おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

「愛のコリーダ2000」(古きよき映画シリーズその20)

2013-01-21 22:15:55 | 素晴らしき映画
 大島渚監督が亡くなった。「青春残酷物語」「日本春歌考」「戦メリ」とか観た記憶がありますが、何だか遠い昔話のような世界(映画を観たと言うこと自体が)。映画の冒頭にベランダから鳩を撃ち殺す場面がとても印象的でしたが、はて何という題名の映画だったか。
 大学を卒業し(大学・高校紛争のさなか、「東大・安田講堂」は卒業の年)。何とか就職し、仕事にかまけている(映画よりも芝居に夢中になって)うちに、映画の世界からも遠ざかり、大島渚の名を再び耳目にしたのは、TV。こんなに偉そうなしゃべりをするおっさんだったかしら・・・、違和感があったことを、ふと。野坂昭如との殴り合いの映像は、見たような記憶が。
 そんな風に遠ざかっている内に、今回の訃報。むしろ、監督として活躍した話題よりも、円熟期に突然倒れた夫への献身的な介護に尽くした小山明子さんの方が印象が強かった。介護うつ、も含めて。
 その小山明子さんが舞台に復帰する、その本番の前夜に亡くなった、これほどドラマチックな出来事はないでしょう。その出来事の方に大きな関心・興味が。女優・小山明子の再登場を待っていたかのように。「本番いきま~す」(まさかこんなかけ声はしないでしょうが)カチンコが下ろされた・・・。その緊張の瞬間(のときめき)が伝わってきました。
 
 そこで、今回は「愛のコリーダ2000」。1976年公開の日本・フランス合作映画。2000年に「完全ノーカット版」としてリバイバル上映されたもの。
 昭和11年、東京・中野の料亭に、30過ぎの女が女中として住み込んだ。名は阿部定。定は料亭の主人吉蔵に一目惚れしてしまう。吉蔵も、定の小粋な姿に惹きつけられた。
 二人は夜更けの応接間や、早朝の離れ座敷などで密会を重ねていくうちに、ついに吉蔵の妻に知れてしまった。そして、その翌日、二人は駆け落ちした。最初は一日か二日のつもりで家を出て来た吉蔵も、いつしか定の情熱に引きずられていった。
 やがて定は、吉蔵に自分の赤い長襦袢を着せて部屋に閉じ込め、自分は名古屋のパトロンのもとへ。再会した二人は、待合を転々として愛欲の世界に浸り込んでいく。定は戯れに「今度、別れようとしたら殺してやる!」と叫んで出刃包丁をふりかざす。
 ついに、定は吉蔵を自分一人のものにするため、吉蔵を殺す決意を。吉蔵の首に腰紐を巻きつけ、力を込める。死んだ吉蔵への愛は絶ちがたく、性器を出刃包丁で切り取ってしまう。
 1976年、カンヌ映画祭で一大センセーションを起こした『愛のコリーダ』が25年経って、ノーカット版として再登場。


 主演の二人、松田英子と藤竜也のからみは、壮絶。定の鬼気迫る姿が印象的。過剰な性的欲求が男を次第に追い詰めていく、その演技は見事。もともと大島監督は、この役は松田英子にしていたらしい。男役はいなせな優男の感じが初々しい藤竜也。 殿山泰司が老乞食役で出演して味を出している(はやし立てる子ども達が「旭日旗」でからかうのは、監督の見事な意図が表れている)。
 戦争の色が濃くなって来た時代。吉蔵が出征する兵士の一団と遭遇する場面があるが、その他はほとんどが愛欲シーン。さらに、着るものなども、最後の血まみれ場面も含め、すべて鮮やかな、時にはどすぐろい「赤」色を基調としたところにこの映画の本質を垣間見た思い。

 もっとお元気ですばらしい衝撃的な作品を作って欲しかった、ですが、この「愛のコリーダ」を越える作品はそう簡単に創造できるものではなさそうです。
 題名の「コリーダ」はスペイン語で闘牛を意味する「Corrida de toros」からとっている、とのこと。

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1 コメント

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クィーンシーン ジョーンズ (ザ・村石太)
2013-03-26 22:01:02
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合作映画は スゴイ映画が 多いですね
映画同好会(名前検討中
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