山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

スーパームーンのパール富士 十枚山  平成30年1月2日

2018年01月03日 | 月富士
 山梨県と静岡県の県境にある十枚山は、山梨県側ルートは標高差1,000mほどの急登が続く難峰である。かつ、林道が悪路で登山口まで行くのも大変だ。しかし、静岡県側まで回り込む時間を考えると、山梨県側から登ったほうが時間は早い。しかしこの季節はおそらく・・・車で南部町にある林道を訪れてみたがやはり冬季閉鎖されている。静岡県側に回り込むことにするが地図を忘れてきてしまい、十枚山登山口を探すのに一苦労してしまう。十郎木バス停から橋を渡って席の沢に入り、中ノ段の十枚山登山口を目指す。確か登山口は標高900mくらいで、標高差800mを登れば十枚山山頂に至ると記憶していたのだが・・・登山口の駐車場に到着するとそこは標高600mくらいしか無い。その先は農道で一般車の立ち入りは禁止されている。つまり、その駐車場から300m登ってようやく十枚山登山口ということだ。これは大誤算だ。山頂までの標高差は1,100mもあるということだ。4時間くらいかかるのではないだろうか?心が折れかけたが、時刻はまだ12時半、パール富士の時間は5時25分ごろだ。十分に間に合う時間である。もしこの日がスーパームーンという特別な月で無かったならば、おそらく止めたであろうが、月が最も地球に近付いて大きく見え、かつ15夜という特別な日なので、大変なのを承知で午後1時から山頂を目指す。


    コンクリートのジグザグな農道をひたすら歩く。距離が長く、登山口まで50分かかり、既にクタクタ。


    やっと十枚山登山口。手帳の切れ端で登山届を出す。


    ここからは植林帯の中の急登をひたすら登る。


    枯れ沢の急登。ところどころロープが張られている。暗闇の中を下山する時に最も注意が必要な場所。


    まだまだ続く急登。日没が迫る。


    やっと見えた山頂。もう日没の時間だ。


    山頂到着直後に日没を迎えてしまう。

 想定していた以上に急な登りだった。4時50分、約4時間かかってようやく山頂に到着だ。山頂には月を見に来たというテント持ちの地元の方が一人居た。山頂は木が伸びて以前より富士山の眺望が悪くなっていたので、笹の斜面を下ってみたが斜面がきつくて三脚を立てるに良い場所が無く、山頂に戻って木の間から見える富士山を狙うことにした。笹の急斜面の登り返しで太ももが攣ってしまったうえに、スリップして腹這いに転倒するというおまけまでついた。


    木が邪魔だがまともに三脚が立てられる場所はここしか見当たらない。


    月が出てきた。ここまで距離が離れると空気の層が厚くなりオレンジ色の月が昇って来た。


    しかし、写真で撮るとそのオレンジの色は表現できない。


    肉眼ではこれに近い色だった。白山岳に昇った折角の月だったのに微妙にピンボケで撮影失敗。


    広角レンズで撮影したこちらの画像のほうが実際の月の色に近い。


    オレンジ色のパール富士


    スーパームーンのパール富士


    オレンジ色の美しき輝き。月の紋様も肉眼でははっきり見えたが写真では写らず。


    写真ではなかなかうまく表現できないものである。


    月が山頂を越えた。


    駿河湾の町灯りも美しい。右にはオリオン座が昇って来ている。

 月が山頂を越えたところでこの日の撮影は終了する。肉眼で見る今回の月は金色の月とはまた違う、オレンジ色の月だったのだが、残念ながら写真で表現することは出来ず、実際の肉眼で見る月のほうが格段に美しく感動的だった。登るに苦労したが十分に登って見る価値がある月だった。

 夕方の月の出の頃だけ、強く吹いていた風が止んでくれた。おかげであまり寒くは無かったが、風が強かったらダウンジャケットとカッパだけでは耐えられなかったかも知れない。山頂直下は雪があり、そろそろ凍り付いてスリップし易い時間帯なのでチェーンアイゼンを装着して慎重に下る。急斜面なのでとにかく転倒しないように、使えるロープは全て使って下る。道の不明瞭な場所はGPSに頼るが、使ったのは分岐のように見えた1ヶ所のみ、しかも中腹で衛星信号を拾わなくなり役に立たなくなってしまった。GPSに完全に頼った下山はやはり危険でしっかりと道を確認しながら登ることは必須である。転倒も道迷いも無く、8時20分、無事に駐車場に到着した。

 今回は美しいオレンジ色の月が見られたことも良かったのだが、登りも下りも厳しく危険なのを承知のうえで山に登った自分自身のチャレンジ精神を湛えたいと思う。
コメント (8)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新年のダイヤモンド富士 富士川町林道  平成30年1月2日

2018年01月03日 | ダイヤモンド富士
 年末から割れるダイヤモンド富士ばかり狙っていたが今回は普通に真ん中から現れるダイヤモンド富士である。元日もこの場所が第一候補だったのだが、竜ヶ岳に行ったのでこの日に訪れることとなった。元日よりもこの日、1月2日のほうがより富士山の中央に来るのだが、富士川町高下よりもさらに距離が遠いこの林道からだとなかなかチカッと輝くダイヤは撮れない。空気が澄んだこの日だったが、予想通り富士山の山頂は雪煙が多い。


    本日狙うは真ん中あたりから出るダイヤモンド富士。オーソドックスなダイヤ狙いだ。なんとなく影富士。


    雪煙が多い。ボーグ300㎜レンズは絞りを改造してみたが効果はどうなのか?


