山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

ボーグ天体望遠レンズの工夫 ~光芒を出すためのフィルターの細工について~

2018年01月11日 | 番外編
 剣ヶ峰や白山岳で割れるダイヤモンド富士、さらにはティアラ撮影のために私が愛用しているのがボーグ天体望遠レンズである。Borg36ED という200㎜望遠のレンズは主にEosM2に装着して使っており、八角形の光芒はこちらのレンズのほうが綺麗に出る。そしてもう1本が Borg67FL(300mm相当) に Canon Extender を装着して600㎜望遠で使用している。こちらのレンズは光芒が出にくいうえにExtender との相性が悪いようで若干ピントが甘くなってしまう。来たるべき月食の追尾撮影のためには高解像度の望遠レンズが必要なこともあって、さらに高解像度の割れるダイヤモンド富士撮影目的で新たに Borg71FL(400mm相当)にteleconverter がセットになっている570㎜相当のレンズを購入するに至った。手の内を明かすようではあるが、これを機会にレンズの絞り改造について書きたいと思う。

 ボーグ天体望遠レンズはカメラメーカーのレンズと違って基本的に組み立て式である。レンズの種類によって鏡筒部分(レンズからカメラまでつなぐコネクターの部分)の長さを変えてレンズを組み立て、その中に絞りやヘリコイドと呼ばれるピント合わせの部品を装着する。さらに鏡筒の後方にレンズ収差を補正するためのフラットナーという補助レンズや焦点距離を延ばしてより望遠にするためのテレコンバーターを必要に応じて装着する。


    Borg71FLに1.4倍Teleconverterを装着して焦点距離570㎜に調整した新レンズ。


    組み立て式のBorgレンズ。左下がレンズ本体、上が鏡筒部分、下がヘリコイド(ピント合わせ部品)と改造絞り。

 絞りは別売で売っているのだが、羽根の枚数が多い完全円形絞りで割れるダイヤモンド富士の光芒を出すにはあまり向いていない。光芒が出るのは絞りの羽根の枚数に依存しており、古い6枚絞りのレンズだと6方向の光芒が出て8枚絞りだと8方向の光芒が出る。では9枚絞りだとどうなるのか?実は奇数絞りの場合はその倍の18方向に光芒が出る。三角形の絞りだと6方向の光芒が出るのである。私が愛用しているのが8方向に光芒が出る8角形絞りであるが、これは黒い画用紙を切り抜いて鏡筒の中にはめ込んで使用する、手製の改造絞りである。


    愛用している手製8角形絞りを鏡筒リングにはめ込んだもの。


    8角形絞りを使用して夜景を撮影したもの。


    8方向の綺麗な光芒が出る。

 それでは、この絞りを別の形に変えてみたらどうなるのだろうか?もっと綺麗な光芒が出せるのではないかと細工を試みてみた。


    試作してみた手製絞り。左下が武田菱型、左上が四方菱型、右が八角円型の絞り。


    まずは武田菱型。8方向では無くて変形の4方向光芒になってしまった。


    では菱型の方向を4方向に変えたらどうなるのか?確かに8角形の光芒にはなるがシャープさが無い。


    筋の多い8方向光芒、さらに最大の欠点はピントがしっかりと合わないこと。ファインダーを覗いてみると光が4つに分かれて見えてしまう。


    八角円型絞りだと、8方向の光芒が出るがシャープでは無い。


    明るい光だと拡散してしまっている。

 いろいろと試してみたが、今回作成したフィルターの中ではオーソドックスに8角形絞りを入れたほうがきっちりと、キリリと光芒が出るようだ。当面はこの8角形絞りを使うことになるのであろうが、さらにはレンズの前方に装着する変形絞りも実験中である。雪煙に阻まれたダイヤモンドでも工夫すれば光芒が出せるのではないか?と、いろいろと試案・工夫している最中である。
コメント (2)
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