非常に恥ずかしいことですが、私はお経の意味を知らずに子供のころから30歳頃までお経を唱えていました。35歳の頃、カトリックの洗礼を受けてから本気で福音書を読みました。それで気が付いたのですが、仏教にも福音書がある筈だということです。少し調べたらお経が福音書に相当することが解りました。しかしお経は沢山あってとても読み切れません。一番よく読まれるお経を一つだけ取り上げて勉強しました。それは般若心経でした。玄奘三蔵法師がインドから持ち帰り、唐の都で当時の漢文へ翻訳したものです。漢文なので意味が解る筈ですが、チンプンカンプンです。そこで、薬師寺の先代の管長の高田高胤師の般若心経の解説の本を買って、何回も読みました。お釈迦様の教えのエッセンスを観音さまが弟子の舎利子(シャーリプトラ)へ会話をしながら教えているという構成です。とても短いお経です。
その本のお陰で、お釈迦様の教えを一言で説明出来るようになりました。色即是空・空即是色がその説明です。色とは人間も含めて自然界の全ての物の意味です。その全てが空です。それが色即是空の意味です。それで終っていれば、ああ、そうですかと理解します。しかしその後に、空即是色という言葉が続きます。空なるものこそ自然界全てのものの本質なのですという事を教えています。何故か、非常に力強いメッセージと感じ体が震えた事を覚えています。これこそがお釈迦様の教えです。これを頭脳と、心と、体で体得出来れば貴方は幸福になれるのです。まさしく福音書です。
ところが、この八文字の意味が謎々のようで論理的には理解出来ません。高田高胤師の本を何度も読みました。何度も読むと少し解ったような気分になるのです。そうです。どんな宗教でも修業を重ねると理解が深まり、信仰が篤くなるのです。
どのような修業をすれば理解しやすいかという方法論は人によって違います。座禅を重ねてお寺の作業を黙々とすれば色即是空・空即是色の意味が体得出来ると考えたのが道元さんです。曹洞宗です。ですから座禅を大切にする曹洞宗や臨済宗や黄壁宗をまとめて禅宗と言います。禅宗では正しい修業を重視します。机の上での勉強だけで悟りの境地へ行くことは否定します。
カトリックの洗礼を受けてから宗教では訓練が非常に重要な事が理解出来ました。スポーツと同じです。正しいコーチについて適切な訓練を繰り返すことが重要なのです。
どのような訓練が良いかという考えの違いによっていろいろな宗派が出来るのです。しかし一番重要なのはイエス様の教えたことです。お釈迦様の教えたことです。道元や親鸞がどんなに偉くてもお釈迦様の一介の弟子なのです。
般若心経の意味を説明したHPやブログをいろいろ見ました。一つだけご紹介いたします。http://homepage3.nifty.com/yoshihito/okyou.htm を是非ご覧下さい。
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。シルベスター藤山杜人