    太陽が現れた。だが、思ったほどシャープな光芒は出ず。


    雪煙に邪魔されたこともあるのだが、改造絞りの効果はいまいち。もう一工夫必要なようだ。


    一方のキャノンレンズは綺麗に八方向の光芒が出る。


    好みによるかも知れないが、虹色のゴーストとフレアが出てしまう欠点(長所?)がある。


    こういうダイヤも悪く無い(と思う)。


    新年のダイヤモンド富士をゲット。

 昨日も一緒だったのぞむ先生と撮影に出かけたが、既に車が3台止まっていた。しかも有名人ばかりが集っていた。そのうちの一人のS君は南部町佐野峠で会って以来、約2年ぶりの再会となる。彼は私のことをあまり覚えていないであろうが、その時に初めて天体望遠鏡を使って撮影している人を見かけ、衝撃を覚えた。私がボーグ天体望遠レンズに手を出すようになったのもこの方に出会ったからこそであり、あの出会いが無ければ割れるダイヤの撮影もままならなかったであろう。私にとってはいわば恩人である。撮影後にファミリーレストランでの食事にお誘いして、しばし写真談義をして有意義な時間を過ごすことが出来た。彼はさらに新たな撮影の取り組みをしていた。同じレベルの撮影は困難であろうから、参考にさせていただきながら別の方向で撮影に挑んでみたいと思う。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

元日に昇る月 思親山  平成30年1月1日

2018年01月03日 | 月富士
 早朝から竜ヶ岳に登り、ダイヤモンド富士を見てきた。樹氷が美しく、ダイヤも素晴らしき輝きを放ってくれてこの日の運はこれで尽きてしまったのではないかと思った。しかし、この日の本命は朝のダイヤでは無くて夕方昇って来る月だった。下山後精進湖のほとりにある喫茶店写ば写ばでのぞむ先生と待ち合わせし、昼食をとりながら夕方の打ち合わせをする。冬型の気圧配置となったこの日だったが意外と暖かく、いつもならば凍えながら撮影しているこの時期の竜ヶ岳ダイヤもダウンジャケットを羽織っただけで全く寒く無い。気温が思ったよりも高く、雲が出てしまうのではないかと心配しながら、思親山の登り口である南部町の佐野峠に移動する。

 午後1時に佐野峠到着すると、既に3~4台車が止まっており、三脚も立てられている。パール富士の時間は午後4時40分ごろ、日没約10分前という好時間である。2時半から登り始めれば十分なのでまだだいぶ時間がある。その前に、反対側に延びる林道がだいぶ伐採が進んで展望が良くなっていたので、どのあたりまで眺望が効くのか下見に出かける。そして午後2時から林道経由で思親山に登る。普通の登山道を登ったほうが早いのだが、この林道沿いにも富士山展望地があるはずなのでその場所の下見をしておきたいために、故意に林道経由で登った。林道の中では、反則技を使って三脚を立てているカメラマンを数人見かけた。


    林道終点から見る富士山。


    あまり歩かれていないこちら側の登山道は痛んでいて歩きにくい。しかし、富士山の眺望は良好。


    思親山山頂から見る富士山。

 1時間少々かかって山頂到着し、想定外に道が荒れていたために疲れて汗をかいた。尾根道を来たのぞむ先生は先に到着して既に撮影の準備が出来ていた。上空と富士山の裾野に雲が出ているが富士山山頂にかかる雲は無く、空気が澄んでいて良いパール富士が見られそうだ。3時半ごろにるたんさんも到着し、本日のメンバーが揃った。他に2人のカメラマン、さらにもう1人加わって総勢6人で月の出を待つ。


