山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

魅惑の御堂ルート(廃道)を行く 篠井山(前編)  平成27年4月19日

2015年04月22日 | 山梨百名山
 西側にある奥山温泉側の登山口がメインルートとなっている篠井山は、そちらから登ると標高差700mほどの手軽な登山となる。しかし、東側の御堂という集落から登る古いルートは標高差1000mほどの厳しい登山、しかもこのルートは崩落地や藪があちらこちらにあり、現在は廃道ルートとなっており、新しい国土地理院の25000分の1地図からもルートは消滅している。このルートを昨年の春山岳会嶺朋クラブのメンバーが登り、とんでもないものを(それほどとんでもなくは無いかもしれないが)を見つけて来た。まさか、この山にもあったのか、是非確認に行かなければと、リーダーだった小池さんはじめ、会のメンバーの方から情報をいろいろと聞き、準備を進めて来た。この日を逃すとおそらくは花の時期は過ぎてしまう。

 この山はヤマヒルが多い山で、そろそろ活動し始めている頃だろうし、昨年も2人ヒルにやられたと聞いた。ヒル対策に高濃度食塩水と調整した消毒用アルコール液、虫よけスプレーを持って行き、さらに崩落地を越えるために残地用5mザイル1本と20mザイル1本を持って行く。行けるならば山頂まで行きたいが、花を探しながら写真を撮りながらの登山なので、行けるところまで、ということになる。

 朝6時に自宅を出発し、2時間少々で登山口まで行けるだろうと思っていたのだが、御堂の集落への道が良くわからない。カーナビの地図では林道がうまく表示されず、南部の町を車でウロウロすることとなり、最終的にはカーナビでは無くて登山用GPSを使ってナビし、ようやく登山口に到着した。時間は9時近くになってしまう。(花がたくさんあり、写真多量なので前編・後編に分けます。)


    御堂バス停脇の広場に駐車する。見上げる篠井山はゴツゴツの険しい山。


    道標がある。かつてはまともなルートだったのだろう。


    ここが入り口。


    入って3.2㎞の看板。しかし、いきなりここでルートがわからない。小さな枯れた沢を渡って向こう側の尾根を登る。


    道は無く、明らかに間違った場所を登っているが、GPSで見ると上で目的の尾根に合流するはず。急斜面を真っ直ぐ登る。


    登り着くとまともな道に合流し、すぐにフェンスのある植林地に出た。予定していたルートだ。


    フェンスの外周に沿って進む。このあたりはミツマタが多いが、少し時期が遅い。


    ミツマタ越しにうっすらと雲を被った富士山が見える。


    その先はスギの植林帯。


    足元の花を探しながら進むと、鮮やかな白い斑が入った葉っぱあり。


    葉の裏側が茶色い。これはフイリゲンジスミレの葉。花が咲いていなくて残念。


    杉林の中で葉っぱはたくさん見かけたが花が見つからなかったヒナスミレ。ようやく咲いている花に出会えた。


    1.8㎞の看板。予定のルート通りに順調に進んでいる。

 杉の樹林帯上部、1.8㎞看板を過ぎたあたりで一休みしてザックを下ろすと、右足のスパッツに例の吸血虫が這っていた。左足を見ると靴の脇にも1匹ついている。高濃度食塩水を再三噴霧してあるためか、虫の動きは躊躇しているかのようにかなり遅い。消毒用アルコースを取り出して噴霧するといずれの虫も一撃でもんどり打って地面に落下した。アルコールの撃退効果は抜群である。杉の植林帯を抜けたあたりから急登が始まる。


    大きなミツバツツジ。右側にうっすらと富士山が見えたのだが・・・


    薄紫色のスミレの群落


    ナガバノスミレサイシン


    残り1.2km付近で道が左右に分かれる。左に行くと大きな岩にぶつかって先に進めないから右に進めと言われていたが・・・帰りは左側から下りて来た。


    ミツバツツジが満開。向こうに目指す篠井山山頂付近が見える。


    沢に向かってトラバース。テープがあるが道はかなり不明瞭。


    トラロープが張ってあり、沢に下り着く。


    沢の中に道標が立っている。それほど古くは無さそうだ。

 下り立った沢の中は大きな岩の上に苔が生した素晴らしい景観であるうえに、花がたくさん咲いていた。踏まなければ進めないほどのハナネコノメ、苔の中から顔を出すツルシロカネソウ、ツルネコノメなどなど、この場所で半日は潰せそうな素晴らしい谷だった。

    ハナネコノメがあちらこちらにたくさん。その中にツルネコノメが混じる。


    イワボタン(だと思う)


    ツルシロカネソウ


    ?


    ヤマエンゴサク


    ユリワサビ


 しかし、このルート登攀の核心部はここから先である。


    登山道の看板


    向こう側には看板と赤テープがある。ガレた急斜面を強引に登る。帰りはザイルを使った。


    いちばん怖かったのがこの谷のトラバース。踏み代がほとんど無いうえにつかまるところも無い。落ちれば谷底にまっしぐら。


    看板が現れる。上にはロープが張られている。登り口以外は全くルート間違いや道迷いも無く旧ルートを忠実に辿っている。


    残り0.7㎞、標高は1100m付近。おそらくはあの上が山頂と思われる。

 標高1100m、山頂まで残り0.7㎞、標高差で300m地点まで登って来た。時間は午後1時40分、この先は情報によると笹の大籔になっているらしい。あと1時間半くらいで山頂に到着できるであろうが、時間は午後3時になってしまう。下山で道迷いを起こす可能性があること、時折雨がぱらついていて、回復する様子は無いことを考えると、ここで折り返したほうが無難である。登るよりももう一度あの谷の中の景色を存分に楽しんでから下山したい。ここで昼食をとって下りることにした。(花満載の後編に続きます。)





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2 コメント

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Unknown (sanae)
2015-04-22 23:15:05
コワイとこ行きますね~
トラバース、落ちないで良かったです^^;
ヤマヒルも怖い、怖い!
というか、気持ち悪ぅ・・・

ゲンジって、ああいう葉ですか~
いつか見てみたい、この山以外で(笑)

この日山梨からの帰り道降り出したので心配していましたが、ご無事で良かったです。

後編楽しみにお待ちしてます♪
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sanaeさんへ (ヨッシー)
2015-04-24 12:38:49
 谷のトラバースは見た時に「マジか!?」と思いましたが、ルートらしきものはそれしか無かったです。山岳会ではこの谷を通らずに尾根を直登したらしく、そのほうがむしろ安全かも知れません。下りで確認しましたが崖のような登りで、木の根っこにつかまりながら登ることになりそうです。そちらもまた大変そうです。

 あのゲンジスミレは特別です。斑の入り方も葉の大きさも園芸種のように大きかったです。写真を良く見ると蕾が付いていて、花が咲くのはこれからのようです。

 花が多くてしかも登攀技術を要し、頭を使わないと登れないルート、久しぶりに存分に冒険気分を味わった最高に楽しい山行でした。
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