「秘境駅へ行こう」(http://hp1.cyberstation.ne.jp/hikyoueki/index.html )というHPは実に興味深いものです。広島県の牛山隆信(42歳)さんが全国の秘境駅を実際に歩き回って、その写真を多数掲載したHPです。何故、そんな所に鉄道の駅があるのか不思議な所ばかりです。駅の名前をクリックするとその駅と周辺の写真が出てきます。兎に角、鉄道以外にその駅へ行く道がないのです。しかし存在する理由があって存在しています。その理由が実に面白いのです。
先日、このブログでご紹介した「社会実情データ図録」を作った本川裕さんが、牛山さんのHPを引用して「秘境駅ランキング図表」を作っています。
以下に、本川さんの解説文を抜粋して示します。(本川さんからメールを頂いて転載の許しを頂いています)
========本川さんの解説(抜粋)=========
牛山さんが秘境駅にひかれはじめたのは1997年。その後、99年にホームページを開設し、著書や写真集も出したため、秘境駅ブームの火つけ人となった。
「開国後の日本をつくったのは鉄道。先人が培った土木技術で線路は山を貫き、繁栄を広めた。秘境駅はその遺産。「なぜここに駅があるのか」と想像し、たくましく残った駅舎を見ていると元気になれるんです」と牛山さんはいう(東京新聞2009.4.19)。
秘境駅ブームで乗降客が増えているところもあるそうだ。例えば、牛山さんがかつてここを訊ねた時、近づく野犬の遠吠えに棒を握ったことを覚えている「尾盛駅」。駅への車道はおろか歩道もないという。その大井川鉄道「尾盛駅」(静岡県川根本町)は毎年乗降客が増えています。
========終り===========
ここで牛山さんが飯田線の「小和田駅」を訪問し、一泊した時の文章と写真をご紹介します。
電車はゆっくりと闇の中を進み、やがて素彫りのトンネルを抜け、22:53を少し廻った所でようやく目的の小和田駅へ到着した。車掌氏に礼を言をいうと、彼の吹く笛の音と
ともに発車して行き、私一人が暗闇のホームにポツン取り残された。そう、この界隈は今夜、私だけのテリトリーとなった。さて駅の様子は…と 懐中電灯を付けて辺りを
散策する。本当に凄い!なんという静寂感だ!さらに古い駅舎が人里離れた秘境の魅力を倍加させている。これぞ「真の秘境駅」と言わしめたる所以である。
深夜の散策を終えて気が付くと空腹になった。そこでインスタントのヤキソバを食べていると、23:35頃に突然一切の電気が落ちた!「ヒェェェェェー」 もう真っ暗!
光るものは公衆電話の使用可を表示する赤いランプと、外で赤く灯る鉄道の信号機だけなった。さすがに少々ビビッたが、慌てずオイルランタンに点火する。改札口の方
は扉が無く、おびただしい数の虫たちが小さな光に集まる。そしてラジオをつけながら、長椅子の上に寝床をセットししばし佇む。外は満天の星空で虫の声だけが辺りに
響いていた。そのうち睡魔が襲ってきたので、目覚まし時計をセットして深い眠りに着いてしまった。
翌朝、自らセットした時計のアラーム音で起こされ、明るくなった外へ探検に出発。以下省略。下に駅近辺の写真を示します。
私は特に鉄道マニアでもないし、秘境マニアでもありません。しかし牛山さんのHPから全国の秘境駅の写真を見ていると日本の広さや不可思議さんがしみじみと分かります。
豊かな想像力さえあればこんな面白いHPは無いと思います。皆様もお楽しみ頂ければ、嬉しく思います。(終わり)