後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

自分の気持ちを写真に撮って見る人へ伝える

2010年12月29日 | 写真

写真を撮る時、美しい風景だけではつまらないと思っています。自分のその時の気持ちを写真に撮って、皆様へ伝えたいと思います。

例えば、ああ、寒い冬が来たなあ、という感じを写真に撮って、皆様へも寒い冬がきたなあ、と感じて頂きたいのです。その例を下に示します。12月23日に甲斐駒の麓で撮った写真です。

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ルース・ベネディクトの考えがこのブログの底に流れています

2010年12月29日 | 日記・エッセイ・コラム

ものの見方、考え方の上で私が一番影響を受けた本はルース・ベネディクトの「菊と刀」です。比較文化人類学者の彼女が1946年にボストンで出版した本です。日本人固有の文化を「恥の文化」として明快に分析した本です。その上、全ての民族の文化には優劣が無いと力強く宣言しています。敗戦で打ちひしがれていた日本人を鼓舞するような内容でした。その上、日本語に訳された文章の流れが散文詩のように美しいのです。何故か?ルース・ベネディクトは詩人でもあったのです。C.ダグラス・ラミス著「内なる外国ー菊と刀再考」(1981年時事通信社版)にその事が詳しく紹介してあります。そして卓越した人類学の権威者のC.ダグラス・ラミスが書いています。「菊と刀」は人類学の名著です。いやしくも人類学を専攻する者は必ず読む本です。この本の欠点を指摘する事は誰にでも出来ます。しかしこの本を凌駕するような名著を書ける人は居ないのです。

私が深く影響を受けた理由はもう一つあったのです。それは学問の研究はこうするものですと、その方法を教えてくれたことです。彼女は日本語も話せず、日本へ来た事もありませんでした。太平洋戦争の間、アメリカ本国へ連れて来られた日本兵捕虜の尋問記録だけを多数集めて、それを分類整理し、日本人固有の考え方を抽出したのです。それは見事な作業です。個人の固有の考え方と日本人の普遍的な考え方を分離して、抽出して行く作業です。それは明確な科学的な研究方法です。この本を読んだ1958年当時、私は科学者の道を選んでいたので深く感動したのです。

詳しいことは別にして、このブログで人間の文化や宗教を書く時は、いつも彼女の比較文化人類学の一つの本だけを思い出しながら書いています。

つまらない、そして小さな実例を写真で示します。下の写真にはイエス様が2010年前に生まれた様子が写っています。その後ろに2010年後の日本の文化が写っています。自転車が何気なく置かれ、右後ろには精巧な、しかし何故か軽々しいアルミサッシで縁取られた建物が建っています。この小さな教会のイタリヤ人の神父さんの住んで居る司祭館です。2010年前の文化と現在の日本の文化の断片が同時に写っているのです。ルース・ベネディクトは言います。「どちらの文化にも優劣はありません!」と。でも本当でしょうか?

現在の日本は豊かになって、人々は2010年前より一層幸せになったのでしょうか?

解答は貴方の心の中にあります。「菊と刀」はいつもそんな事を考えさせる本なのです。それを想いながら来年もこのブログを書いていきたいと思います。来年もどうぞ宜しくお願い申しあげます。

今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。藤山杜人

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