本日はオリオン座流星群が観察できる日だ。

    大船山側の空.明るいのはおそらく湯布院の明かり.星空の見えているところで30分で2個流星を観察した.

 お風呂から上がって一旦部屋に戻り、しばらく寝転がって休んでいたが、やはり外の星空が気になる。9時ごろ三脚とカメラを持って外に出てみると、一旦は星空が広がった空だったが半分以上は雲におおわれてしまっていた。雲のかかっていない空は星空の名所らしい、きらきらと輝く星空が見えている。オリオン座流星群を目当てに空を見上げている人たちが5~6人ほど空を眺めていた。ベンチに座って空を眺めていると、雲のかかっていない空にスーッと流星が流れていった。30分ほで2個見ることができたが、さらに雲が広がり始め、9時半にあきらめて撤退、寝ることにした。
 部屋は6畳1部屋独占なので、荷物を広げっぱなしで窓際の星空が見える場所に布団を敷いて、目を開ければ空が見えるようにして寝た。睡眠薬1錠飲み、10時にはもうすっかり眠りについていた。明日は6時出発予定なので、目覚ましは5時にセットした。

    南中するオリオン座と法華院温泉小屋


    星降る法華院温泉小屋  山の上にはカシオペア座が沈み始めている.


    オリオン座と冬の大三角形  この位置で流星を捉えたかったが,1個も写らず.

 ふと目が覚めると、窓ガラス越しにオリオン座の三ツ星が燦々と輝いているのが見えた。時間を見ると4時だ。窓を開けて空を見上げると、雲ひとつない快晴だ。服を着込んで三脚とカメラを持って外に出る。空は見渡す限り晴れ上がり、燦々と星の降る凄い空だった。オリオン座はちょうど南中していちばん高い位置に昇っている頃だった。空をじっと見ていると、流れ星が時折流れて行くのが見える。オリオン座流星群というのだからオリオン座の周辺に飛ぶのかといったらそういうわけではなく、放射の中心部がオリオン座付近にあるというだけで全天空に流星は舞う。しかし、できればオリオン座の入る位置で流星を捉えたいので、その方向にカメラをセットして再三シャッターを切るが、飛んでゆくのは反対側の北斗七星の方角だったり、また良い場所に飛んだと思えばシャッターが開いていない時間だったり・・・30カットほど撮影したが、結局流星は1度も捉えることができずに夜が明けてしまった。しかし、肉眼では1時間で6~7個見ることができ、満足できる流星群観察ができた。

    法華院温泉と薄明の空  この時間は空が青く写る.小屋の上にはプレアデス星団が輝く.白い筋は流星ではなく人工衛星.


    夜明け前のオリオン座と冬の大三角形  もう空は明るくなり始めた.流星の観察はここまで.

 さて、天気は良好、部屋に戻って朝食(小屋の朝食は6時45分からだが、弁当にして前夜にもらってある)をとり、準備して九重山目指して出発だ。
コメント (5)
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