書店で面白そうだったので購入した本です。クラシックの曲について、『音楽の歴史の中に埋没したままになったり、さらには等閑視されそうな曲のいくつかをピックアップして光をあてようと』した内容です。著者の野崎さんは、内外のコンサートやオペラのプログラム、CD解説書の執筆、音楽ソフトの制作編成に携わってきた方です。
取り上げられた101曲は、ほとんど知らない曲ですが、僕が特に関心をもった10曲を、目次代わりに記します。
モーツァルト / 交響曲第37番ト長調 K444
ベールマン / クラリネットと弦楽のためのアダージョ変ニ長調
レーヴェ / ピアノ協奏曲第2番イ長調
リスト / ピアノ協奏曲第3番変ホ長調 遺作
オッフェンバック / チェロ協奏曲ト長調
プッチーニ / 交響的奇想曲
グリエール / コロラトゥーラ・ソプラノと管弦楽のための協奏曲
イベール / モーツァルトへのオマージュ
ミヨー / ニューヨークのフランス人
ロータ / バレエ組曲「道」
(感 想)
クラシックの音楽史に関する最近までの研究成果を踏まえた曲の紹介・解説と、あわせて演奏されたCDを掲載した、内容が充実した本です。作曲家の名前だけは知っていても、初めて知る曲も多く、クラシック作品の量の多さと質の高さに目を見張る記述も多くありました。
モーツァルトの交響曲の第37番が欠番だったことは、昔からの疑問だったのですが、これを読んでようやく37番は別の人(ミヒャエル・ハイドン)の作品だということを知りました。ミヨーの「ニューヨークのフランス人」は、ガーシュインの「パリのアメリカ人」の返礼のような作品ですが、この曲も今回初めて知り、びっくりでした。
歌曲の作曲家というイメージだったレーヴェにピアノ協奏曲があり、オペレッタの作曲家というイメージのオッフェンバックにチェロ協奏曲があるというのも、僕としては発見でした。現代に近い、イベール、ミヨー、ニーノ・ロータについても魅力的な聴いてみたい曲ばかりです。CDを順次発注しています。
【「クラシック秘曲・珍曲・謎曲101選」を読んでつい最近入手したCD】
シャルル・デュトワ指揮モントリオール響によるイベールの管弦楽曲集。「モーツァルトへのオマージュ」を収録してありますが、他の曲の演奏も素晴らしい。佐渡裕指揮ラムルー管による「管弦楽曲集」(Naxos)も持っていて、イベールは好きな作曲家になりつつあります。
アーサー・フィードラ―指揮ボストン・ポップス・オーケストラによるミヨーの「ニューヨークのフランス人」。ガーシュインの「パリのアメリカ人」とピーター・ネロがピアノを弾いた「ラプソディ・イン・ブルー」も収録。