山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

月齢1の地球照の月 アザミ平  平成27年2月20日

2015年02月20日 | 星空
 狙っていましたがなかなか撮影できなかった月齢1の月、ようやく撮影できました。パール富士よりも難しいと思います。

 
 翌日に新月となる月齢29の月、あるいは新月翌日の月齢1の細い月は、何度か狙って計画を立てたり、撮影に出かけたりしていたが、未だに撮れたことが無い。天候がいまひとつだったり、日程が合わなかったり、さらにこの細い月は日の短い冬の期間でなければ撮影は困難となり、季節も限られている。2月28日は昨年の暮れから位置を計算して狙っていた月で、こんな時が来るだろうと想定して篭坂峠の東側、立山からアザミ平、大洞山界隈を下見し、夜の登山に備えてGPSのログも記録しておいた。この日を逃せば、次はおそらく年末になってしまう。

 気温がやや上昇し、ライブカメラで見ると富士山には雲が棚引いていた。特に御殿場から山中湖側には雲が多い。いまひとつの空模様だが、先日の高指山の時のように夕方に回復してくれることを期待して出発。午後6時ごろに富士山頂に月が沈んで行くはずなので、アザミ平5時到着を目指して、午後4時に篭坂峠を出発する。幸いにして本日歩いたばかりのトレースがある。


    篭坂峠の墓地駐車場。あの雲の中に富士山がいるはず。


    幸いにして本日の新しいトレースあり。


    これまた幸いなことに立山側のトレースは無いがアザミ平方向にはトレースがくっきり。


    夕陽に照らされて木々の陰が雪原に長く伸びる。


    アザミ平と立山の分岐


    アザミ平到着。


    アザミ平からも富士山は見えるのだが、頭の上しか見えずいまひとつの眺望。

 予定通り5時5分前にアザミ平到着した。下見の時は曇っていて富士山が見えなかったのだが、ここから見えるのは頭のてっぺんだけでいまひとつの眺望だ。もっと上に良い場所は無いのか?まだ時間があるので大洞山方向に向かって登って行くと、1段上にやや開けた場所がありそこからも富士山が見えた。樹林の中の切れ間を探すとちょうど良い場所が確保できたので、雪を踏み固めて足場を作り撮影機材をセットする。時折大きな雲がやって来て富士山が隠れてしまうが、なんとかなりそうな雲行きである。


    アザミ平の先の樹林帯から振り返る富士山。


    1段上の平坦地からも富士山が見える。


    樹林の切れ間の好展望地を探してカメラを構える。


    時折大きな雲が流れて富士山が隠れるが、すぐにまた姿を現す。雲の切れ間から現れた月齢1の月。


    月の上には金星も輝き出した。


    富士山頂に近付く一日月


    細月と金星


    地球照の一日月  200mm f2.8 + エクステンション×2 = 400mm f5.6 で撮影


    この細い月と地球照の輝きは凄い。ファインダーを覗きながら感動、同時に「やった!」という気持ちがこみ上げる。


    富士山頂で輝く月齢1の月


    富士山頂に沈んで行く月齢1の地球照の月。


 月が沈んだ後もこの日は楽しい天体現象が続く。金星と火星が大接近しているのだ。富士山頂に沈めるには立山展望台が良いが、この場所でも十分に楽しめる。すっかり日が暮れて東の空にオリオン座と冬の大三角形が輝く頃、肉眼で富士山腹に巻いている雲を見ると少し赤く染まっているように見えたが、写真に撮ってみると夕焼けに染まった雲が真っ赤に写っていた。思いもよらぬ景色にまたしても感動する。


    まだ夕焼けの空が残る頃、富士山腹を巻いた雲が赤く染まり始めた。


    すっかり暗くなった頃、雲は真っ赤に焼けていた。


    夕焼けの雲と金星


    富士山頂で輝く金星と火星


    金星が富士山頂を越えて沈む頃、雲が湧き始めて富士山は見えなくなってしまう。本日これまで。

 山の風景は登ってみなければわからないもので、狙い通りの月齢1の細月に加えてこの日は夕焼けの赤い雲の上に金星・火星が輝くという、これ以上に無い好条件で天体現象を楽しむことができた。下見しておいたことも大いに役立った。さらに今回試してみたかったのが焦点距離を2倍に延ばすことができるエクステンダーという新たな武器だ。これは来るべき月蝕の月をズームで撮影するために必要となるのだが、さらに簡易赤道儀ナノ・トラッカーと組み合わせて、彗星やメシエ天体なる星雲や星団を撮ることも試してみたいと思っている。残念ながら、ナノ・トラッカーは現在故障中、他の簡易追尾装置も検討中である。
コメント (4)
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