この季節の旬の花、クモイコザクラをどこかの山に見に行こうと算段していた。候補はいくつかあり、簡単に行くならば八ヶ岳の地獄谷か、尾白川の上流、ちょっと歩く気ならば鞍掛山が有名で、数は少ないながら乾徳山にもある(今は絶えているかも知れない)。そんな時、1週間ほど前に黒戸尾根にもクモイコザクラが咲いているという情報を花仲間からいただいた。そして6月2日の午後、決定的な方から電話をいただいた。その方とは、今年から甲斐駒ケ岳7丈小屋の小屋番をしている世界的に有名なクライマーの花谷泰広君だ。途中の岩にたくさん咲いて見ごろを迎えているからいかがですかという連絡だった。その場所までは単純に標高差で1,500mくらいあるロングルートだ。しかしその場所に咲くことは今まで知らなかったし、初めて見る場所なので是非とも見てみたくなった。朝4時半に起床して竹宇駒ケ岳神社を6時ごろに出発する。
いざ、出陣!本日は花探しと撮影時間を含めて12時間の予定。
途中の林から見上げる残雪の甲斐駒ケ岳。う~ん、遠い。(山頂まで行くわけではないが・・・)
笹の平付近の笹薮の道
古い信仰の道だけあって、随所に石仏や石碑が立っている。
高度を上げるとやがて苔生したツガの森に変わる。
この尾根で有名な難所のひとつ、刃渡り。鎖があるので普通に通過できるのだが、滑落事故は強風で体ごと吹き飛ばされて起こるらしい。
刃渡りのミツバツツジと鳳凰山
刃渡りの岩の斜面にはコイワカガミがたくさん咲いていた。
岩場に咲くコイワカガミ。怖いのでさっと撮って撤退。
刃渡りを過ぎると今度は階段と急なハシゴの急登になる。
4合目の刃利天狗
刃利天狗に到着したのが11時10分、ここまではコースタイムより若干遅い程度の私としてはきわめて快調なペースだった。さて、この山の植物が面白いのはこの刃利天狗界隈から黒戸山にかけての苔生した樹林帯の中である。小さな植物が多いだけに、苔の斜面を目を凝らしながらゆっくりと進む。
タケシマラン。普通にある。
イチヨウランも葉は見かけるが花が咲いていたのはこの一株しか見つからなかった。
ニョキニョキと花芽を出しているイチヨウラン。
バイカオウレン。もうほとんど終わっていた。
圧巻なのがマイヅルソウ、ではなくてそれに混じって出ている小ぶりな葉。これは全てコイチヨウランの葉。
コイチヨウランの前年の花帆
葉の紋様が美しい。標高2,000mを越えるこの高度だと、ヒメミヤマウズラになるのだろう。
山梨県では初めて見る花。
葉が2回3出複葉(と言うらしい)なので、セリバオウレンと思われる。下に出ているシダのような葉はオサバグサ。
12時半、情報をいただいた現地に到着する。岩を覗き込むと点々と咲いている。花数をカウントしてみると40輪くらいある。さらに裏側の岩を覗いてみると、そちらにも20輪くらい咲いている。花を付けていない株も含めると100株は軽くあるだろう。個体数を維持して行くには十分な数である。
5合目小屋跡
その脇にはミヤマハタザオがたくさん。
足元にはヒメイチゲ。
見上げる甲斐駒ケ岳。右に見える尖ったピークを越えれば七丈小屋はすぐそこ。真ん中あたりまで登って根性を無くして撤退した。
そして、居ました、クモイコザクラ。この株はもう花が散り始めている。
こちらは少し痛んでいるがちょうど見頃。
可愛らしい花。
上から見下ろすとこんな急な岩壁に張り付くように咲いている。
まだ蕾の株もちらほら。
石碑とクモイコザクラ。黒戸尾根らしい風景。
サルオガゼと蕾のコイワカガミとクモイコザクラ
見上げる岩場に咲くクモイコザクラ
もう少し撮りたかったのだが、風が吹き始めて花が激しく首を振り、全く撮れなくなってしまう。さらに続々と登山者がやって来て、登りのハシゴを撮影のために占拠するのは難しい状況となってしまう。昼食を含めて1時間半ほどこの可愛らしい花を楽しませてもらい、午後2時から下山を始める。急ぐと明日以降の行動に支障が出るので、ピッチをあげずにゆっくりと下りる。ちょうど刃渡りを渡っているところで情報を提供していただいた花谷君がトレランスタイルで登って来た。この日は七丈小屋にヘリの荷揚げをやったそうで、下で積む荷物の確認が花谷君の担当で、4回飛ばしたヘリの荷揚げを見届けて午後から登って来たそうだ。慣れれば黒戸尾根も楽だと言っていたが、私にはそんなことは絶対にあり得ない。ヘロヘロになりつつ、午後6時半に竹宇駒ケ岳神社に到着した。予定通りの12時間だった。
