後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

青木 保 著、「タイの僧院にて」の紹介

2010年12月26日 | 日記・エッセイ・コラム

青木保氏を検索すると彼の二番目に出版した本として、「タイの僧院にて」があげてあります。1976年に中央公論社から発行されています。私は1977年頃、読んで感銘を受けました。

最近、私は昔読んだ本を棚から取り出して、ゆっくり読み直しています。老境になって昔とは違う視点で読んでいます。

この本は、青木さんが人類学者として研究を始めた頃、1972年3月から1973年12月までの1年8ケ月間、小乗仏教のタイの僧院に修業僧として戒律を守りながら生活した時の記録です。日本の仏教は大乗仏教です。戒律はあまり厳しくありません。しかし小乗仏教は生活の中に戒律があり、それを守ると、お釈迦様の教えが理解出来ると信じられています。

この本の面白さはその戒律の内容が解り易く説明してあります。殺すな。盗むな。性的な事は禁止。黄色の衣を着て、托鉢をする事。などなどの戒律が227もあります。そしてそのの戒律が生活の中に自然に溶け込んでいる僧院の中の日常が書いてあります。

もう一つ興味深い事は一般人と僧との関係です。成人すると男性は必ず数か月から1、2年、髪を剃って僧院で修業僧の生活をします。それが修了して環俗して職業生活を続行するのです。ある一定の期間僧になるのです。

一般の女性は托鉢に来る修業僧へ食べ物や供物を捧げ、僧を尊敬します。

タイでは仏教が身近の日常生活の部分になっているのです。

昔この本を読んだ時は、小乗仏教の戒律の内容に興味がありました。そして現在、老境になってみると成人した男性が一度、僧院に入る事実に感動します。

宗教は訓練です。一度でも訓練を受けると一生忘れないのです。その訓練を現在も重要視している国が存在している事に感銘を受けます。

タイでの政争やクーデターはよく新聞に出ます。マスコミも興味本位に報道します。しかし一方ではタイの成人男性は僧院で修業しているのです。その事実を報道し、タイの人々を尊敬するような新聞記事を読みたいと思っています。

他国に関する報道が興味本意であるとしたら、それは自分達の心の貧しさの証です。そんな事を考えさせる本です。この青木 保 著、「タイの僧院にて」は一読をお薦めしたい本です。

(終り)下にこの記事へコメントをくれたGakuさんのブログからお借りした写真を示します。

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ハンガリー語を学んで日本語の美しさ、多様さを理解する

2010年12月26日 | 日記・エッセイ・コラム

ハンガリーに在住している盛田常夫(http://morita.tateyama.hu)さんが編集、発行している季刊誌、「ドナウ河の四季」2011年新春号を送って下さいました。目次を下に示します。

====「ドナウの四季」No.9=====

音楽教育の妙味 石本 裕子                           1
ハンガリー赤泥流出事故の背景と教訓 家田 修               2
大空への挑戦 加藤 詩乃                            4
20年振りの七転八倒 盛田 常夫                        6
留学生自己紹介         粟村 岬 ・ 松永 みなみ           8
緑の丘日本語補習学校 高木 典子 10
2011年のゴルフシ-ズンを迎えるにあたって 宮崎 好文         11
スポーツ行事・運動サークル情報                       12
白組~がんばるぞ~! 竹内 更                        13
ハンガリーのみなさん Köszönöm szépen 安島 昇             13
満喫した南アフリカW杯 盛田 常夫                       14
「ドナウの四季」ホームコンサート                         15
    桑名 一恵 ・ 町田 百合絵 ・ 岩瀬 桐子 ・ 松永 みなみ
    珠玖 加奈子 ・ 香川 真澄 ・ 坂井 圭子

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この目次の中から、「留学生自己紹介」の粟村 岬 さんの文章がみずみずしくて面白かったのでその始めの部分のみご紹介いたします。下の写真はハンガリー観光省のHPのブタペストとドナウ河の風景写真です。

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「愛おしさがきっかけに」:バラシ・インスティテュート:著者、粟村 岬

 ハンガリーという国が自分の生活の一部を占めるようになって7年半が経ちました。

その割合は時期によって大きくなったり小さくなったりしていますが、今も変わらずこの国を愛おしいと思う気持ちは健在です。

旧大阪外国語大学(現:大阪大学)の日本語専攻に入学し、日本語学を専門としながらも、当時の大学のシステム上、外国語を一つ選んで専門的に勉強する機会をいただき、とくに強い思い入れもないまま選んだ言語がハンガリー語でした。きっかけはともあれ、一度学び始めると、この特異だけれど温かみがあり、柔軟性に富み、幅広い表現力をもつハンガリー語の魅力に心を奪われました。

