後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

負の世界遺産(2)ビキニ環礁核実験場

2013年09月30日 | 日記・エッセイ・コラム

マーシャル諸島共和国のビキニ環礁核実験場は2010年に世界文化遺産として認定され登録されました。

1946年から1958年にかけてアメリカが67回の核実験を実施した場所です。

世界文化遺産に認定された理由は、核爆発の威力を伝える重要な証拠であり、人類が核の時代に入った象徴であるという理由です。

ビキニ環礁で行なわれた最初の核実験は、1946年7月1日と7月25日のクロスロード作戦です。

これは1945年のニューメキシコ、ヒロシマ、ナガサキに続く史上4番目と5番目の核爆発であったのです。

 大小71隻の艦艇を標的とする原子爆弾の実験であり、アメリカ軍が接収した日本海軍の戦艦長門、軽巡洋艦酒匂やドイツ海軍の重巡洋艦プリンツ・オイゲンなども標的にして破壊したのです。

その他、老朽化したアメリカ海軍の、戦艦ネバダ、アーカンソー、ニューヨーク、ペンシルベニア、空母サラトガなども一緒に破壊されました。

第二次世界大戦が終了したので要らなくなった艦艇を一挙に沈めてしまうという実に荒っぽい実験をしたのです。その時の写真を下に示します。

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上の写真の巨大なキノコ雲の足元の海上に点々と黒く見えるのが日本海軍の戦艦長門、軽巡洋艦酒匂やドイツ海軍の重巡洋艦プリンツ・オイゲンなどです。

下は現在の美しいビキニ環礁の写真です。

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この美しい海域で1954年には第五福竜丸が水爆実験の死の灰を浴びたのです。

現地の人々も64人が被爆しました。そして多くの島民が強制的に移住させられたのです。

このビキニ環礁の核実験は、その後の原水爆禁止運動の出発点になったのです。

この世界文化遺産は、負の世界遺産(1)人類の愚かな悲劇を忘れないようにと認定された世界遺産の一覧表 で示した19件の負の遺産に含まれています。

そして、洋泉社発行の「負の世界遺産」(佐倉由美子、常井宏平、長谷川大の共同編集)に取り上げられた45件の負の文化遺産のなかにも含まれています。

しかし人類が核エネルギーを制仰し、利用する技術を得た最初の記念すべき場所です。そのお蔭でガンなどの病気の放射線治療も可能になりましたし、原子力発電も発達したのです。

この事実は見る人の立場によって世界遺産は負の遺産になったり、正の遺産なったりすることを明快に示しています。

原爆実験は人類に良いことをもたらしたのか?反対に悪いことをもたらしたのか?

それは貴方が判断することです。

一般的に世界文化遺産は政治的な立場によって負の遺産になったり、正の遺産なったりするのです。

ですからこそ、国連のユネスコは絶対に「負の遺産」という言葉を使いません。

どちらでもとれるような曖昧模糊とした認定理由を公表しているのです。

この曖昧さの問題は、この記事の続編で考えてみることにします。(続く)


竹内義信著、「イタリアの魅力とその混沌」(1)その魅力のいろいろを纏めてみました

2013年09月30日 | 日記・エッセイ・コラム

ヨーロッパ文化は国々や地域によって非常に違います。私はドイツに住んだことがあるのでヨーロッパ文化をかなり知っているつもりでした。それは実に浅はかな理解だったのです。 

イタリーに住んで居た竹内さんの手記を読んでしみじみと思い知らされました。そこで皆様へもヨーロッパ文化のみなもとのようなイタリアのことをご紹介したいと思います。

竹内義信さんは私の50年ほど前の大学時代の友人です。

1974年からイタリアのミラノに4年間、家族とともに住んで、イタリアの地方色豊かな文化にすっかり魅了されました。また仕事ではイタリア社会の混沌ぶりには驚きもしました。

