(上は演習中の韓国軍の戦車です。写真の出典は、http://news.goo.ne.jp/picture/yonhap/world/meast/yonhap-20110608wow030.htmlです。)
韓国にある数多くの米軍基地の存在は日本の安全にとって非常に重要です。
日本の仮想敵国が北朝鮮と中国であるとすれば、韓国は日本列島を守る前線基地の役割を果たすことになるのは誰の目にも明らかです。そこに米軍基地があるだけで中国と北朝鮮の侵攻に対する抑止力になるのです。
しかし米国は太平洋地区の米軍の効率的な再配置の一環として、韓国から陸上部隊を撤収する方向で韓国と交渉を続けています。
韓国とアメリカの間には2つの問題が横たわっています。その一つは韓国が米軍の駐留費の42%を支払っていますが、アメリカは増額を要求している問題です。
もう一つは戦時体制になった場合の米韓共同軍の指揮権をアメリカが持つという協定です。
分かりやすく言えば北朝鮮が攻め込んだ場合、韓国軍は独自の判断で反撃してはいけないのです。アメリカ軍の指揮系統の下で、アメリカ司令官の命令を待たなければならないのです。この取り決めは韓国人の自尊心を傷つけていて、韓国の根強い反米感情の原因になっていると言われています。
かつて朝鮮動乱では韓国軍とアメリカ軍は共産主義を打破するという共通の錦のみ旗のもとで固く団結して戦ったのです。
そしてベトナム戦争でもアメリカと韓国の団結は強く、苦戦の中でも韓国兵は負傷した多数のアメリカ兵を担いで救い出したのです。
その韓米のかつての団結が、近年の韓国と中国の経済発展でゆるんで来たと考えられています。
韓国にとって、強大な中国の市場はあまりにも魅力的です。経済分野での韓国と中国との輸出入や相互投資はますます大になる一方です。
当然、韓国は中国に少しずつ近づき、アメリカからは少しずつ距離を置くようになります。
それでは、アメリカは韓国から撤収して韓国を中国へ渡すでしょうか?
その答えは明らかです。否です。
中国の制海権と制空権の拡大を阻止するという軍事的戦略を考えれば、アメリカは絶対に韓国を中国へ渡さないでしょう。
韓国にあるアメリカの海軍基地と空軍基地は中国の喉もとにつきつけた鋭い刃のような存在です。
アメリカ軍は中国と太平洋の覇権を争っています。その抗争でアメリカを優勢にするものは韓国と日本にある海軍基地と空軍基地なのです。
陸上戦力は韓国と日本へまかせて、アメリカ陸軍は段階的に撤収して行くでしょう。
アメリカは自分の国益のために西太平洋地域における陸、海、空の三軍をどのように再配置するか懸命に考えているのです。それは日本を守ったり、韓国を助けるために再配置を決めているのではありません。
従って韓国も日本もその安全のためにどのような戦略が最良なのかを独自に研究し、アメリカと根気良い交渉を続けるべきと思います。
そのためにも日本と韓国は軍事的にはもっと相談を重ね建設的な協力関係を作り上げるべきと思います。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
=====参考資料:韓国にあるアメリカ軍基地の一覧=======
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%A8%E9%9F%93%E7%B1%B3%E8%BB%8D)
釜山広域市釜山鎮区 Camp Hialeah
大邱広域市南区 Camp George, Camp Henry, Camp Walker
江原道春川市 Camp Page(2005年11月返還)
江原道原州市 Camp Eagle, Camp Long
京畿道東豆川市 Camp Nimble(2007年4月返還)、Camp Casey, Camp Castle, Camp Hovey, Camp Mobile
京畿道坡州市Camp Bonifas, Camp Giant, Camp Greaves, Camp Howze, Camp Stanton(以上2007年4月返還)、Camp Edwards, Camp Garry Owen(以上2007年5月返還)
京畿道平沢市 Camp Humphreys, Osan Air Base(烏山空軍基地)
京畿道城南市Seongnam Golf Course(城南ゴルフ・コース)
京畿道水原市 Suwon Air Base(水原空軍基地)
京畿道議政府市 Camp Essayons, Camp Falling Water, Camp LaGuardia, Camp Red Cloud, Camp Sears, Camp Stanley
京畿道竜仁市 Yongin
慶尚北道漆谷郡 Camp Carroll
慶尚南道昌原市鎮海区 Chinhae(鎮海海軍基地)
仁川広域市桂陽区 Camp Market
済州道南済州郡 Camp McNab
全羅北道群山市 Kunsan Air Base(群山空軍基地)
ソウル特別市道峰区 Camp Jackson
ソウル特別市竜山区 Camp Coiner, Camp Kim, Yongsan Garrison(竜山兵営)