今年のテーマのひとつがコイワザクラとクモイコザクラの違いを見てくることだった。おそらくこの2種類は同じもので、標高や環境で形態の違いがあるだけなのではないかと考えている。しかし、今年はコロナウィルス感染拡大防止のため緊急事態宣言が発動され、いちばん良い時期に入山できず三ツ峠のクモイコザクラですら登山口まで行ったが入山するのは止めた。6月1日からやっと登れるようになったが、もはや咲いているところは限られてしまう。南アルプスは黒戸尾根のものを見てきたし八ヶ岳も見てきた。残るのが奥秩父である。山岳レインジャー調査の報告書に添付されている鶏冠山のクモイコザクラを拝見させてもらったところ、葉が小さめで毛が生えており先端部分は少し下向きに曲がっていて葉脈の窪みが目立つ。葉の形はコイワザクラに近いよう見受けられる。しかし、鶏冠山に単独で入山するほどの勇気と体力は無く、こちらにもあるはずの乾徳山を選んだ。とはいっても、徳和の駐車場から登ると標高差1,000mを越えるややハードなコースとなり、決して楽な登山では無い。しかし、大平牧場から尾根を登るよりは沢沿いを登ったほうが花やシダに出会える可能性は高い。山頂まで5~6時間を想定して7時半に徳和駐車場を出発する。
さほど遠く無いイメージがあった登山口だが、林道歩き30分近くかかった。
道は整備されていて歩き易い。途中には開墾地らしき石積がいくつもある。
フタリシズカだらけの斜面
新緑のモレーン帯
錦唱水の水場。冷たくておいしい水が流れ出している。
途中で見た岩に生えたウツギ
ヤマキケマン。あまり見かける花では無い。
薄黄色の花
特徴的なのがこの剣が曲がりくねったような鞘。
国師ヶ原にある湿地帯。珍しい植物がありそうに見えるのだが目ぼしいものは見つからなかった。
あるのはヒメシダばかり。湿地なのにオシダやイノデが無いのは不思議である。
国師ヶ原の高原ヒュッテ(避難小屋)
3時間少々かかって国師ヶ原の高原ヒュッテに到着した。このルートを登るのは3回目だと思うが、もっと楽に登ったような記憶しか無い。思っていたよりも長いコースだった。早めの食事をとって大休憩してその上にあるカヤト野原を登る。
ベニバナツクバネウツギ
同上
カヤト野原に咲いていたスミレ。これと一緒にサクラスミレが咲いていた。
カヤト野原を登り切るとこの大岩、雷岩がある。
扇平のキンポウゲ。思っていたよりもたくさん咲いていた。鹿の群れが近くに居たので追っ払った。
草むらの中に咲いていたサクラスミレ。もう終わりかけである。
カヤト野原を抜けて林の中に入ると、いよいよ乾徳山の核心部である。
樹林の中の登り。テープが付いているので普通に登れる。
鎖場その1
ミヤマハンショウヅル
タケシマラン
イワインチンの葉
ハコネコメツツジ
山頂直下から見下ろす新緑の谷。岩の際に生えているのがハコネコメツツジの群落。
鎖場その2。下降してくる人が居るので巻き道のハシゴを通って山頂に登り付く。
乾徳山山頂。たぶん4度目の山頂。
あちらこちらに立ち寄ったり岩の間を覗き込んでシダを探したりと、いつもの如く探索しながらの登山だったので、山頂到着は1時45分になってしまった。6時間半くらいかかったことになる。期待していた岩の隙間に生えているかもしれないシダは見当たらなかった。奥秩父山塊なのでヒメスギランやヒモカズラ、ひょっとしたらイナデンダのようなシダがあるのではないかと期待していたが残念ながら見つからず。しかし一番の目的のクモイコザクラは数は少ないながらもなんとか見ることが出来た。
たくさん葉が出ているが花はあまり咲いていない。小ぶりの葉でまだ若いようだ。
咲いていたクモイコザクラは少し痛み始めている。
確認したかったのがこの葉である。毛が生えていて辺縁が裏側に少し垂れ下がっており葉脈の窪みが目立つ。
花の咲いた別株もほぼ同様である。
思っていた通り、ここに咲くクモイコザクラは葉の大きさが小さめで毛が多く、葉の辺縁の巻き込みや葉脈の窪みが目立つことなど、十二ヶ岳で見たコイワザクラに良く似ている。このあたりは標高が約2,000mである。標高によって葉の形態が変わるのではないかとも思うのだが、しかし八ヶ岳地獄谷に咲くクモイコザクラはここよりももっと標高が低いのに葉は辺縁の巻き込みが少なくて毛も少ない。甲斐駒ケ岳黒戸尾根のものは少し毛が多くて葉先は少し巻き込みがあるものが多い。では瑞牆山はどうなのか?三ツ峠は?まだ見ていないところが多過ぎて結論は出せない、というよりはクモイコザクラとコイワザクラを線引きするような明瞭な区別は無いのではないかと思っている。葉の切れ込みの深さで分けているようであるが、同じ場所のものでも個体によってバラつきが多くこれで見分けるのは難しいように思う。今年はコロナウィルスの影響で予定していた場所はほとんど見歩くことが出来なかったので、来年以降、引き続き探索してみたいと思う。
