おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書104「母親は兵士になった」(高倉基也)NHK出版

2010-06-22 23:04:08 | つぶやき
 NHKの番組。ほとんどTVを見ない私ですが、時たま見るのはNHK。NHKスペシャルなど特集番組には興味・関心があります。いろいろ批判もされますが、民放の「俗悪」ぶりに比べればまだまし!とつい思ってしまいます。
 もちろん、公共放送という枠は厳しくあるので、政治番組などは両論併記的なバランス感覚での制作が気になります。その点では、民放のニュース番組の方がコメンテーターの発言の方が切れ味はいい、と思ってしまいます。素人の言いたい放題の小気味よさというだけの意味ですが。
 そうした中で、放送された番組を再構成して読み物として出版する、これはNHKのすばらしいところです。そのうちの一つを紹介します。
 副題に「アメリカ社会の闇」とあります。それは、女性が戦場に行くようになった複雑な背景、死と隣り合わせの戦場での女性兵士、帰国後のようす・・・、こうしたことを取材しながら、それが「愛国心」「正義感」「国家への忠誠心」「男女同権」「社会貢献」など、アメリカ国民ならば誰しもが持つ、そうした心情、背景、文化などの土壌に依拠して、兵士として女性を活用する、「立派な」仕事として位置づけていくようになった、アメリカ社会の持つ闇の部分を描いています。
 「貧困」故に、家族の生活の糧として軍に仕事を求めざるを得ない「妻」「母親」としての立場、などというようとらえ方ではすまされない現実が浮かび上がってきます。
 特に泥沼化してしまった「イラク」(今は少しは落ち着いたようですが、これがアフガンにスライドされ行った!)の現実の中で兵士としての母親がどう変化していったか、むしろ、帰国後どうなっていったのか。
 2008年9月に放送された時には「ママはイラクへ行った」となっていたそうです。それが「母親は兵士になった」という表題で出版される。今も世界中のあちこちで、女性が母親が戦士となって「戦っている」現状。時には、自爆テロとして、また、国家の威信を背負って・・・。愛する夫、子供達、祖国のためには、死をも厭わない女性兵士たち、その心のありようを考えさせられた。
 この番組では、ジュリアという中年の女性兵士の姿をはじめ、何人かの女性兵士の生き方、葛藤を追っていく。子供達との対話二度三度となるイラクへの派兵・・・。毅然とした兵士の姿と母親のまなざし・・・。PTSDとの新たで困難な闘い・・・。

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