三上延著「ビブリア古書堂の事件手帖」(全7巻)は、鎌倉の古本屋を舞台として、その女性店主の栞子さんが古書にまつわる謎と秘密を解き明かすものですが、登場人物のキャラクターや話題となる古書が面白いので、全部読みました。今回、その続編を読んでみました。
続編には、栞子さんとその旦那の大輔さんの間に生まれた6歳になる扉子(とびらこ)さんが新たに登場します。その扉子に向かって栞子が物語を語るのですが、6歳には難しい内容と思われるので、趣向を凝らしたといったところでしょうか。
4つの短編が収録されていて、話題になる古書と物語の概要は次のとおり。
第1話 『からたちの花 北原白秋童謡集』(新潮文庫)
この本を購入した女性が、父と犯罪を犯した叔父さんとの関係を北原白秋作「からたちの花」の歌詞により真相を知ることになる物語。
第2話 『俺と母さんの思い出の本』
急死したラノベイラストレーターの母が、母との思い出があると息子が言っていた本を探して(特定して)ほしいと栞子さんに依頼し、解決する話。
第3話 佐々木丸美『雪の断章』(講談社)
ホームレスのせどりや志田さんと交友のある女子高生奈緒と、それを見てその関係に憧れた紺野という男子高生が志田さんと仲がよいように行動する話。謎は、どうして紺野が志田さんのことを知るようになったかという点です。
第4話 内田百閒『王様の背中』(樂浪書院)
横浜の古書店店主が、ビブリア古書堂に持ち込んだ古書の売主と偽り、本を取戻し転売しようとしたが、電車に乗って逃げるところを見抜かれてしまう話。
全体に凝った展開ですが、おなじみの登場人物が活躍するなど、楽しく読めました。また、内田百閒『王様の背中』は、挿絵の版画が貴重で、高値がついていることなど、古書についの薀蓄も披露され、その点も面白い。
この本の続編が出ているので、それも読んでみるつもりです。