山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

大丈夫か?櫛形山固有の草  平成30年6月4日

2018年06月06日 | 花・花・花
 一昨年の秋に櫛形山に咲く固有の草を保護柵で囲ってもらったのは良いが、囲ったからといって必ずしも良いとは限らないようである。保護するはずの肝心の草では無くてバイケイソウやシダ類などのその他の草が増殖して日当たりが悪くなり、栄養分もだいぶ取られてしまっているようで昨年の株はひとまわり小さくなってしまっていた。今年はどうなっているのか、かなり心配になっていたので見に行ってみた。


    ミツバツチグリがたくさん咲いていた。シロバナノヘビイチゴも満開。


    今回見たかった花のひとつ、ホソバノアマナ。まだ少し早いようで数が少ない。


    ヒメムヨウランがたくさん咲いていた。


    スポットライトを浴びるヒメムヨウラン


    セリバオウレン。2回3出複葉だと思うが3回3出か?


    葉はたくさん見かけるが種が見つからない。食害を受けているかも知れない。


    ホソバテンナンショウ


    ユモトマムシグサ


    こんなところにヒョウタンボク(たぶんスルガヒョウタンボク)。花芽は無かった。

 さて、肝心な草はどうなっているだろうか?保護柵の中を覗き込んでみると・・・昨年よりもさらにバイケイソウやシダが増殖している。そして草は・・・株数が減って葉の大きさもさらに小さくなっている。


    保護柵の中。バイケイソウとシダがはびこっている。保護している肝心の草は埋もれてしまっている。


    株数が減って大きさも小さい。2年前はシダに覆いかぶさるくらいの大きな葉を出していたが、今では完全に負けてしまっている。


    別角度から見る。小さな株が2つ確認できるがあまり元気が無い。


    花はもうそろそろ終わりで一部は結実している。


    こちらは結実。

 確か昨年は12株くらい葉が出ていたはずだが、今年はカウントすると8株しか見当たらない。周辺の草に生育を邪魔されているので、メインテナンスのための草刈りが必要だろうと思う。柵で囲われる前は踏みつけられないように周辺に木の枝で囲いがしてあったが、それがあったために余計な草がはびこって来なかった可能性もある。おそらくは、手入れをせずにこのままの状態で放置しておくと数年で消滅する可能性が高い。しかし、保護柵に囲われているので手が出せない。山岳連盟(あるいは環境省)を通して対処をお願いしたいと思っている。
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危機的な状況に陥っている瑞牆山周辺のカモメラン  平成30年6月3日

2018年06月06日 | 花・花・花
 瑞牆山を訪れた最大の目的がこのカモメランの調査と言って良いであろう。

 年々数を減らしているという山岳レインジャー活動の報告を目にしていたが、まだ大丈夫だろうと思っていた。ところが昨年の報告で葉はあるものの花がひとつも咲いていないという報告を受けた。さらに今年の調査の第1報では葉も見当たらないという。もし本当ならばそれはまずい。自分の目で確かめてみないといけない。


    激減したクリンソウ。これを見ただけでもかなりの変化が起こっていることは想像がつく。


    この沢はかつてサンリンソウがこれでもかというくらいに咲いていたはずだが、少ししか見当たらない。


    わずかに咲き残っていたサンリンソウ。ヒメイチゲは見当たらない。


    花は全く見当たらないが、かろうじて葉は残っていたカモメラン。


    直接の食害の跡も見られる。しかし、いちばんの問題は下草が無くなって山肌が乾燥化したことだろう。


    もう1ヶ所別の場所を訪れてみる。このあたりも下草がほとんど無くなっている。


    ここにも葉はあるが花はひとつも見つからない。


    散在的に葉は残っているが・・・


    どこを探しても花は見つからなかった。

 がっかりして富士見平小屋に到着すると、休憩しているグループの方から声をかけられた。見れば山岳レインジャーのメンバー8人ほどで本日このカモメランの調査に訪れているそうだ。私は咲いている花は見つけられなかったが、毎年訪れているそちらのメンバーは4~5株開花している花を見つけたそうで、完全に咲かなくなってしまったわけでは無いようだ。しかし、かつては50株以上は咲いていたカモメランがもはや絶滅寸前の状態まで追い込まれてしまっている。直接の食害というわけでは無く、植生の変化によるラン菌の活性が低下してしまったことと鹿(および人)による踏み荒らしが原因であろうと分析している。直接の食害は囲って保護してやれば早期に回復が望めるが、植生の変化によるものはそう簡単に戻せるものでは無い。しかし、今出来ることは残っている場所を囲ってあげることくらいだろう。何もしなければおそらくは数年で絶えてしまうだろう。御坂山塊のカモメランもあと少し囲うのが遅かったらこちらと同じ状況に追い込まれていたことは間違いないだろう。早急な行動が必要とされている。
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アズマシャクナゲ咲く瑞牆山へ  平成30年6月3日