下山は山頂の先にある水ノタル側から下りたが、こちらはほとんど登山道が無いような悪路で苦労した。さらに道満尾根もルートが長く、駐車場到着は午後6時になってしまった。少し時間がかかりすぎたが、クモイコザクラは見てきたのでそれなりの収穫はあった。(乾徳山のシダ編を追記しますが、ほとんど何だか分からないものばかりでした。)
さほど遠く無いイメージがあった登山口だが、林道歩き30分近くかかった。
道は整備されていて歩き易い。途中には開墾地らしき石積がいくつもある。
フタリシズカだらけの斜面
新緑のモレーン帯
錦唱水の水場。冷たくておいしい水が流れ出している。
途中で見た岩に生えたウツギ
ヤマキケマン。あまり見かける花では無い。
薄黄色の花
特徴的なのがこの剣が曲がりくねったような鞘。
国師ヶ原にある湿地帯。珍しい植物がありそうに見えるのだが目ぼしいものは見つからなかった。
あるのはヒメシダばかり。湿地なのにオシダやイノデが無いのは不思議である。
国師ヶ原の高原ヒュッテ(避難小屋)
3時間少々かかって国師ヶ原の高原ヒュッテに到着した。このルートを登るのは3回目だと思うが、もっと楽に登ったような記憶しか無い。思っていたよりも長いコースだった。早めの食事をとって大休憩してその上にあるカヤト野原を登る。
ベニバナツクバネウツギ
同上
カヤト野原に咲いていたスミレ。これと一緒にサクラスミレが咲いていた。
カヤト野原を登り切るとこの大岩、雷岩がある。
扇平のキンポウゲ。思っていたよりもたくさん咲いていた。鹿の群れが近くに居たので追っ払った。
草むらの中に咲いていたサクラスミレ。もう終わりかけである。
カヤト野原を抜けて林の中に入ると、いよいよ乾徳山の核心部である。
樹林の中の登り。テープが付いているので普通に登れる。
鎖場その1
ミヤマハンショウヅル
タケシマラン
イワインチンの葉
ハコネコメツツジ
山頂直下から見下ろす新緑の谷。岩の際に生えているのがハコネコメツツジの群落。
鎖場その2。下降してくる人が居るので巻き道のハシゴを通って山頂に登り付く。
乾徳山山頂。たぶん4度目の山頂。
あちらこちらに立ち寄ったり岩の間を覗き込んでシダを探したりと、いつもの如く探索しながらの登山だったので、山頂到着は1時45分になってしまった。6時間半くらいかかったことになる。期待していた岩の隙間に生えているかもしれないシダは見当たらなかった。奥秩父山塊なのでヒメスギランやヒモカズラ、ひょっとしたらイナデンダのようなシダがあるのではないかと期待していたが残念ながら見つからず。しかし一番の目的のクモイコザクラは数は少ないながらもなんとか見ることが出来た。
たくさん葉が出ているが花はあまり咲いていない。小ぶりの葉でまだ若いようだ。
咲いていたクモイコザクラは少し痛み始めている。
確認したかったのがこの葉である。毛が生えていて辺縁が裏側に少し垂れ下がっており葉脈の窪みが目立つ。
花の咲いた別株もほぼ同様である。
思っていた通り、ここに咲くクモイコザクラは葉の大きさが小さめで毛が多く、葉の辺縁の巻き込みや葉脈の窪みが目立つことなど、十二ヶ岳で見たコイワザクラに良く似ている。このあたりは標高が約2,000mである。標高によって葉の形態が変わるのではないかとも思うのだが、しかし八ヶ岳地獄谷に咲くクモイコザクラはここよりももっと標高が低いのに葉は辺縁の巻き込みが少なくて毛も少ない。甲斐駒ケ岳黒戸尾根のものは少し毛が多くて葉先は少し巻き込みがあるものが多い。では瑞牆山はどうなのか?三ツ峠は?まだ見ていないところが多過ぎて結論は出せない、というよりはクモイコザクラとコイワザクラを線引きするような明瞭な区別は無いのではないかと思っている。葉の切れ込みの深さで分けているようであるが、同じ場所のものでも個体によってバラつきが多くこれで見分けるのは難しいように思う。今年はコロナウィルスの影響で予定していた場所はほとんど見歩くことが出来なかったので、来年以降、引き続き探索してみたいと思う。
下山は山頂の先にある水ノタル側から下りたが、こちらはほとんど登山道が無いような悪路で苦労した。さらに道満尾根もルートが長く、駐車場到着は午後6時になってしまった。少し時間がかかりすぎたが、クモイコザクラは見てきたのでそれなりの収穫はあった。(乾徳山のシダ編を追記しますが、ほとんど何だか分からないものばかりでした。)