山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

茅ヶ岳に昇る月と甲府盆地の夜景、金ヶ岳  平成22年1月10日

2010年01月25日 | 八ヶ岳・秩父山系
 平成22年1月10日

 そろそろ山上で一夜を過ごし星空を眺めたいのだが、まだ手のしびれ、体力、それ以上に気力が充実せず、重い荷物を背負ってロングコースを歩くには不安がある。1月10日の夜は、未明に細い月がさそり座の頭の位置にある良い情景が見られる日だった。富士山近くにこの月を持って来るに良い位置をカシミールとアストロガイドで探すと、金ヶ岳北峰が良さそうだ。茅ヶ岳の左から月が昇り、夜明けに富士山の近くまで昇って来る。茅ヶ岳越しの月と甲府盆地の夜景が望めそうだ。

    金ヶ岳登山口


    明野猟友会でつけてくれた道標.頂上まで○kmの表示はありがたい.

 いつも登っている深田公園からのルートではなくて、今回はまだ歩いたことの無い明野ふれあいの里から金ヶ岳北峰に直登するルートを歩いてみることにした。ゆっくり歩いても3時間とかからない行程なので、甲府を10時過ぎに出発する。明野に入ったあたりでまたしても忘れ物に気付く。テントを積んでいない。普通なら取りに帰るところだが、ツエルトがザックに入れてあるので、本日はこれで寝ることにする。ついでに新しく購入した夏用のシュラフといつものシュラフを重ねて寝る新しいシステムの試運転にはちょうど良い機会だ。
ふれあいの里を12時に歩き始め、ほどなく大明神林道につきあたった。すぐ左手に登り口の看板があり、そこから尾根伝いに道が続いている。ルートには明野猟友会の看板がつけられていて、山頂まで残り何キロメートルの表示がされており、歩く目安になる。山頂の下300mのところに西側が崩落している場所があり、そこにはロープが張られている。ちょうどそのあたりは茅ヶ岳と富士山を並べて見ることができる絶景地で、裏側には八ヶ岳も見渡せる。未明の月を見るにはいちばん良さそうな場所だったので、明日はここで月の出を待つことにしよう。

    北峰の下300m,崩落地点から見る白い茅ヶ岳と富士山


    金ヶ岳北峰(右)と南峰(左)

 2時半、北峰に到着。すれ違った人は2人だけ。新緑や紅葉の季節にはごった返すほどの人が歩いているこの山域もこの季節に歩く人は少ない。ましてや、山頂でテントを張って寝ようなどという物好きは私だけだ。林の中には10cmほどの雪があったので水は十分に取れたのだが、念のため2リットルの水を持ってきており、それで十分に足りた。南峰も見に行ったが、コルから南峰への登りは雪がついていて、やや歩きづらかった。南峰から見る茅ヶ岳越しの富士山は秀逸な眺めで、特に夜景は抜群だが、しだいに直下の木が高くなってきて見づらくなりつつある。

    金ヶ岳北峰から見る南峰(左端)と茅ヶ岳越の富士山


    こちらは金ヶ岳南峰から見る茅ヶ岳越の富士山.甲府盆地の夜景を見るにはここからの景色がいちばん良い(と思う).

 北峰に戻ってツエルトを張り、早めの夕食をとる。そして南アルプスに夕陽が沈み、さらに木星が傾いてゆくところを見てから、早々に寝て明日の未明に備える。2重に重ねたシュラフはきわめて快適で、気温は-5℃~-7℃くらいだったが、シュラフカバーをかけなくても快適に眠ることができた。

    南アルプスに沈む夕陽


    南アルプスに沈んで行く木星


    北峰から見る甲府盆地の夜景.霞が多くて富士山は夜景にかき消されてしまう.さて,明日の未明はどうなるのか?

 未明2時半、目を覚まして外に出る。空はやや霞がかかり、満天の星空とはならず、甲府盆地は水平に広がる雲と霞の下に沈んでいる。南アルプスに沈んで行くオリオン座と冬の大三角形は、写真に写るには写るが、霞んだ星空になってしまう。

    南アルプスに傾く冬の大三角形.低空に雲海広がる好条件だったが,空も霞んでしまった.


    霞の下の甲府盆地と富士山  月が昇る前の風景

 場所を移動して登りながら探しておいた崩落地点に行く。まだ月は昇っていなかったが、富士山と茅ヶ岳の空には目立った星は何も昇っていない。30分ほど待つと、茅ヶ岳の左手から月が昇り始めた。やはり霞んだ月だが、星とは違って明るい。さそり座がついているはずなのだが、一等星のアンタレスがなんとか確認できるくらいで、そのほかの星はあまり見えない。霞の下の甲府盆地と昇る月、なかなかの情景だが、欲を言うなら上空がもう少し澄んで欲しかった。

    茅ヶ岳に昇る月と霞の下の甲府盆地


    雲に浮かぶ八ヶ岳と小淵沢の夜景


    雲に巻かれた月と茅ヶ岳  この後,茅ヶ岳と富士山は二度と姿を見せなかった.

 空が明るくなる前に雲が湧き始め、茅ヶ岳と富士はすっかり隠れてしまった。器材を置きっぱなしにして山頂に戻り、ツエルトを撤収して下山の準備をする。夜が明けても富士山、茅ヶ岳は姿を現さなかったが、山に巻きついた雲が小雪となり、思いもよらぬ副産物が見られた。樹氷だ。みるみるうちに木々の枝が白く飾られてゆく。樹氷とはこうして造られるものなのかと、その現場を自分の目で見ることができた。天気が回復するなら山上で待って、この景色を前景にして富士山と茅ヶ岳を撮りたかったが、携帯電話の天気予報で見ると、本日の天候は回復しそうも無い。止む無し、下山。8時半に明野ふれあいの里に到着した。

    金ヶ岳の樹氷

 2年前の12月に続いて2度目の茅ヶ岳山塊テント泊だが、何度見てもここからの甲府盆地の夜景はすばらしい。3月以降、さそり座が西に傾いた頃に天の川が大きく空に横たわる姿が見られるはずだ。また一夜を過ごしてみたい山である。

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