2018年06月06日 | 山梨百名山
 ブログの記録を振り返って見ると、この山を訪れるのは平成25年の5月連休以来5年ぶりとなる。今回は植物の調査もあるのだが、以前から富士見平小屋に写真を持って行くと言いながらずっと届けていなかった新緑の瑞牆山の写真の荷揚げ、7月下旬の月食の際にお世話になる予定なのでその挨拶、さらには山頂付近の展望地のGPS座標の取得など多くの目的がある。ちょうどアズマシャクナゲの季節で山頂は混雑が予想されるので遅めの出発で登山者が居なくなった頃を狙って山頂付近に登るプランを立てる。


    登山道入り口からさほど遠く無い場所にあったクリンソウの群落は激減してしまっていた。盗掘もあったらしいが、それよりも食害が深刻なのだろう。


    林道脇の瑞牆山展望台から見上げる瑞牆山。この場所からの北天を廻る星空を狙っていたが、左右と上部の視野が若干悪い。


    沢と森の様子は5年前とはすっかり変わってしまっていた。沢の周辺から斜面にかけては足の踏み場が無いほどにサンリンソウやヒメイチゲなどが茂っていたはずだが、ほぼ消滅。


    富士見平小屋に到着する。

 12時ごろに富士見平小屋に立ち寄ると小屋主の相川さんが大歓迎してくれて、コーヒーやケーキをご馳走になってしまい、さらにはいろいろな情報をいただき、1時間以上も小屋で過ごさせていただいた。1時10分過ぎに小屋を出発し、瑞牆山山頂を目指すことになる。普通に歩けば午後3時には山頂に到着できるであろうが、あちらこちらをうろつきながら三脚とカメラを出して写真を撮りながら歩くので全くピッチが上がらない。


    天鳥川下降点手前の展望台から見る瑞牆山。ほぼ真北に瑞牆山が位置する好ポジションだが左右の視野が若干悪い。


    天鳥川沿いに咲いていたミツバツツジ


    キバナノコマノツメ群生


    キバナノコマノツメ


    コミヤマカタバミ


    山腹にアズマシャクナゲが群生しているが、これでも今年は花数が少ないほうである。


    森の中に咲くアズマシャクナゲ。


    高度を上げると花の色も濃く美しくなってくる。


    アズマシャクナゲ、その向こうには大ヤスリ岩が見えてきた。


    奥秩父らしい上品なピンク色のコイワカガミ


    コイワカガミ


    見たかった花は山頂近くのこの岩に付いている。


    クモイコザクラ。後ろはハコネコメツツジ。いずれも山梨県では絶滅危惧種。

 今回の目的地は山頂では無くてその西側にある岩のところにある展望デッキである。あまり知られていないが平坦な場所があって休憩に適しており眺望も抜群である。7月の月食の月をこの辺りから観察するとちょうど甲斐駒ケ岳の真上に沈んで行くはずで、今回はこの場所の正確なGPS座標を記録するのが目的のひとつである。


    展望デッキ付近のアズマシャクナゲ


    展望デッキのアズマシャクナゲと瑞牆山山頂。


    瑞牆山山頂と金峰山


    大ヤスリ岩と茅ヶ岳


    ついでに望遠レンズで大ヤスリ岩の上を見てみると、ハコネコメツツジの群生になっていた。さらに岩に付いた黒いものはイワタケ。


    400㎜望遠で捉えた甲斐駒ケ岳。もう少しズームをかけても良さそうなので、570㎜望遠を担ぎ上げることになるだろう。

 登る途中で出会った下山中の小学生に、こんな時間から登ったら夜になっちゃうだろうと説教を受けてしまった。4時に展望デッキに到着し、いろいろと写真を撮っているとあっという間に時間が過ぎて4時半になってしまった。山頂は目の前であるが立ち寄らずに下山することにした。

 6時10分に富士見平小屋に到着し、小屋に挨拶して下山する。薄暗くなってきたがちょっと別の場所の植物の様子を見ながら下山し、7時に駐車場に到着した。しばらくぶりに登った感触としては、思ったよりも大変なこと、しかし夜間に登るにはあまり問題無さそうに思う。あとは月食の日に晴れることを願うばかりである。


    富士見平小屋下の展望台は木が伐採されて眺望が良くなっていた。廻る北天の空を狙うならばこの場所がいちばん良さそうである。
コメント (4)
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