山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

山梨県山岳連盟自然保護グループ主催による櫛形山調査会  平成28年6月5日

2016年06月07日 | 山梨百名山
 予定ではバリアンスルートの沢から尾根にかけての稀少植物調査だったのだが、この日は朝から想定外の雨となってしまい、とてもではないが道の無い沢を尾根まで登り詰めることは出来ない。そこで当日参加メンバーと相談の上ルートを変更し、悪天候でも歩けそうな櫛形山山頂からアヤメ平の周回コースに変更した。午後からは回復してくれそうなので、カッパを着て傘を差して雨と霧の中を出発する。


    雨と霧の中を出発。一人だったら絶対に行かないが、今回は山岳レインジャー活動の一環なので少しの悪天候ならば決行・・・なのだ。


    櫛形山山頂。昔からの櫛形山を知る人の話では、腰から胸のあたりまで草が生い茂る森だったそうだ。今ではほとんど森の中の禿山。


    ツガの林床で一株だけ見つけたイチヨウラン。


    カラマツに着生したサルオガゼが美しい。


    裸山に到着。たくさん出ている穂は昨年のアヤメ。すらりと伸びた下草はアヤメで、かなり復活してくれている。


    白い花はミヤマハタザオ。私が山に登るきっかけを作ってくれたクモマツマキチョウの食草。残念ながら蝶は飛んでいない。


    裸山山頂から見下ろす。昨年秋にボランティアを募集してこの山頂付近の斜面も保護柵で囲まれた。いつか復活してくれることと思う。

 時間はお昼近くとなり裸山の山頂で昼食となった。空はだいぶ明るくなってきたがまだ小雨がぱらついている。昼食後アヤメ平に向かう。


    アヤメ平。まだキンポウゲは蕾だが、いずれこのあたりは黄色い絨毯が敷かれたようなお花畑に変わる。


    完全復活とは言えないが、だいぶ下草が増えたアヤメ平。


    しかし一歩保護柵の外に出るとそこは別世界。鹿の食害跡。


    これはアオスズラン(別名エゾスズラン)の葉。鹿の大好物だけに無事に咲いてくれると良いのだが・・・。


    きわめて貴重な櫛形山のカモメラン。下に小葉があり、見つかったのはこの2株のみ。


    トンボソウの仲間らしき葉。先端が丸まっており、おそらくはオオヤマサギソウと思われる。


    ヒメムヨウランは随所で観察された。


    こちらはちょっと変わったヒメムヨウラン。アルビノの株と思われる。


    昨年は1ヶ所しか見つからなかったが、今回は別の場所も発見できたタカネフタバラン。穂が出始めたばかり。


    アヤメ平の辺りで雨が止んだ。展望台からは北岳が見えた。


    誰かがかじった跡。誰かって?それは熊おやじ。別の場所の標柱はまだ熊の毛が残っていた。散策される方は十分にご注意を!

 5月に入ってから何度も調査に入っている櫛形山だが、保護柵で囲まれた場所以外は食害著しく目ぼしい花や稀少植物は絶滅に瀕している悲しい山である。また国立公園から外れて県立公園の扱いのため無法地帯になっており、盗掘も著しいと聞く。保護柵の外に咲く花たちも守ってやれるような何か良い手立ては無いものだろうか。
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「花咲かじじい作戦」失敗か?  平成28年6月初旬

2016年06月07日 | 番外編
 咲かなくなってしまった某所のラン科植物を咲かせるために昨年から作戦を展開している。原因は鹿の食害とそれによるテンニンソウやスゲの仲間の植物の増殖による林床の変化、さらにはそれによって引き起こされた共生菌の活性低下が原因と思われる。まずはテンニンソウなどのはびこった雑草を取り除き、日当たりを良くするために周辺に伸びた木の枝を除去し、さらにはラン菌活性化のために天然素材の肥料を散布した。果たしてその成果は上がっているのか?


    途中に生育しているクモキリソウ属を観察しながら現地に向かう。


    葉が数株出ているのを発見したが咲いているものは一株も見当たらない。こちらも食害によるものと思われる。


    昨年は立派な花を咲かせていたはずの株も今年は小さな葉しか出していない。なんとかしないと絶えてしまいそうだ。


    現地到着。テンニンソウは大部分を除去したのでわずかに残っているのみ。スゲも約半分になっている。


    しかし・・・肝心の草の葉が見つからない。どうやら出ていないようだ。


    肥料を散布して他の草が増えたが、折角生えた草は鹿に食われている。これでは鹿の餌を増やしているようなもの。


    それっぽい葉が出てはいるが、これは世話している草の葉では無い。


    花咲かじじい作戦、赤信号!

 昨年の秋から作戦を始動したが、その時には春に確認したはずの葉が消失していた。鹿に食べられた跡があることからおそらくはその時には既に鹿に食べられていた可能性がある。草むしりや木の枝の処理の前に、ネットを張るべきだったかもしれない。しかしネットを張ることによってその場所に何かの植物が保護されていることがバレてしまうわけで、これもまたあまり良いこととは思えない。もしも根が残っていれば数年後にまた芽を出す可能性が残っているので、これは保護ネットを張るのも止む無しかと考えている。今回は葉が確認できなかったが作戦は引き続き続行する。
コメント (2)
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