平成22年9月4-5日
青木鉱泉から中道ルートで薬師岳まで7時間もかかった。薬師岳小屋に宿泊料金は払ったものの、夕食をいただいただけで結局用意していただいた寝床には全く横たわることなく、ザックを背負って薬師岳から観音岳に向う。それもそのはず、おそらくはこの夏シーズン最高と思われる星空になり、とても寝ていられる状況ではなかったからだ。白根三山と天の川中心部分の位置を見ながら観音岳を目指し、8時ごろ山頂に到着した。さそり座はもう半分以上沈んでしまっているが、農鳥岳の上あたりに大きな天の川の帯がかかる。上を見上げれば夏の大三角形、そしてカシオペア座、北斗七星。東にはひときわ明るい木星が昇る。満天の星空を見上げながら、翌日の下山の心配があるので山頂ケルン横でツエルトとシュラフカバーを被り、夜11時、一旦寝る。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7c/39/4373649f784cdc4d132b848bad72bcfa.jpg)
Crescent moon 雲海に昇る月 午後2時過ぎ、オリオン座の横に二十六夜の月が昇る。
とてもぐっすりと眠れるような環境ではないのだが、少しは眠ることができ、目が覚めたのは午前1時過ぎ。オリオン座が昇り始めていた。眠いのでもうひと寝入りして2時過ぎ、まだ眠い体を引きずるように起き上がる。眼下に雲海が広がり、そのおかげで明る過ぎる甲府盆地の灯りが遮られ、オリオン座と冬の大三角形がはっきりと見える。二十六夜の月が静かに雲海を照らしながら昇っていた。富士山が雲海の上に頭を出している。凄い景色が目の前に広がっていた。
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雲海に昇る月と冬の大三角形 レンズの上半分に吐息をかけて月の光を拡散させて撮影。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3f/0c/01baf064e31fd6de5ab5af7daf9c6047.jpg)
富士に昇るオリオン座の光跡 15分間バルブ撮影。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/68/57e3e9a41855367a620b27f93c0507a1.jpg)
富士に昇るオリオン座 こちらの画像の方がデジタルカメラの特性が発揮できる。
ここからはもうひたすらシャッターを切った。30秒シャッター開放、記録に30秒かかるので、1枚の撮影に最低1分はかかる。画像の構図、明るさをモニターで確認してまたシャッターを切る。朝まで山頂の岩の上や、一段下のところを行ったり来たりの繰り返しだ。できれば、17mmの画角で雲海を水平に捉えたかったのだが、APS-Cサイズのセンサーでは入りきらず、15mm fisheye での撮影となる。想定していたよりも遠い位置に月が昇っていた。また、オリオン座の位置も予想よりは富士山から遠かった。しかし、それを考慮しても余るほどの凄い景色だ。もし小屋が近かったなら、寝ている人たちをたたき起こしてでも見せたい景色だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/4f/1db4e5865229202aef0cd8113d82f897.jpg)
雲海に昇る薄明の二十六夜月 17mmでようやくこの画角に収まる。
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夜明けの雲海と富士
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朝焼けの雲海に浮かぶ
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/5f/50823ca3f86a8a9ac7f87d9196b24ba8.jpg)
雲海上の日の出
夜明けが近付くとともに空が青らみ、水平線がオレンジ色に染まる。薄明の澄んだ青い空に吸い込まれるように星が消えて行く。足元がしっかり見えるようになった頃、山頂の岩から下りる際、見事に踏み外して転倒、カメラを思い切り岩にぶつけてしまった。ボディとレンズのフレームに傷ができたが、シャッターは普通に切れる。と思いきや、そうではなかった。サブモニターに表示されたIso感度や絞り、シャッタースピードがダイヤルを回しても変えられなくなってしまった。困った。朝だというのにIso 640のまま変えられない。しかし、ファインダーの中を覗いてみると、ダイヤル操作で数値が動いており、どうやら壊れたのはサブモニターだけで撮影には支障なさそうだ。日の出の貴重な時間、この転倒で15分ほど撮影中止となってしまった。肝心の自分自身は?膝と肘に擦り傷を負った程度で、カット判を貼っただけで事無きを得た。
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朝日射す地蔵岳と甲斐駒ケ岳
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白根三山の夜明け
すっかり陽が昇ったところで三脚を担いだまま地蔵岳の方向に移動する。眼下の雲海は朝もそのままだ。地蔵岳や甲斐駒ケ岳、そして白根三山に朝日が射し込み、ほんのり赤く染まる。地蔵と観音のコルまで行ったところで朝食をとる。さて、下山。ドンドコ沢の急下りを黙々と下るが、この下りもまた登り以上にきつい。7時半に鳳凰小屋を出発したが、途中で疲れと睡魔に襲われてヘロヘロ状態となり、ついでに道を間違えて20分ほど御座石鉱泉側のルートに入ってしまうというおまけも付き(40分ほど時間をロス)、12時、やっと青木鉱泉に到着した。
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真夏の北岳
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/c9/de2514af0e075c34ee498b9deb77e821.jpg)
雲海に浮かぶ八ヶ岳
