山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

シハイスミレを探しに、そして気になるあのスミレの正体は?  平成29年5月12日

2017年05月12日 | 花・花・花
 甲府市北部の林道に咲くシハイスミレはもう終わっている頃だろう。初めてこのスミレを見つけた時の驚きは未だに良く覚えている。こんなスミレが山梨にあったのか・・・そして兜山で群落を見た時もこんなに咲くものかと驚かされた。さらに今年の4月下旬に訪れた岩堂峠の界隈でシハイスミレに出会い、兜山から帯那山にかけての広い範囲でこのスミレが分布していることが予想された。ほぼ似たような環境のところに咲いていることもわかってきた。おそらくはこのあたりにも・・・と予想をつけて、まだ歩いたことが無い、あまり人が歩かない山道を歩いてみた。おそらくはもう花は終わってしまっているだろうが、特徴的な葉を見ればだいたい見分けがつく。


    ほとんど車が止まっていることが無い林道脇のスペースに車を止めて出発。祠があった。


    アカマツと雑木林が混在するような環境、こんなところに居るはずだ。


    間もなくそれらしき葉を発見。ほとんど結実しているが、散りかけた紫色の花が付いている株もある。


    この葉っぱ、この花の色、シハイスミレで間違い無いだろう。


    近くにはこの山域ではあまり見かけないフモトスミレが咲いていた。


    フモトスミレ

 思った通り、こちらの尾根にもシハイスミレが分布していた。そして林道に降り立ち、昨年見た問題のスミレがあった場所に行ってみる。斜面が崩落し、昨年はあれほどたくさん咲いていたアカネスミレがほとんど見当たらない。ゲンジスミレに至っては葉も含めて皆無である。


    少しだけ咲き残っていたシハイスミレ。


    4月下旬には咲いていなかった場所。


    法面が崩落し、昨年はたくさん咲いていたアカネスミレが見られなくなってしまった。


    かろうじて残っていた問題のスミレ。花はもう終わりである。異様に長いこの葉茎を見てカクマスミレではないかと思ったのだが・・・


    確かに少し丸みを帯びていてゲンジスミレに似たような葉もある。


    しかし改めてこのスミレが咲いている環境を見れば・・・こんな上から枯れ木や草がかぶさったような環境で花を咲かせるには、花茎も葉茎も伸ばさざるを得ないだろう。

 決着が着いたとは言えないが、おそらくはこのスミレが咲く環境が悪く、花茎と葉茎を伸ばしたアカネスミレと見るのが妥当であろう。引き続き経過を見たいと思う。

 さらに山頂方向に登ってみる。


    ニリンソウが咲き始めていた。


    あまり気にかけていなかったが、モミジガサの群落があった。


    マルバコンロンソウ


    ポツポツと咲いているワダソウはまるでイチゲの仲間のようだ。


    バリアンスルートを登ると、奇妙な葉っぱに遭遇。


    葉の裏が黒い。以前にも登ったことがあるはずだが気付かなかったのだろう。ゲンジスミレの葉。来年が楽しみだ。


    下りもバリアンスルート。テープを追いかけて下る。


    防火帯の尾根に出た。このイバラの尾根を強引に下れば登山道に出るはずだが・・・とてもそんな気になれず、尾根を変えて下りる。


    林の中にあったアケボノスミレはもう痛んでいるが、隣にヒゴスミレの葉が並んでいる。


    道無き急下り。しかし、ここに生えている木にはことごとくロット番号のテープが付いていた。


    その先はフイリヒナスミレの住処だった。花は終わっていた。

 GPS便りに林道に抜け出た。林道を渡り、来た道とは違うルートで車を止めた場所に戻る。すると・・・そこには驚くほどのシハイスミレが生えていた。


    終わっていて残念だが、結構な数のシハイスミレがある。


    さらに進むと・・・足の踏み場が無いほどのシハイスミレ。尾根がシハイスミレに支配されている。

 予想を上回るシハイスミレの大群落に出会うことが出来た。おそらくはこの山域で最大級の群落であろう。以前にも途中まで歩いたことがあったが、これほどの群落は見かけていないことから、おそらくは急速に数を増やしてきたのではないかと思う。こちらも来年訪れるのが楽しみになってきた。
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キンキラキンらん保護作戦その後  平成29年5月10日

2017年05月12日 | 番外編
 先日保護ネットを設置した場所の花が気になって仕方ない。設置したは良いが、反面、ここにありますということを教えていることにもなる。最初から盗掘を目的として入山する人にとっては探す手間が省けてこんな親切なことは無いわけである。果たしてどうなっているだろうか?そろそろ花は終わっている頃だろう。


    金網を張った場所。ランは無事でもうすぐ花が散りそうだ。


    ネット設置場所。こちらも無事でもうすぐ花は終わり。


    無事に結実して種をつけてくれれば良いが・・・


    この場所も問題無し。


    おかしいのはこの株。種になって落ちたのかと思えばそうでは無いようだ。


    これは盗掘を恐れて誰かが花を摘んだらしい。


    柵を設置していない別の株でも同じようなことが行われていた。


    株の下に摘まれた花が散らばっている。

 盗掘されないように花を摘んで隠すという意図もわからないではないが、これをやってしまうと種が付かないために長い目で見ると結局は花が廃れて行くことになってしまう。この方法ではその時は良いとしても、結局は花の保護につながらないのである。しかし、2ヶ所、少なくとも4本以上はあったはずの場所を聞いていたのでその界隈を探してみたが花は見つからなかった。盗掘なのか、花を根元から摘まれたのか、はたまた食害なのかはわからないが、穴が開いている様子は無い。消滅した事だけは確かである。自分で見つけた花だと自分の花のように思ってしまい、積んで行く人が居るのかもしれない。柵で囲って誰かが保護しているということを示すのも保護のためのひとつの手段と言えるだろう。


    前回囲い切れなかった小さな株はもう花が終わっていた。


    新たに囲う。


    さらにもう一株。


    少し広めに囲う。

 これで囲った場所は6ヶ所、花は8株となった。おそらく花仲間の情報や湯村山でお会いした人たちからの情報を総合しても、今年咲いた株は20株には満たないだろう。今年はもう花が終わってしまうので囲い込み作戦はここまでである。来年もまたこの作戦を展開したいと考えている。

 時間は5時を過ぎてしまった。もうひとつ見ておきたい花がある。探しているのは白では無くてピンク。昨年発見した色の良かった株は今年は前年の葉ごと消滅していて、おそらくは盗掘だろうと思われる。もう道沿いで見られる株は消失してしまい、藪の中でしか見られなくなってしまった。急いで移動するが、現地に到着したのは午後6時、日没の時間にこんな藪の中を歩いているのはいかがなものかと思うが、全てGPS頼りである。


    前回訪れた時は蕾だったが今度は咲いている。これは白。


    大株だがこれもほぼ白。


    今度は探していたピンク。


    この株が生きていてくれれば、盗掘で消滅してしまった場所の再生が可能になるかも知れない。

 まずまずの色の良い花を咲かせてくれた。数ヶ所でピンク色の花を咲かせている株を確認している。再生に向けて、別の作戦始動である。

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