昨年の8月にもこの黒戸尾根を下っているが、上部の高山植物も素晴らしいがそれ以上に黒戸山界隈の森が素晴らしかった。なんといっても圧巻のコイチヨウランの数である。そして今回は見つけることが出来なかったが、ミヤマフタバランという珍しい植物も確認している。夏か秋に再訪できればと思う。次は七丈小屋にお世話になることにしよう。
いざ、出陣!本日は花探しと撮影時間を含めて12時間の予定。
途中の林から見上げる残雪の甲斐駒ケ岳。う~ん、遠い。(山頂まで行くわけではないが・・・)
笹の平付近の笹薮の道
古い信仰の道だけあって、随所に石仏や石碑が立っている。
高度を上げるとやがて苔生したツガの森に変わる。
この尾根で有名な難所のひとつ、刃渡り。鎖があるので普通に通過できるのだが、滑落事故は強風で体ごと吹き飛ばされて起こるらしい。
刃渡りのミツバツツジと鳳凰山
刃渡りの岩の斜面にはコイワカガミがたくさん咲いていた。
岩場に咲くコイワカガミ。怖いのでさっと撮って撤退。
刃渡りを過ぎると今度は階段と急なハシゴの急登になる。
4合目の刃利天狗
刃利天狗に到着したのが11時10分、ここまではコースタイムより若干遅い程度の私としてはきわめて快調なペースだった。さて、この山の植物が面白いのはこの刃利天狗界隈から黒戸山にかけての苔生した樹林帯の中である。小さな植物が多いだけに、苔の斜面を目を凝らしながらゆっくりと進む。
タケシマラン。普通にある。
イチヨウランも葉は見かけるが花が咲いていたのはこの一株しか見つからなかった。
ニョキニョキと花芽を出しているイチヨウラン。
バイカオウレン。もうほとんど終わっていた。
圧巻なのがマイヅルソウ、ではなくてそれに混じって出ている小ぶりな葉。これは全てコイチヨウランの葉。
コイチヨウランの前年の花帆
葉の紋様が美しい。標高2,000mを越えるこの高度だと、ヒメミヤマウズラになるのだろう。
山梨県では初めて見る花。
葉が2回3出複葉(と言うらしい)なので、セリバオウレンと思われる。下に出ているシダのような葉はオサバグサ。
12時半、情報をいただいた現地に到着する。岩を覗き込むと点々と咲いている。花数をカウントしてみると40輪くらいある。さらに裏側の岩を覗いてみると、そちらにも20輪くらい咲いている。花を付けていない株も含めると100株は軽くあるだろう。個体数を維持して行くには十分な数である。
5合目小屋跡
その脇にはミヤマハタザオがたくさん。
足元にはヒメイチゲ。
見上げる甲斐駒ケ岳。右に見える尖ったピークを越えれば七丈小屋はすぐそこ。真ん中あたりまで登って根性を無くして撤退した。
そして、居ました、クモイコザクラ。この株はもう花が散り始めている。
こちらは少し痛んでいるがちょうど見頃。
可愛らしい花。
上から見下ろすとこんな急な岩壁に張り付くように咲いている。
まだ蕾の株もちらほら。
石碑とクモイコザクラ。黒戸尾根らしい風景。
サルオガゼと蕾のコイワカガミとクモイコザクラ
見上げる岩場に咲くクモイコザクラ
もう少し撮りたかったのだが、風が吹き始めて花が激しく首を振り、全く撮れなくなってしまう。さらに続々と登山者がやって来て、登りのハシゴを撮影のために占拠するのは難しい状況となってしまう。昼食を含めて1時間半ほどこの可愛らしい花を楽しませてもらい、午後2時から下山を始める。急ぐと明日以降の行動に支障が出るので、ピッチをあげずにゆっくりと下りる。ちょうど刃渡りを渡っているところで情報を提供していただいた花谷君がトレランスタイルで登って来た。この日は七丈小屋にヘリの荷揚げをやったそうで、下で積む荷物の確認が花谷君の担当で、4回飛ばしたヘリの荷揚げを見届けて午後から登って来たそうだ。慣れれば黒戸尾根も楽だと言っていたが、私にはそんなことは絶対にあり得ない。ヘロヘロになりつつ、午後6時半に竹宇駒ケ岳神社に到着した。予定通りの12時間だった。
昨年の8月にもこの黒戸尾根を下っているが、上部の高山植物も素晴らしいがそれ以上に黒戸山界隈の森が素晴らしかった。なんといっても圧巻のコイチヨウランの数である。そして今回は見つけることが出来なかったが、ミヤマフタバランという珍しい植物も確認している。夏か秋に再訪できればと思う。次は七丈小屋にお世話になることにしよう。
セリバとウスギって似てませんか?ちょっと黄色くて。
チドリ系の芽もあったし、これからも何かありそうですね!!
セリバオウレンは花が終わっているのでなんとも言えませんが、花弁が薄緑色に見えてウスギオウレンのほうかも知れないですね。来年確認に・・・と言いたいところですがそう簡単に行けるところではないので、ホーリーさんにお願いしておいてください(笑)。