彼に関する詳しいご紹介は、日々が淡々と流れゆく(6)心地よい秋風がそっと頬をなでていくようなエピソード という先日の記事に御座います。<o:p></o:p>

 ご依頼して、このブログへ、「イタリアの魅力とその混沌」と題する連載記事を執筆して頂くことになりました。日本人があまり知らないイタリアの実情と、その魅力をお楽しみ下さい。第一回は魅力を総括的にご紹介します。<o:p></o:p>

=「イタリアの魅力とその混沌」(1)魅力のいろいろを簡単に纏めてみました=

 イタリアくらい毀誉褒貶の激しい国はないと思います。「イタ公」と言う侮蔑した呼称があり、イタリアはいい加減な人間の集まりで国としても頼りにならないと言うマイナスの面がある一方で、イタリアの素晴らしさを礼賛する人達もいます。先ず、イタリアの魅力を上げてみましょう。

 イタリアはヨーロッパ文明の源泉と言えます。古くはローマ文明です。「すべての道はローマに通ず」といわれ、当時のヨーロッパのあらゆる意味での中心だった訳です。次に、ルネッサンスです。14世紀から16世紀にかけて、イタリアを中心に近代文明の先駆けとなりました。文化、美術、学術の伝統が現在まで、イタリアに脈々と生き続けています。

 また、イタリアの地理的環境の素晴らしさです。スイスに接する北イタリアはアルプスの山々と湖に囲まれ、中部イタリアのなだらかな丘陵に展開するブドウ、オリーブさらに穀物の実るトスカーナ地方に代表されます。さらに南に行けばナポリとその近くのソレント、アマルフィとカプリ島の青い空と海、どこを見てもBRAVO !です。どんよりとしたヨーロッパからアルプスを越えてイタリアに入れば、青い空と輝く太陽、まさに「君よ知るや南の国」なのです。夏にはヨーロッパからどっと観光客がイタリアに押し掛けます。

 これだけの景観と気候が揃えば、観光地としては文句なく最高ですが、さらにイタリアはローマ時代の遺跡、中世の教会、古城、ルネッサンス時代の絵画、彫刻、建物がどこかしことあり、簡単には見切れません。

次に、イタリア観光に欠かせないのが、イタリア料理とイタリアワインです。それからショッピングをする人には、イタリアファッションがあります。

ミラノは世界のファッションの発信地です。

 イタリアには音楽もあります。カンツオーネとオペラです。世界で公演されるオペラの70%はイタリアオペラと言われています。ミラノのスカラ座もいいのですが、夏のローマのカラカラ浴場とか、ヴェローナのアレーナ(円形劇場)での野外オペラの素晴らしさは忘れられません。

 もう一つイタリアで忘れられないのは自動車でスポーツカー、AlfaRomeo, Ferrari, Lancia, Massellattiと枚挙に暇がないくらいです。私はFIATの1800ccのセダンに乗っていました。私の働いていた会社の低利融資の恩恵を受けあまり負担なく4年近く乗りました。日本からのお客様も満足して乗ってくれましたし、4人家族で休暇に旅行するには丁度いい大きさでした。先ほど列挙しましたイタリア列島の北から南までは勿論、リヴィエラ海岸を通ってイベリア半島、フェリーに乗せてシシリー島まで出掛けました。

 でも、イタリアの素晴らしさと魅力は陽気なイタリア人で決まりです。(続く)

下にミラノの風景写真をお送りいたします。

それはそれとして、

今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)

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上の3枚の写真の出典は、http://oasis.halfmoon.jp/extphoto/ita_main.html です。

竹内義信氏の略歴:1958年、東北大学、応用化学科卒業。1960年大学院を修了。総合化学会社の帝人の研究所に就職。その研究所が彼の生涯の仕事場になったのです。その研究所からアメリカの大学へ留学し、博士号をとります。そして帰国後数年してから、今度はイタリーのミラノに派遣され4年間在住しました。大会社の研究所にいる優秀な研究者がよくたどる経歴でした。