山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

残雪の飯豊本山(前篇)

2010年07月04日 | 日本百名山
 平成22年6月4‐5日

 例年まともに夏休みがとれないので、今年は前倒しして6月に2日間休みをとった。木・金曜の休みをとり、水曜日の午後から4日半の休みとなる・・・はずだった。しかし、またしても例年の如く3人の緊急入院患者様を抱えることとなり、1泊2日しか日程はとれなくなってしまう。仕事柄止む無し。最終的には木曜日午後に登山口の福島県会津若松の川入に移動、車内泊して金曜日早朝から飯豊本山目指して出発することとなる。実質的な行動時間が8~9時間、休憩や写真撮影時間を入れると約11~12時間の長丁場となる。果たして、最近取り組んでいるトレーニングの成果は発揮されるのか?
 川入到着したのは日没少し過ぎた午後7時過ぎ。キャンプ場になっていて、トイレや炊事場がついている立派な施設だった。駐車している車が2台、車内にはいないので、おそらくは飯豊山に入山している人なのだろう。コンビニで買い込んだ弁当と地酒で夕食を済ませ、8時には早々に寝る。空は星が少しだけ見えるうっすら曇り空だ。天気予報では明日は天気持ちそうだが、果たしてどうなるのか?星空は出てくれるだろうか?

 6月4日 天候晴れ時々曇り
 早朝4時に目を覚まし、ヘッドライト無しで歩ける4時半に出発する。10分ほど林道を進むと大きな杉の木があり、そこから登山道に入る。少しばかりの急登が始まるが、予想していたよりも緩い。丹沢山系大室山に似た大きなブナの木が林立した林の中をひたすら登る。足元を見れば、ピンク色の可愛らしい花がちらちらと見え出す。イワウチワだ。山梨県では上野原の坪山くらいしか自生しているところを知らないが、この山にはごく普通に生えている。それに混じって、これまたこんなにたくさん生えるのかというくらいにショウジョウバカマが咲いている。

    飯豊山の川入側登山道入口となる御沢の大杉


    登山道下部の新緑のブナ林


    イワウチワの群生と地蔵山

 地蔵山が見える稜線に抜けたところで大きな雪渓に突入した。運が良いことに私を追い越していった単独登山者の人がおり、その人の足跡のおかげで方向を見失うことなく歩けた。雪渓を抜けると、今度はカタクリの大群落だ。山梨県のそれとは全く違う、赤紫色の濃い大きな花が咲いている。そしていよいよ、このルート最大の難所、剣が峰を経て三国山への登りとなる。岩の急登で両側がそげ落ちているが、危険な個所には鎖がとりつけられていた。しかし、強風時や雨で滑る時は要注意だろう。再三三脚を立てながら、存分に写真を撮影しながら歩いてきたが、ほぼ予定通りの10時、三国山の避難小屋に到着した。

    真っ白なダケカンバと残雪の飯豊連峰


    飯豊の空


    カタクリの花と三国岳

 三国山山頂にはこの季節になってもまだ山桜が咲いており、その向こうにようやく飯豊連峰最高峰の大日岳が見えるようになってきた。ここで軽食をとりつつ大休憩していると、同じコースをもう一人単独登山者が登ってきた。話し方からして地元の方、本日は飯豊本山小屋に泊まるというので、私がテントを張らなければ本日は同じ小屋泊まりということになる。(満天の星空になった時は写真撮影のためガタガタするので、同じ小屋の宿泊者に迷惑になってしまうため、テントを張ろうと持ってきた。)これから先のルートや見渡す山々について詳しかったので、情報を聞いて私が先に出発した。(後にこの方には山の上のみならず、下山してからも大変ご厄介になることとなる。)

    シラネアオイ


    アカヤシオツツジとこれから目指す三国岳


    三国岳避難小屋とこれから目指す飯豊本山方面


    三国岳山頂に咲いていたカタクリ


    三国岳の山桜と飯豊連峰最高峰大日岳


    稜線でほころび始めたアカヤシオツツジと大日岳

 雪渓と土の登山道が入り交じるようなルートとなり、ところどころひび割れて今にも崩れそうなクレバスの横を慎重に通過しつつ、飯豊本山を目指す。驚いたのは種蒔山への登りの斜面だ。とても登れそうもない雪の急斜面につきあたり、そこでぱったりと足跡が途絶えている。果たして先行した人はどこをどう登ったのか?足元を良く見ると、左側に雪で傾いた木々の枝が横たわっており、その枝につかまりながら雪渓の端を登ったようだ。そこしか登れそうなところは見あたらなかった。距離にして10mくらいだが、ここはちょっと苦労した。そして登り付くと・・・一気に展望が開け、残雪たっぷりの飯豊本山が全容を見せるようになる。雪渓の下には切合(きりあわせ)小屋が見える。雪渓の中を切合小屋目指して真っ直ぐに進み、小屋の手前の水場で再び大休憩する。時間は12時半、順調に来てはいるが、見上げる飯豊本山はまだ遠い。(1日目後編に続く)

    種蒔山から見上げる残雪の飯豊本山

 (『山梨百名山から見る風景』ファンの皆様、ブログ更新が大変遅れてしまっていて申し訳ありません。シャクナゲ咲く瑞牆山、さらには飯豊門内岳、キタダケソウ咲く北岳とこの後訪れているのですが雑務が多くなかなか書けない状況です。申し訳ありません。
コメント (4)
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