思いもよらぬ星空とめぐり会えた今回の鳳凰山。この山は何度登っても裏切られたことがない。今回も山の神様に感謝だ。しかし、自分の体力はどうかというと・・・ただ歩くことに慣れただけなのか、寝不足が応えたのか、もう動きたくないというくらいへとへとに疲れた。しかし、筋肉痛は翌日軽くあっただけだったので、5年前に比べると進歩・・・とみて良いのだろう。
青木鉱泉から中道ルートで薬師岳まで7時間もかかった。薬師岳小屋に宿泊料金は払ったものの、夕食をいただいただけで結局用意していただいた寝床には全く横たわることなく、ザックを背負って薬師岳から観音岳に向う。それもそのはず、おそらくはこの夏シーズン最高と思われる星空になり、とても寝ていられる状況ではなかったからだ。白根三山と天の川中心部分の位置を見ながら観音岳を目指し、8時ごろ山頂に到着した。さそり座はもう半分以上沈んでしまっているが、農鳥岳の上あたりに大きな天の川の帯がかかる。上を見上げれば夏の大三角形、そしてカシオペア座、北斗七星。東にはひときわ明るい木星が昇る。満天の星空を見上げながら、翌日の下山の心配があるので山頂ケルン横でツエルトとシュラフカバーを被り、夜11時、一旦寝る。
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Crescent moon 雲海に昇る月 午後2時過ぎ、オリオン座の横に二十六夜の月が昇る。
とてもぐっすりと眠れるような環境ではないのだが、少しは眠ることができ、目が覚めたのは午前1時過ぎ。オリオン座が昇り始めていた。眠いのでもうひと寝入りして2時過ぎ、まだ眠い体を引きずるように起き上がる。眼下に雲海が広がり、そのおかげで明る過ぎる甲府盆地の灯りが遮られ、オリオン座と冬の大三角形がはっきりと見える。二十六夜の月が静かに雲海を照らしながら昇っていた。富士山が雲海の上に頭を出している。凄い景色が目の前に広がっていた。
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雲海に昇る月と冬の大三角形 レンズの上半分に吐息をかけて月の光を拡散させて撮影。
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富士に昇るオリオン座の光跡 15分間バルブ撮影。
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富士に昇るオリオン座 こちらの画像の方がデジタルカメラの特性が発揮できる。
ここからはもうひたすらシャッターを切った。30秒シャッター開放、記録に30秒かかるので、1枚の撮影に最低1分はかかる。画像の構図、明るさをモニターで確認してまたシャッターを切る。朝まで山頂の岩の上や、一段下のところを行ったり来たりの繰り返しだ。できれば、17mmの画角で雲海を水平に捉えたかったのだが、APS-Cサイズのセンサーでは入りきらず、15mm fisheye での撮影となる。想定していたよりも遠い位置に月が昇っていた。また、オリオン座の位置も予想よりは富士山から遠かった。しかし、それを考慮しても余るほどの凄い景色だ。もし小屋が近かったなら、寝ている人たちをたたき起こしてでも見せたい景色だった。
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雲海に昇る薄明の二十六夜月 17mmでようやくこの画角に収まる。
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夜明けの雲海と富士
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朝焼けの雲海に浮かぶ
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雲海上の日の出
夜明けが近付くとともに空が青らみ、水平線がオレンジ色に染まる。薄明の澄んだ青い空に吸い込まれるように星が消えて行く。足元がしっかり見えるようになった頃、山頂の岩から下りる際、見事に踏み外して転倒、カメラを思い切り岩にぶつけてしまった。ボディとレンズのフレームに傷ができたが、シャッターは普通に切れる。と思いきや、そうではなかった。サブモニターに表示されたIso感度や絞り、シャッタースピードがダイヤルを回しても変えられなくなってしまった。困った。朝だというのにIso 640のまま変えられない。しかし、ファインダーの中を覗いてみると、ダイヤル操作で数値が動いており、どうやら壊れたのはサブモニターだけで撮影には支障なさそうだ。日の出の貴重な時間、この転倒で15分ほど撮影中止となってしまった。肝心の自分自身は?膝と肘に擦り傷を負った程度で、カット判を貼っただけで事無きを得た。
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朝日射す地蔵岳と甲斐駒ケ岳
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白根三山の夜明け
すっかり陽が昇ったところで三脚を担いだまま地蔵岳の方向に移動する。眼下の雲海は朝もそのままだ。地蔵岳や甲斐駒ケ岳、そして白根三山に朝日が射し込み、ほんのり赤く染まる。地蔵と観音のコルまで行ったところで朝食をとる。さて、下山。ドンドコ沢の急下りを黙々と下るが、この下りもまた登り以上にきつい。7時半に鳳凰小屋を出発したが、途中で疲れと睡魔に襲われてヘロヘロ状態となり、ついでに道を間違えて20分ほど御座石鉱泉側のルートに入ってしまうというおまけも付き(40分ほど時間をロス)、12時、やっと青木鉱泉に到着した。
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真夏の北岳
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/31/c9/de2514af0e075c34ee498b9deb77e821.jpg)
雲海に浮かぶ八ヶ岳
思いもよらぬ星空とめぐり会えた今回の鳳凰山。この山は何度登っても裏切られたことがない。今回も山の神様に感謝だ。しかし、自分の体力はどうかというと・・・ただ歩くことに慣れただけなのか、寝不足が応えたのか、もう動きたくないというくらいへとへとに疲れた。しかし、筋肉痛は翌日軽くあっただけだったので、5年前に比べると進歩・・・とみて良いのだろう。