    300㎜望遠。この視野でも良いのだが・・・


    剣ヶ峰の上に昇る月を拡大して捉えるためにエクステンション装着して600㎜で狙う。

 陽が西の山並に沈み、富士山が赤く染まり出した。ワクワクしながら月の出を待つ。想定していた通り、紅富士の時間に月が剣ヶ峰の左から現れた。


    昇って来ました。紅富士の時間に昇る月齢14の月。


    狙い通りに剣ヶ峰の上に登って来た。


    剣ヶ峰に昇る月。本日いちばん撮りたかったカットがこれ。


    紅富士に昇る月。もう1台の200㎜レンズ。


    月は静かに剣ヶ峰を越えて富士山から離れて行く。


    剣ヶ峰に昇るパール紅富士


    300㎜に変える。月は少しずつ金色に輝き出す。


    わずかな時間の違いで月の色は変わる。


    黄金の月昇る


    残照富士と黄金の月


    夕焼けの空に輝いた月

 富士山から月が離れた頃にはもう富士山に露出を合わせると月の紋様は消えてしまう。本日ここまで、ヘッドライト点灯して下山する。

 元日から朝、夕と素晴らしいダイヤとパールに巡り合えた。出来過ぎの年初めである。めでたしめでたし、今年も良い年であることを願う。


 追記:山梨日日新聞に今回の画像を投稿したところ、電子版のほうに記事を掲載してくださいました。

    「紅富士と月、くっきり競演
 
 興味があればご覧ください。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

元日の多光芒ダイヤモンド富士 竜ヶ岳  平成30年1月1日

2018年01月03日 | ダイヤモンド富士
 元日はダイヤモンド富士を見る登山客で足の踏み場も無いほどに(大げさですが)混雑するこの竜ヶ岳だけは行かないことにしていたのだが・・・目を覚ませば時刻は未明の3時半だった。5時過ぎに起きて富士川町の林道か富士本栖湖リゾートあたりで歩かずにダイヤでも撮ろうかと思っていたのだが、想定外に早く目が覚めたので竜ヶ岳のダイヤに出かけてみることにした。本栖湖キャンプ場からのルートだと激混雑のために撮影ポイントまで到着できない可能性が高く、迷わずに静岡県側の根原から端足峠経由のルートを選択する。メインルートでは無いこちら側ならばさほど混雑はしていないはずだ。

 根原の駐車場に到着すると車が3台止まっていた。もっと混雑しているかと思っていたのだがこちら側を登る人は思っていた以上に少ないようだ。5時10分に出発、ダイヤになる時間は7時40分ごろ、山頂まで2時間くらいで到着できるので余裕で間に合う時間だ。端足峠に1時間で到着、富士山の裾野が赤く染まり出している。木々を見上げてみると、前夜の曇り空で霧氷が出来ていた。全く予想していなかった絶景が広がり、もはや足が進まなくなる。


    端足峠から見る夜明けの富士山


    霧氷が形成されていた端足峠。


    霧氷の竜ヶ岳。もはや急いで歩くのはもったいない。三脚を担いで撮影しながら登る。


    樹氷とアースシャドウの南アルプス


    朝日射す白根三山


    樹氷の夜明け


    お決まりの南アルプスに映る影富士

 目的地は山頂よりも端足峠側だ。笹薮が多くて富士山の展望が悪いその場所はもちろん誰も居ない。登りながら出会った登山者も4~5人ほどしかおらず、大混雑の本栖湖キャンプ場側とは違って元日でもこちら側のルートは静かに歩くことが出来た。剣ヶ峰で割れるダイヤのポイントは残念ながら登山道沿いからだと笹に阻まれて富士山が見えず、笹薮をかき分けて富士山が見えるポイントまで入る。20mほど藪をかき分けたところでGPS登録ポイントに近い良い場所が見つかり、そこでカメラを構えることにする。


    竜ヶ岳の上はあまり風が吹いていなかったが、富士山頂は風が強いようで雪煙が多い。


    太陽が出始める。剣ヶ峰左から現れて4分割。


    一部が融合してしまっているが6~7分割。


    さらに右からも光芒が出る。


    右側が融合してしまっているが、割れるダイヤのポジションはぴったり。


    おそらく竜ヶ岳ではこれが限界と思われる。


    もう1本のレンズはもっと綺麗に光芒が出る。


    6本くらい光芒が出ている。


    雪煙にも負けず素晴らしい輝きを放ってくれた元日のダイヤモンド富士。


    今年も良いことがありそうな予感。


    新春の竜ヶ岳ダイヤモンド富士

 撮影を終えたところで竜ヶ岳山頂を覗きに行ってみる。既に下山していった人の姿も見かけたが、それでもなお、まさに芋洗い状態の竜ヶ岳山頂だった。とてもではないがこんな場所には近付けない。この混雑のどこかに居るはずののぞむ先生に連絡をとり、写ば写ばで待ち合わせすることにして、樹氷を楽しみながら静かな端足峠側にゆっくりと下山である。


    大混雑の竜ヶ岳山頂。これだけ混雑していると三脚を出してまともに写真を撮るのは困難だろう。


    反対側には南アルプスがずらり。


    樹氷と白根三山


    樹氷と荒川・赤石岳


    樹氷と朝日


    風に舞う樹氷


    樹氷輝く

 新年から素晴らしい景色に出会うことが出来た。今年も良い年でありますように。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする