山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

富士に昇るオリオン座と冬の大三角形 雨ヶ岳  平成24年11月10日-11日

2012年11月11日 | 御坂・毛無・天子山系
 今年の富士山は10月にすっかり雪化粧し、富士山らしい綺麗な容姿を見せている。11月10日から12日までの3日間はちょうど雨ヶ岳の山頂からダイヤモンド富士が見られる日だ。特に11日の日曜日は山頂真ん中から日が昇る絶好の日だ。しかし、問題なのは天気だ。予報ではこの日は昼過ぎから雨。しかし、天気が崩れ始める前は狙い目でもある。ひょっとしたら、雲海の上に富士山が浮かんでくれるかもしれないからだ。何度も雲海上のダイヤモンド富士を求めて登っている毛無山・雨ヶ岳山塊だが、チャンスは何度もあったが未だに雲海上のダイヤは撮影に成功していない。今回も一発勝負、テントを担いで雨ヶ岳に登る。さらにもう一つの狙いは、東の空から昇って来るオリオン座と冬の大三角形だ。ちょうど富士山の左裾あたりから昇って来るはずで、木星が接近している今は賑やかな夕暮れの空になっている。

 当直開けて2日目なのでとても早起きなどできず、ゆっくり起きてお風呂に入り、甲府の自宅を出発したのは既に昼の12時を回ってしまう。前回は今年の2月に本栖湖側から登ったので今回は静岡側の根原から入山することにした。1時過ぎに到着したのは良いが、林道入口の駐車場手前で既に立ち入り禁止になっている。車を止められず、止む無く朝霧高原道の駅の前を右折して東海自然歩道の通る草原に入ってみたが、どうみてもかなりの距離がある。戻って根原小学校脇の細い道に入るが、ここは行き止まり。さらに戻ってガソリンスタンド脇を入ると車が止められるスペースがあった。しかし、ここはどうみても私有地だ。しかし、使われている様子はないので、その空き地の隅に車を止めさせていただく。出発は午後1時50分になってしまう。またしても、明るいうちに山頂には到着できそうもない。

    私有地と思われる空き地に車を止めさせていただく。後ろに見えるのが目指す毛無山・雨ヶ岳の山塊。


    このゲートの先に駐車場があるのだが・・・通行止め。この先で工事している場所があり、道幅が狭くなっていた。


    ここが使えると楽なのだが、当分は使えなそうだ。駐車料金ではなく協力金の徴収箱が設置してある。

 アスファルトの林道を進むと別荘地を過ぎてA沢貯水池のところで東海自然歩道と合流する。この道は良く整備されていて随所に立派な道標が立てられている。道標に従って端足峠(はしたとうげ)に進むと、急傾斜ながら道はジグザグにうまくつけられており、30分ほど登ると端足峠に到着する。時間は3時15分、1時間半弱で峠に到着した。

    東海自然歩道に出る。フェンスの向こうがA沢貯留池で、飲料水のため立ち入り禁止になっている。


    端足峠の分岐。ここから登りになる。


    端足峠から見る富士山。陽の射す角度が良く、PLフィルターがパッチリ効く。

 あまりのんびりしているつもりはなかったのだが、今日の富士山があまりにも綺麗だったので三脚を出して撮影しているとあっという間に30分も時間を費やしてしまう。この先から本番の雨ヶ岳急登が始まる。良く刈り払われた笹原の急登を過ぎさらに続く林の中の急登を登り、標高1,500mあたりのところで時間は4時半を回る。赤く焼ける富士山を期待していたのだが、ほとんど染まらずにあっさり日が沈んでしまう。もうすぐ暗くなるのでヘッドライトを装着し、午後5時ごろから点灯して登る。そして山頂直下の最後の急傾斜を空腹のエネルギー切れと闘いつつ、すっかり暗くなった午後5時45分、山頂到着した。

    端足峠付近から見上げる雨ヶ岳。すぐそこに見えるのだが、ここからが急登りの始まり。


    笹原の急登


    なかなか到着しない雨ヶ岳。まだまだ続く急登り。


    夕暮れの空。あまり染まらずにあっさりと陽が沈む。


    山頂到着は6時少し前。端正な富士山が聳える。右が駿河湾の明かり、左は河口湖の明かり。

 テント設営の前にしばし眼前の富士山と星空を眺め休憩する。一通り撮影したところでテント設営して夕食をとる。午後8時を過ぎた頃には東の空に木星が輝いているはずなので、その時間に再びテントの外に出て撮影を始める。この日は新兵器、ハーフミストフィルターを持って来た。これは、ソフトフィルターを使うと星は大きく写るが、反面山や景色がぼやけてしまうので、下の部分をシャープに写して空の星をぼかそうという発想だ。しかしながら、そのフィルターは空が白く写ってしまい、失敗に終わる。さらにもうひとつの兵器、それは手製のハーフソフトフィルターだ。これはプロテクターにフィルムを張り付けた自家製のもの。しかし、つなぎ目の部分に線が入ってしまうのではないかと心配していたのだが、どうやら大丈夫そうだ。木星が大きく輝いて写るがその他の星はいまいち、もう一工夫必要そうだ。

    天の川と夏の大三角形。これはフィルター無しの画像。


    富士に昇る木星  ハーフソフトフィルター使用。運良く流星が流れてくれたが、飛行機は邪魔。


    富士に昇るオリオン座


    木星とオリオン座  広角10㎜レンズ+ハーフソフトフィルター


    富士に昇る木星と冬の大三角形  富士山の真上でシリウスが輝く。今回いちばん撮りたかった画像。

 天候に恵まれたこの日は雲が流れつつも空が澄んで素晴らしい星空が広がった。久しぶりに山上での至福の夜を一人過ごした。さらにもうひとつ、新しい試みを行ってみたのだが、それは後日(といっても編集に時間がかかりそうなのでしばらく先になりそう)ご披露することとしよう。
 さて、明朝は未明3時半に起床の予定だ。ダイヤモンド富士の前に、今度は富士山の裾野から二十七夜の細い月が昇って来るはずだ。ひとまずは寝なければ。明日の好天を祈りつつ、10時半、シュラフにもぐり込んで寝る。


コメント
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