 日本語学の勉強もそこそこに、2004年夏の2カ月弱の短期留学を経て、2005年の夏、1年のハンガリー留学を決めました。ハンガリー語を勉強すればするほど、その言葉の魅力が深く感じられ、またその言葉を使って自分自身がいろいろな人とコミュニケーションを取れていることに、強い喜び

を感じるようになりました。勉強をこんなに楽しいと感じたのは、今までの人生で初めての経験かもしれません。

 ハンガリー語の学習と同時に、留学生活の大きな割合を占めていたのが、ハンガリー人日本語学習者に日本語を教えることでした。高校の日本語の授業にボランティアでサポートをしに行ったり、剣道や空手のトレーニングに通う学生にプライベートで日本語を教えたり、友人の経営する日本語塾で教えたりと、日本語を教える多くの機会に恵まれた一年間でした。普段何気なく使っている母語の日本語ですが、教えてみて初めて気付く日本語の難しさや、美しさ、多様さなど、日々発見と勉強の連続で、とても新鮮で貴重な時間を過ごせました。帰国後に専門である日本語学の研究としっかり向き合えたのも、ここで日本語を教えることで日本語がどういう言語なのか見つめなおす機会になったからだと思います。=====以下省略======

この記事を特にご紹介したのは私自身の体験と合致したからです。1969年、70年とドイツのシュツットガルトに留学するときドイツ語を勉強しました。ドイツ語には特有の美しさや多様な表現力があることに感動したことを思い出したのです。そして同時に日本語の特有の性質が理解出来たのです。英語は1962年にオハイオ州立大学へ留学する時学びましたがドイツ語で感じたような感慨がありませんでした。どうしてでしょうか?英語はあまりいろいろな国々で使用されていて、何処か特有の国の文化を背負っていません。ハンガリー語のように特有の、小さな領域の文化を背負っていると魅力的な言葉に感じるのです。そういう意味では韓国語も似ていると思います。

如何でしょうか?言語に関するちょっとした感想です。ご意見を頂ければ嬉しく思います。(終り)


このブログでは考えて頂きたい問題を提供しています

2010年12月26日 | 日記・エッセイ・コラム

文章を書いたり、読んだりする作業は面倒くさいものです。ですから書きながら楽しい思いをする、そして読んで下さる方々も楽しい、元気がでる、明るい気分になる、そのような記事にしたいと思っています。

その為にはいろいろな方法があります。その一つに何か問題を提供して、読者に楽しみながら考えていただくという方法があります。解答は私も分りません。いや正解の無い問題です。しかし問題の内容が意味深くないといけません。日常茶飯事に関する問題は重要ですが、ありふれた話題なのでなるべく避けています。一例を下にあるお墓の写真で説明します。

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この写真の説明に短い文章を付けます。「外国人の神父さんやシスター達のお墓は何故か質素な木の十字架のお墓が多いのです。故郷に帰らず日本の土になったのです」。それだけの文章をつけます。

読者の方々は、何故、質素な墓なのだろうと考えます。何故、故郷の先祖代々のお墓に帰って眠らないのだろうと考えます。そしてマリゲレータさんとはどんな人だったか検索して調べる人も居るでしょう。あるいはピザにマリゲリータというものもあるからイタリア系の人だったと思う人もいます。

私も検索して見ました。http://blogs.yahoo.co.jp/myyurieru/18282977.html に「マルガルタの黙想会」の事が書いてありました。

しかしどうも、シスター・マリガリータとは別人のような気がします。ですから正解は解りません。と、書くと親切に教えてくれる方がいます。それまで待つことにします。

さてこの写真をみて元気が出るでしょうか?明るい気分になるでしょうか?

それは見る人の考え方次第です。故郷を離れて日本人の為に働いた人が居る。そうだ私ももう少し元気に頑張ろう。そう思える人は幸せです。

楽しかった大学生の頃、親切だったシスターが居た事を思い出した人も居るかも知れません。感謝の気持ちで当時の楽しい思い出を楽しめれば幸運な人です。

一生の間、シスターとは一切縁のない人々も多いものです。私も縁がありません。しかし北海道のトラピストのお菓子をお土産に貰った事がある人々は多いと思います。美味だった事を思い出すと楽しくなります。くれた人を思い出し、感謝します。

たった一枚の写真からいろいろな思いが広がり楽しめます。

このようにいろいろ考えられる記事にしたいと写真や文章を掲載しています。どうぞ来年もこのブログをお楽しみ下さい。大晦日も近づいて来ました。

今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。藤山杜人