ジャズトランぺット、ヴォーカルのチェット・ベイカーを描いた映画「ブルーに生まれついて」(Born to be Blue」が長野松竹相生座で上映されたので、観に行ってきました。全国公開からは2か月遅れで、ようやくですが、それでも上映してくれたのはありがたいことでした。
既にいろいろなところで、この映画については書かれていますが、備忘的に僕のこの映画に対する印象などを綴ります。チェット・ベイカーが1960年代にヨーロッパからアメリカに戻り、これからという時に、麻薬の売人に顎を砕かれて演奏できなくなってしまってからの再起にかける本人の努力とそれを支える女性など周りの人々を描いたドラマです。全体にヒューマンに暖かに描かれたドラマでした。
麻薬の売人や監察官が登場するなど、麻薬とジャズ・ミュージシャンが切ってもきれなかった時代背景も描かれています。最後のシーンで、再起したチェットはニューヨークのジャズクラブ「バードランド」に出演しますが、その際に、せっかく辞めていたヘロインにまた手を出してしまいます。このシーンはもの悲しく、字幕でその後ヨーロッパへ渡り放浪したという後日談が示されて映画は閉じます。
音楽は、バラード曲が主に使われていましたが、主演のイーサン・ホークが吹き替えなしで歌ったようです。その努力は素晴らしいもので、賞賛に値すると感心しました。チェットが1950年代にアート・ペッパーらと共演していたころの音楽も聴きたかったのですが、この映画は、その後の時期に焦点を当てているので、選曲は妥当なところかもしれません。
掲げた写真は、購入したパンフレットの表紙です。映画の中身の話ばかりでなく、チェット・ベイカーの主要CDの紹介や簡便なディスコグラフィーの掲載などもあります。彼のファンやジャズファンが増えればいいなと思いながら映画館を後にしました。